まさかの
「お忙しいところ失礼します。エルンスト殿、何か有りましたか?」
「丁度いいところに来た。君も話に混ざれ。」
ん?
誰だ?
エルンストさんが呼んだ人かな?
知らない人は気まずいんだが。
「?何の話をなさって・・・!」
「え?ちょ、まじか・・・」
「君はあの時の少年か。それに・・・」
ま、まさかの黒鋼騎士団の団長さん!?
なんだこのメンツは!
大都市の領主と、騎士団の団長と超有名なAランク冒険者。
そしてその中に混じるたかだかCランクの俺。
・・・場違い感が凄い。
「君もそこに座りないさい。」
「はい。」
「シルヴィアか。」
「お久しぶりです。クラウスさん。少年も。先日ぶりですね。」
「あ、こ、こんにちは。」
シルヴィア?
彼女の名前か?
そういや、名前を聞いたのは初めてだな。
多くの冒険者はシルヴィアさんの事を2つ名?みたいなので呼んでたからな。
まぁ確かにカッコイイからな、漆黒の刃姫。
声に出して言いたいよな。
「それで、シルヴィアを呼んだのはエルンストさんですか?」
「そうだ。今回の話にはほとんど関係無いんだが、君は彼女と会おうとしないだろう? たまには挨拶くらいしてやれ。」
「それは会う機会が無かったからだ。」
「ふっ。どうだか。」
あ?ん?何だこの感じ?皆知り合いか?どういう状況?
「あの〜、今はどういう状況ですかね?」
「ん?アレス、彼女、シルヴィアはクラウスの弟子だ。」
「正確には弟子だった。だがな。」
「先生、私はあなたの弟子になれたことに感謝しています。」
「さっきみたいにクラウスでいいぞ。」
「分かりました先生。いえ、く、クラウスさん。」
そう言ってシルヴィアは頭を下げ、クラウスに感謝を伝える。
「シルヴィア、君は俺よりももっと凄い地位に居るんだ。一介の冒険者に、そんな簡単に頭を下げない方がいいんじゃないか。」
「地位なんてものに縛られて、自身の恩師にも感謝を伝えられないような人間にはなりたくないのです。」
「そうだぞクラウス。それくらいは許してやれ。」
「・・・分かったよ。ありがとな。シルヴィア。お弟子であるお前がここまで成長して、俺は嬉しいよ。」
そう言ってクラウスは小さく微笑んだ。
ってか弟子!?
王国最強の騎士団の団長が!?
マジか・・・いやでも、よくよく思い出してみれば、他の人たちも、俺がクラウスの弟子って知れば、シルヴィアさんの事が話題に出たり、滅茶苦茶褒めてくれたり、期待してくれたりしていたな。
なるほど、そういう事だったのか。
「この話は置いといて、エルンストさん。アレスに仕事の話をしてあげて下さい。」
「むっ、逃げたな。まあいい。アレス、仕事の話に戻ろうか。」
 




