闘技場①
「おおお!でっっか!」
「だろ?この闘技場は観光区で1番大きい建物だからな!これを観にオルディアに来るやつも少なくないらしいぞ。」
なるほど、それは納得だ。
こんなに大きな建物があれば見にきたくもなるだろうなあ。
日本にあった何万人も入れるようなドームと同等以上の大きさがあるんじゃないだろうか?
この世界は大きな建物が城や貴族の屋敷とかばっかだからな。
そういうのも大きな街にしか無いし、ドーム状の大きな建物は気になるんだろう。
「ガンゾ、この闘技場は何に使われてるんだ?」
「なんだ知らねぇのか?オルディアではな、2年に
1回、武闘大会が開かれるんだ。」
「武闘大会?」
「そうだ。まぁ名前である程度予想出来たと思うが、大会の出場者達が競いあって、優勝を目指す大会だな。」
「それって誰でも出れるのか?」
「ああ。出場条件に関しては特にこれといって規則は無いな。数は少ないが、毎年魔族も少し居るらしいぞ。」
「え!?」
魔族!
魔族も大会に出れるのか!
魔族と人間じゃあ元の強さが違うし、っていうかそこまで仲が良いと思っていなかったな。
本当に何でもありなんだな。
魔族が居るって事は亜人も出場する事も出来るんだろうな。
オルディアはグリスヴァルドに比べて亜人の数がパッと見で分かるくらい多いし。
「アレスでも年相応に驚く事ってあるんだな。」
「それくらいあるよ。俺を何だと思ってんだ。」
「熟練の老剣士?」
「そんな歳じゃねえよ。」
「ははっでも俺からしたらそれくらいの強さだって事だよ。」
「そうか。」
「冷たいな。」
なんだコイツ。
急にどうしたんだ・・・
「んな事より、俺でも大会に出る事は出来んのか?」
「ああ、大丈夫だと思うぜ?さっきも言ったように基本誰でも受けられるからな。犯罪者以外はな。」
「そうか、なら大丈夫だな。」
「なんだ?武闘大会に出場するのか?」
「1回くらい出てみたいしな。記念にな。」
「ふっ。記念で武闘大会に出てみたいとは、流石、強い人は考え方が違うね。」
「ガンゾ達は出ないのか?」
「出ない!出てもボコボコにされるのが目に見えてるからな!わざわざ負けに行くほど暇じゃない!」
「「そうだ!」」
「お前ら仮にもBランクだろ?そんなにレベル高いのか?」
「まぁな。俺達でも予選くらいは突破出来るさ。ただ問題は本戦だ。本戦だと俺たちじゃ確実に勝てないからなぁ。多分1回戦目で負ける。」
「マジか。」
ガンゾ達でも初戦敗退か、結構レベル高いな。
ガンゾ達も俺より弱いとはいえ、Bランクの中で選定役みたいな役割をギルド直々に与えられてるくらいだから、めっちゃ弱いってわけでは無いだろうに。
「それに、予選もあるんだな。」
「そりゃあな。魔族からも出場者が出るくらいだぞ?ヴァルグレイ王国外からも多くの人が応募してくるからな。」
「へぇ、結構人気なんだな。」
「それはな、この大会はお披露目をする場でもあるからな。」
「お披露目?物でも売るのか?」
「売るのは自分自身だ。」
「は?」
「この大会ってのは、さっきも言った通り大規模で、色んな国や場所から、多様な人間が来る。武闘大会に出るくらいだ。腕に自信がある奴の中で、そこからさらに勝ち残った猛者が本戦の会場であるこの闘技場で開催されるんだ。」
「そうだな。それで?」
「強い奴は、誰だって欲しいだろう?」
「・・・引き抜き?」
「まぁ簡単に言えばそうだ。この大会は様々な強クランから、貴族様まで見に来る。冒険者は旅の仲間として、貴族達は自らの強力な私兵として、この大会の選手を狙っている。そして、選手もそれが狙いで良い戦績を残そうと出場する奴は多い。まぁ本戦に出ただけでも引き抜かれる事があるくらいだ。」
「なるほど。確かに、それなら出場したい人も多くなるのも分かる。あまりに好条件だ。」
「ああ、とはいえ、狭き門では有るがな。多い時だと予選の時点でも数万とか居るらしいぞ。」




