闘技場②
「ああ、とはいえ、狭き門では有るがな。多いときだと予選の時点でも数万とか居るらしいぞ。」
「え!?マジ!?」
「マジだよ。予選は各村や街に大会関係者が赴いて、その場所で行われるんだが、例え本戦に出れなくて、予選だけで終わったとしても、その村や街にある軍や貴族の私兵とかに勧誘される事があるらしい。」
「どうしてこの大会からの勧誘が多いんだ?普通に入隊する事は出来ないのか?」
「出来るは出来る。けど、大会からの方が普通に入隊する奴よりも向上心が高いし、実力もある程度備わっている事が分かってるからな。」
「それ以外はそうじゃないと?」
「大抵軍に来るやつってのは貴族の長男以外の子供達だ。そいつらは基本的にやる気が無い。親が貴族という立場だから、多少適当にして、働かなくても生きていける。それに軍も貴族相手じゃあまり文句は言えない。軍は国の物だが、駐屯している街の領主である貴族達から活動の為の支援金を結構賄ってもらっているからな。」
「なるほどな・・・けど、グリスヴァルドの軍は普通に皆強いしちゃんと統率されてたぞ?」
「あそこは殆ど貴族の坊っちゃまが居ないからな。ずっと戦争してるし、わざわざ他の貴族が危険の多い場所に息子達を派遣させるわけも無い。」
「まぁそうか。」
「ああ、やっぱり最前線の街や、戦闘が良く起こる所は軍もしっかりしてる。というか、領主である貴族がちゃんとした人ばかりだ。エルンスト・グリスヴァルドみたいな頼りになる人が多い。他は基本クソだ。」
「おいおい、クソとか言って良いのかよ・・・。」
「駄目に決まってる。バレたら捕まるだろうな。けど言うけどね。だってクソだから。奴らは私利私欲の為にしか動かない。」
「それはクソだな。」
「だろ?」
俺が最初に出た街がグリスヴァルドで良かったな。
他の街だったら変な貴族だろうし、それに記録保持者とかバレたら追いかけ回されそうだ。
「話が逸れ過ぎたな。やっぱり闘技場の1番の目玉といえば王族が来る事だな!」
「王族が?」
「おお、国王陛下とかも見に来るらしいぞ。」
「それは確かに目玉だわ。」
こんなでけー国を束ねている人が来るとなれば、そりゃあ人気のイベントにもなる。
「後、王族の次、いや、一緒くらい人気があるのも見に来るぞ。」
「そんな奴いんの?」
そんな凄いのが来るのか?
一体誰だろうか?
う〜ん。
他国の王族とか?
いやでも王族以外か。
うん。わからん。
「誰?」
「ヴァルグレイ王国直属の最強の騎士団、白銀剣騎士団と紅焔騎士団の2つの騎士団だ!!」




