疲れた①
「やぁ、アレス君。」
「!? ガルドさん、こんばんは。今日は1人なんですね。」
クエスト帰り、宿に向かっている途中でガルドが声を掛けてきた。
「うん。皆楽しんでるみたいだからね。」
「まぁ何でもありますもんね。この街。」
「ふふっ。そうだね・・・アレス君、今日は何だか元気ないね?何かあったかい?」
「ああ、そうですね。今日は少し疲れましたね。」
「そうなんだね。何があったか聞いてもいいかい?」
ダイアスとかの件って言って大丈夫なんだろうか?
・・・まぁガルドなら大丈夫だろう。
ガンゾ達の事情も知ってる人だし。
「実はですね、今日の朝ギルドで揉め事・・・?問題?が起きたんですよね。」
「どんな問題?」
「ガンゾ達がBランク昇格した冒険者に絡むやつあるじゃないですか。前教えてくれたやつです。」
「ああ、あったね。」
「それで今日もそれをやってたんですが、相手の名前はダイアスって言うんですが、いきなりガンゾがそのダイアスって奴に腕を斬られて、そのまま殺されそうになったんです。」
「なっ!?本当かい!?それで!?ガンゾは無事なのかい?」
ガルドが焦ったような驚いた顔をして机を叩き、体を乗り出す。
「無事ですよ。間一髪って所で上級冒険者の方々が助けてくれましたので。だから落ち着いて下さい。」
「そうかっそれは良かった!本当に・・・」
椅子に戻り、落ち着きを取り戻す。
「ですがその後、上級冒険者の方が押され始めて、少し危なそうになったから、俺が止めに入りました。」
「上級冒険者までも・・・?その相手は相当強いんだな。アレス君も、そんなやつをよく止めれたね。」
「まぁそうですね。多分勝てる相手だったし、それに、人が死ぬ所は出来るだけ見たくないので。」
「うん・・・そうだね。けど、アレス君も気をつけてね。殺し合いに絶対は無いから、格下相手でも、負ける可能性はある。君がもし負けて、大怪我をしたり、死んでしまったら、僕だけじゃなくてグレン達やクラウスさん、他にも多くの人が悲しむ。」
「・・・」
「君は自分が思っているよりも、もっと多くの、色んな人に好かれてるからね。」
「そう、ですね。これからは気をつけます。」
「うん。けど、君がガンゾを助けてくれたのにも本当に感謝してるよ。」
「はい。」
ガルドは結構俺の事を心配してくれてたんだな。
グリスヴァルド頃からの付き合いだし、この街で俺の事情、記憶を無くしてるっていう話を聞いてるのもガルドパーティーだけだし、そりゃ心配もするか。
俺も出来るだけ心配かけないように動かないとな。
「ごめんね。話が脱線しちゃったね。」
「いえ、気にかけてくれてありがとうございます。」
「うん。じゃあ続きを聞かせてくれるかな?」
「あー、どこまで話しましたっけ?」
「君が上級冒険者達を助けた所だね。」
「ああ、そうでしたね。その後は、何やかんやあってギルドの会議室を使わせてくれる事になって、そこで一応解決はしたんですが・・・」
「一応?」
「はい。その問題は解決したんですけど、もうそろそろ解散!って時に商人?が来たんですよね。そいつがダイアスを連れていって・・・それで終わりです。」
「なるほど・・・そんな事があったんだね。」
「はい。その商人がベルナールって人らしいです。」




