仕事②
ダスティン公爵家
ダスティン家は王国における名門公爵家であり、長きにわたり王国の発展と戦争の歴史に深く関わってきた家系。
領地の広さと軍事的な実力を誇り、王国の安全と繁栄に多大な貢献をしてきた。
現在のダスティン家の最上位に位置するのはラドヴァン・ダスティン公爵であり、代々続いてきた伝統と忠誠心を持ち、数多くの戦争で勝利を収め、王国にとって欠かせない存在となった。
公爵家の現当主であるラドヴァンは、戦場では英雄として名を馳せ、平時には王国の政策決定においても大きな影響力を持っている。
そのため、その名声は国内外に知られており、ダスティン家は争いの多い貴族社会の中でも尊敬され、敬われる存在となっている。
あるいは、単に手が出せないだけか。
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「ダスティン家、ですか。」
「そうだ。君にはその家の当主の護衛に着いて欲しい。片道2週間ほど掛かるだろう。そこそこの間この街から離れる事になる、嫌なら断ってくれても構わない。」
時間は別に良いんだけど、そんなすっごい方の護衛なんかに、俺みたいなぺーぺーを連れて行ってもいいのかよ。
いやでも、クラウスが居るから良いのか?
「俺は良いんですが、大丈夫なんですか?俺みたいなCランクの冒険者がそんな重大な仕事を受けて。」
「ああ、そこは問題ない。今回は彼が連れて来た護衛が居るからな。とはいえ、こちらからも出さない訳にはいかない。誠意を見せる為にもな。彼自身はさほど物気にしてないだろうが、他の連中や市民にどう思われるから分からない。表上だけでも、ある程度腕の立つ護衛を出した方がいいだろう。」
向こうの護衛も居るのかって思ったけど、そらそうか。
こっちに来るまでに護衛は必要か。
「それに、ダスティン家はこの街の民にも人気だ。対応が悪ければ、反感を買ってしまうかもしれん。それは避けなければならない。だから、最近有名な君を護衛として連れて行ければ、民も納得してくれるだろう。」
「ゆ、有名?俺が?民にですか?」
な、何故?
冒険者ならともかく、どうして民にまで人気な訳?
「その歳で、しかも異例の速さでCランクまで駆け上がった新人冒険者。Aランク最上位の冒険者である、クラウスの弟子。これは冒険者だけではなく、戦が多く、漆黒の刃姫の強さを知るここの民達、特に子供達の憧れとなっている。子供が好きになった物を、その親達はすぐに認知するだろう。そうなれば、噂はすぐに広まる。」
「い、いつのまにそんな事がっ!」
「それだけではなく、君は冒険者にしては珍しく、物腰が柔らかく、丁寧で、礼儀がある人間だ。その為、関わった事のある民は、他の人に君の事を噂する。そうすれば、もう君は人気者だ。」
ま、まさかそんな事があっただなんて!?
でも、なんか褒められているみたいで嬉しいな。
裏で、俺の知らない間に評価が上がっていたとは、驚きだ。
っていうか、漆黒の刃姫?
なぜ急に彼女の名前が出て来るんだ?
「それは嬉しいです。ですが、どうして団長さんがここで出てくるんですか?」
「クラウス、教えていなかったのか?」
「教える必要がないと思ってね。」
「はぁそれくらい面倒臭がらずに教えてやれ。実はな、彼女はクラウスの・・・」
コンコンコン!
「お忙しいところ失礼します。エルンスト殿、何か有りましたか?」
「丁度いいところに来た。君も話に混ざれ。」




