挨拶②
「あれか。」
少し離れたところから、1つの建物を覗く。
石作りの三階建ての建物。
ギルドよりは小さいが、それでも100人くらいは簡単に入れそうな大きさだ。
入口には冒険者が2人立っている。
恐らく、警備をしてる人だろう。
さて、行こうか。
「ちょっと良いですか?」
「ん?君は、確かアレスだったか?どうした?」
「ブライドさんに会いたいんですけど、居ますかね?」
「ああ、居るぞ。今連れてこよう。」
「あ、ありがとうございます!」
お、思ったよりも結構あっさり行けた!
結構緊張したが、そんな必要は無かったな。
「ブライドにはどうな用なんだ?」
ブライドを呼びにいった人を待っていると、もう1人いた警備の冒険者が話しかけてくる。
「この街を出る事になったので、挨拶をしようかと思って来ました。いつ戻ってくるのか分からないので。」
「この街を出るのか!?そうか・・・君はここで有名になったが、他の所ではまだあまり知られてないだろう。若いってだけで絡んで来る奴も増えるだろうから、気をつけろよ。」
「ありがとうございます。」
いい人だな。
あまり関わりのない俺に忠告をしてくれるなんて。
っていうか、俺ってそんな有名なのがほんと謎なんだよな。
「あの、俺って本当にそんな有名なんですか?他の人にも言われる事あるんですが、正直実感がないんですが。」
声を掛けられる事とかも殆どないし、良く分からない。
「ああ、有名ではあると思うぞ。俺たちの間でも、たまに話題に上がるし、ギルドで君の名前が聞こえる事はあるからな。まぁ君自身には届きにくいかもしれないがな。」
「なるほど。そういう事なんですね。」
まあ少なくとも冒険者の中では有名だって事は知れたな。
とはいえ、有名だからとあまり調子に乗らない方がいいな。
痛い目を見る事になるのとかは嫌だし、クラウスにも釘を刺されてる。
俺自身もそんな事で調子に乗ろうとは思わないし。
「アレス!!待たせたな!!!」
この頭がキーンとなるようなどデカい声は!
「ブライドさん!お久しぶりです!」
「ああ!久しいな!」
やはりブライドか!
ブライドはダンジョンブレイクの方に行ってたから、戦争中に会うことは無かった。
もう数ヶ月会って無かったけど、世話になったし、挨拶はするべきだろう。
「どうしたんだアレス!俺たちのクランに入るのか!?」
「あ、いえ。違います。」
「そうか!!」
「はい。実は、この街を出る事になったので挨拶をしようと思って来ました。」
「なんだと!?それは寂しくなるな!!どれくらいの期間離れるんだ?!また帰ってくるだろう?!」
「1週間後くらいにオルディアに向かいます。その後がまだ決まってないので、もしかしたら長いこと会えなくなるかもと思います。すぐに帰ってくる可能性もありますけどね。」
「第一都市オルディアか!!!良いじゃないか!!あそこはここよりも数段デカイぞ!!アレスも見たら驚くだろう!」
「本当ですか!?」
「ああ、本当だ!!あの街はこの世界で最も栄えている場所だと思っていい!数え切れない程の人間と出会い、そして冒険者が待っているだろう!アレスよ!俺達はいつでもここにいる!!帰ってきたら声を掛けてくれ!!」
「勿論です!!」
やばい、滅茶苦茶わくわくしてきた!
ブライドさんのこのどデカい声が、俺の興奮を更に掻き立ててくる!
「お前らああ!!今日の用事は全て取り消しだ!!!宴を開くぞ!!」
「うおおおお!!」
「よっしゃああ!!任せろおお!!」
そんな急に宴開いちゃっていいのか!?
なんでもありだなこの人は!?
「来い!アレス!」
「え、俺もですか?」
「当たり前だ!!!今日の主役はお前だからな!!!大いに楽しもう!!!」
「はい!!」




