最強との対峙
「もしかして心配しているのか?安心しろ。君の目の前にいるのは、ヴァルグレイ王国最強の騎士団の1つ、黒鋼騎士団団長。漆黒の刃姫だぞ。」
ゾッとまるで金縛りにあったと錯覚してしまう程に、体が動かない。
俺は勘違いをしていた。
相手に怪我をさせてしまったらなんて思っていた。
でも、そもそもそれが間違っていた。
俺が真剣を握っていたところでこの人は怪我なんていしない。
そもそもこの人相手だと、当たりすらしないだろう。
「アレス、全力で来い!!」
「っ!うおおおお!!」
この人の覇気に呑まれるな!
足を出せ!
1本前へ!!
ダッ!!
地面を強く踏み込み、前へ出る!!
相手の覇気に呑まれるな!
気合いを入れろ!
強くなるために正面から打ち合う!!
「うおおおお!!」
上から下へ、下から上へ、俺の持っている全ての技術と経験を生かして、攻めまくる!!
相手に反撃の隙を与えないように!!!
が、俺の怒涛の攻撃は全て綺麗に、木刀で受け流されていく。
「う、らああああ!!がっ!!!」
ドゴオオン!!
「いっつ!」
くっそ。
回し蹴りをもろに食らってしまった。
あの攻撃の合間を練って、流れるような動作で胸を蹴られた。
次元が違う!
圧倒的強さ!
クラウスと対峙している時よりも、絶対に勝てないという圧倒的な絶望感を感じてしまう。
「悪くない攻撃だ。だが、これで終わりか?」
「ぐっ!まだまだああ!!」
けど、こんなところで終わってたまるか!!
痛いし、絶対に勝てないし、強すぎるし、痛いけど、でも、殺される事はない!
そう、死ぬことがないのなら、今が絶好の成長するチャンスだ!!
クラウス以外の圧倒的格上と、命を賭けずにやり合える機会なんて、滅多にないだろう!
なら、今全力で当たらなくて、どうする!!
どんだけボコボコにされても、どれだけ痛くても、どれだけ絶望的でも、食らいつけ!!
「うおおおおおおおおおお!!!!!!」
ーーーーーーーーーーーーー
「・・・どうしてそんなにボコボコなんだ?」
「ちょっと稽古で・・・。」
「はぁ、一体どんな稽古したんだよ。」
クラウスに呆れらた。
あの後、長い間打ち合ってたけど、ずっとボコボコにされてた。
結局、俺の剣はあの人に1度も、かする事さえ無く空振りか受け流された。
いやあ、まじで強すぎる。
後半から痛みが無くなってたな。
途中で止めに入ってくれたエルンストさんが居なければ、死んでたかもしれんな。ははは。
領主の館の庭でやっててよかった〜。
人の居ないところだと危なかったな。
いや結構真面目にね。
「アレス、準備は出来たのか?」
「うん、もう終わってるよ。」
「そうか。で、今日は何があったんだ?」
「それがさ〜・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「アレス、オルディアに行っても、トレーニングは怠るなよ。」
「もちろん!」
「怪我したり、病気になったらすぐに治療して貰えよ。」
「分かった!」
「向こうに行ったら、ガルド達以外にもある程度交流はしろよ。仲のいいやつは作っておけ。」
「了解!」
「それから、無理に高難度のクエストに行こうとするなよ。」
「クラウス、もう分かったよ。ありがとう。」
「あ、ああ。そうか。すまない。しつこかったな。」
「いや、心配してくれるには嬉しいけど。」
「最後に、アレス、気をつけて行ってこいよ。」
「ああ、行ってきます!」
これにて1章完結!
少しでもいいなって思ってくれたり、面白いと思ってくれたら、☆をポチッとしてくれると嬉しいです!
 




