結局どうするんだ?②
「! アレス。君は、記憶が無いのか?それは本当か?」
「先生、それは本当ですか!?」
エルンストさんが俺に問い詰め寄って、シルヴィアさんは目を見開いていて、驚き過ぎで先生呼び戻ってる。
あああ、面倒臭い事になりそうだ。
何とかして誤魔化さないと!
「はい。確かに記憶は無いです。ですが、今は楽しく過ごせてるので、特に記憶を戻したいとか、思った事はないですね。新しい人生として、また一から色んなことを知っていきたいと思ってます。」
「・・・そうか。」
まぁあながち間違っては無いだろう。
記憶云々は早く終わらして、他の話題に変えないと。
「アレス、君は凄いな。記憶が無いにも関わらず、ただ生きるだけではなく、剣の腕を磨きながら、努力して生きてるというのは。しかも、その若さで。」
「シルヴィア、こいつは剣の修行を初めてまだ1年ちょっとでこれだぞ。」
シルヴィアさんがめっちゃ褒めてくれたと思ったら、クラウスがさらに追撃してくる。
「なに!?1年!?1年でBランク冒険者上位に匹敵していると言うのか!?・・・欲しい。」
「え?」
「是非!我が騎士団に欲しい!どうだろうか!?入団してくれないだろうか!?」
「え?え?ちょ、ちょっと落ち着いて下さい!」
「いいや落ち着けない!将来有望な仲間をみすみすここで見逃す訳には行かない行かない!」
「シルヴィア、強制はなしだぞ。」
「分かっています。せん、クラウスさん!」
「はぁ、本当にわかってるのやら・・・アレス、お前が決めろ。しっかりと自分で考えた上でな。」
おぉ、いきなり凄い展開になってるな。
俺が黒鋼騎士団に?入団?
無理だな。
あんな化け物集団に、俺は付いていける気がしない。
それに、騎士団に入ってしまったら、この世界を見て回る事なんて出来ないだろう。
だから、俺の答えは決まっている。
「ごめんなさいシルヴィアさん。ありがたいお言葉ですが、入団は辞めておきます。」
「どうしてだ?何か嫌な事でもあるのか?君のような有望株は、好待遇で迎え入れるぞ。」
「それでも辞めておきます。僕は、冒険者として、世界を旅して、色々な事に触れたいんです。だから、ごめんなさい。」
「そ、そうか。すまない。強引すぎたな。」
「いえ、気にしないで下さい。」
ふう。何とかなったか。
良かった良かった。
俺が騎士団に入っても邪魔になるだけだろうし。
「ただ、もし入団したくなったら、すぐに私に連絡してくれ。いつでの歓迎だ。」
「あ、はい。」
まだ完全には諦めては無かったか。
まあとりあえずは良いか。
自主性にしてくれたようだし、これが最大の譲歩だったんだろう。
「話は纏まったかな?」
「はい。話が脱線していしまい、すいません。」
「気にするな。して、アレス。君は護衛の仕事を受けてくれるって事で良いんだね?」
 




