仕事①
「昼にもう一度エルンストさんの所へ行く。アレス、お前も着いてこい。」
「急だな。まあ特にやる事無かったし良いけど。」
昨日俺が寝るまで帰って来なくて、朝起きて飯を食ってたら、突然こんな事を言われた。
しかも今日の昼ときた。
暇だし良いけど。
「でも、急にどうして?仕事の話をしてたんだろ?俺関係あるのか?」
「まぁそうなんだが、その話は向こうに着いてから、エルンストさんから詳しく話してくれる。から今は気にしなくていい。」
「ふ〜ん・・・で、本当は?」
「説明が面倒臭い。」
「それくらい説明してくれよ。」
「疲れたんだよ。昼まで寝る。行く時に起こしてくれ。」
「え?もしかして帰ってきたばっかり?」
「そうだ。」
「そんなに話し合いが長引いたの?」
なっが!
朝まで話してるって、一体どんな相談事だったんだ?
よっぽど厄介な相談事なんじゃ無いだろうか?
本当に俺なんかが必要なんか?
「いや、話はそこまで長引いてないが、飲みすぎた。」
「・・・・・・楽しかった?」
「ん?ああ、楽しかったぞ。んじゃ。俺は寝てくるから。」
「はぁ、分かったよ。」
なんだよ。
飲みすぎただけかよ。
疲れてただろうに、よく朝まで飲める元気あったな。
まぁでもクラウスがここまでハメを外しているのは初めて見たし、本人が楽しめたのら別にいいか。
「それにしても、一体どんな事を言われるんだろうか。」
どうしても気になる。
クラウスに持ちかけるような仕事の話に、どうして俺が参加しなきゃならないんだろうか。
俺の出る幕なんてあるのだろうか?
とはいえ、今からクラウスを起こして聞きのも気が引けるしな。
・・・大人しく待つしか無いのか。
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「護衛、ですか?」
「そうだ。君にはこの国の第一都市であり、人間の国で最も栄えている、オルディア城塞都市までの護衛を頼みたい。」
また護衛か。
正直、護衛という仕事について良い印象はない。
なんせ初めての護衛仕事で、大きめの規模の戦闘があった訳だし。
とはいえだ、今回の目的地は第一都市!!
これはわざわざ護衛の仕事を請け負ってでも、行く価値はあるんじゃないでしょうか!?
というか、俺がこの世界で知っている街は、このグレイヴァルドしかない。
それはあまりに、知っている世界が狭すぎる。
せっかく異世界に来たんだし、色んな事を知りたい。
なら、今回の機会に行くのはありなんじゃないか?
旅費や装備品、道中の宿泊費などの金も全て出してくれるらしいし、なんせ報酬が良い。
「ちなみに、誰を護衛すればいいんですか?」
「ダスティン家の領主である。ラドヴァン・ダスティン公爵をオルディア城塞都市まで護衛して欲しい。」




