ダイアスの過去①
「俺と・・・この子達も、ベルナール様の奴隷だ。」
「うん。」
ポツリポツリとダイアスが語り出す。
俺やガンゾはそれに相槌を打ちながら話を静かに聞く。
「戦闘奴隷?っていうのかな?俺達は多分それで、ベルナール様はその戦闘奴隷のうちの何人かを、冒険者にさせて、ランクを上げさせ、ギルドとのコネを作ろうとしてるんだ。」
「なるほど、確かにギルドにとって高ランクの冒険者は必要不可欠だしな。ギルドはその冒険者に辞めて欲しくないだろう。それこそ、ギルドに多大な利益を出してくれるような冒険者を辞めさせない為に高ランクの冒険者は優遇されている。それ程高ランクの冒険者を辞めさせたくないんだろう。だからこそその冒険者の主人がギルドに対して何かを言っても、あまり強く言い返せなくなるって訳か。」
ガンゾが補足をする。
「つまりベルナールはダイアスをギルドに対しての盾?人質?にしてるって事か?もし俺に言い返せば、お前らの大切な高ランク冒険者を辞めさせるぞって感じか?」
「まあそうだな。ダイアスがギルドにとって必要な存在になればなるほど、ベルナールはギルドに対しての発言権が強くなる。まあ実際はベルナールよりもあいつの裏にいる貴族の為だろうけどな。」
「あんまり話についていけなかったけど、多分2人の言ってる事で合ってると思う。」
「ダイアスはベルナールの奴隷になったのはいつか分かるか?」
産まれた頃からなのか、それとも途中で捕まったりして奴隷となってしまったのか。
「結構最近だよ。2年も経ってないと思う。俺の一族はどっかの部族だったらしいけど、俺が産まれた頃には皆ブラッドヴァルドに住んでたんだ。」
ブラッドヴァルド・・・。
「ふむ、部族か。どこの部族なんだ?」
ガンゾが質問する。
「確か、ヴァルグレイ王国と、ブラッドヴァルド帝国の間にある山の部族だったって聞いたな。まあ、一度も行った事は無いけど。今は村も無くなったらしいし。」
「っていうかブラッドヴァルドに住んでたんなら、なんでベルナールの奴隷になってんだ?」
「ブラッドヴァルドって殺し合いが好きな人が多いから、俺は戦いとか嫌いだったから、抜け出してきたんだ。何でか知らないけど、俺に対してだけ、周りの大人からの期待も高かったし、何か色々勉強もさせられたんだ。」
「例えば?」
「何だったかな。国を抜け出したのは結構幼い頃だったから、覚えてない。国を抜け出しても、苦しかったことに変わりはないけど、色んな街や村を見てこれた。けど、ある時ベルナール様が兵を連れてきて 、村を滅ぼしたんだ。その時その場に居た大勢の人が奴隷となったんだ。その中の一人が俺だった。」
「そして現在と。」
つまり、ダイアスは途中から奴隷になった訳か。
「そう。それで戦いを学び始めたのはそこから。先に居た先輩達にボコボコにされて、死にかけて、でも、こんな所で死にたくなくて。殺されないように、一人でもあいつらに対抗出来るくらい強くなろうって決めて、死に物狂いで戦った。その時少しだけだけど、後悔したよ。ブラッドヴァルドに居た時に強くなって置けば良かったって。」
「・・・・・・ダイアスは、ベルナールの事をどう思うってる?」




