異世界転移
いきなりだけど、俺はぼっちだ。
けど、別にコミュ障だとか言うわけではない。
クラスメイトとちゃんと話せるし、会話に詰まったりしてキョドるなんてこともない。
ただ休み時間はずっと自分の部屋でラノベ読んでるけどね。
一般的には今の話を聞けば陰キャ野郎だと想像するだろうけど、ただ1つ言いたいのは俺はイケメンだ。
いやこれは言い過ぎたか・・・・・・割と顔は整っていると思う、いや、でも、うん。とりあえずブスでは無い思う。
だって中学高校と数回告白されてるんだぜ?
部屋の隅でラノベ読んでニヤニヤしてる様なやつが。
これはもう客観的に見てもそこそこ顔いいのでは? いいはずだきっとそうだそうだと信じさせてくれッ!!
俺がブスなら告白してくれた彼女達がB専という汚名を被ってしまう。
それだけは避けてあげたい! 俺のためではなく彼女達為にも!
そういう訳で俺は断じてブスではない。
ちなみに付き合ったことはない。何故なら俺は2次元の女性にガチ恋しているからだ・・・・・・。
「ただいまー」
虚しくなりながら挨拶をしながら家へ入るが帰ってくる返事はない。
今俺は高校生にして一人暮らし中だ。
両親とは別々に暮らしているけど、学費やら家賃やら必要な費用は全部出してくれているので辛いなんてことはない。
寧ろ楽だ。
「ふぅ、疲れた」
鞄を机に置いてドサッとベットに飛び込み仰向けになる。
「あ、しまったな。学校に忘れた。今から取りに帰るの面倒だし・・・・・・」
俺としたことがラノベを学校の机の中に置き忘れてしまったっぽい。
俺の癒しが、なんてこった。
「今日は疲れたなぁ」
学校であった持久走を思い出しながら疲れ果てた足を揉む。
割と走るのは好きだから意気揚々と走り始めるけど、中盤辺りから地獄に変わる。
「・・・・・・」
家にゲーム機なんてないので、ラノベがないと暇だ。
宿題なんて明日学校行ってからやればいいし、何をしようかとぼーっとしてると段々瞼が重くなってきた。
あ、やばい。これ寝るわ。
視界が完全に暗闇に染まり、意識がそこで途絶えた。
「・・・・・・ぅ、っまぶしいな」
目を閉じていても分かるほどに外が明るくて起きてしまった。
もしかして夜何も出来ずに次の日が来てしまったのかと思い、後悔しながらゆっくりと目を開けるとそこにはどこまでも続く雲1つない青空が広がっていた。
「・・・・・・は?」
なんで空?
起き上がって周りを見渡す。
見渡す限りの草原だ。
奥には山脈があるな。
ものすごくでかい。
反対の少し遠くには森が見える。
「・・・・・・なんでぇ?」
どういう状況だ?
昨日は家帰って疲れてすぐ寝てそれから・・・・・・本当になんで?
もしかしたら夢か?
これは夢なんだなうん、そうに違いない。
「痛っ」
頬をつねってみると痛みがある、風が吹いているのも感じている。
草を触ったときのざらつき。
五感の全てがある。
「夢じゃないな」
どうしたものか。
こんな何もないところにいきなり1人とか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・・・・少し落ち着いてきたな。
ここは、一体どこなんだろうか。
日本?それとも海外?
わからん。
仮に海外だとしたら俺はどうやって生きて行けばいいんだろうか。
日本語しか話せないぞ。
・・・・・・とりあえずここが何処か分からないと帰る事も出来ない。
誰か人を探そう。
出来れば村とか見つけたいけど、無理なら1人でもいいから見つけないと。
「・・・・・・あっちの方に道っぽいのがあるし、行ってみるか。」
ーーー
草が生い茂ってるせいで分かりにくいかも知れないが、草が踏まれて誰かが通った感じがある。
確実に何かが通った後だろう。
人間じゃないかもしれないが。
まぁ今はそんな事どうでもいいか。
道に沿って歩けば何処か人のいるところに辿り着けそうだ。
とりあえず俺は道っぽいところをなぞって森の中へと入っていった。
ーーー
数時間くらい経っただろうか、喉が乾いて腹も減ってきた。
辛い、裸足だし足も痛い。
せめて水と食べ物と靴と自転車があればなぁ。
そう思いながら周りを観察しながら進んでいく。
「あっ!」
池だ!
少し奥だが見える位置に池があった。
運がいい。
これで少しは喉の乾きを潤せるか。
濾過もできないし火がないから煮沸も出来ないけど、そんな事言ってられないか。
とりあえず池に向かおう・・・・・・と思ったが
ん? 何かいるな。
「人・・・・・・じゃないな」
茂みの中から隠れて恐る恐るその正体を観察する。
ラノベでよく出てくるゴブリンと言われるようなやつに似ている。
肌が真緑の人間っていたっけ・・・・・・いないよな、多分。黒と白と黄色しかいないよ地球には。
・・・・・・あまり信じたくはないが、もしかしてここって異世界なんじゃ
「ゴクンっ・・・・・・」
いや今はそんなことよりこっちに集中しよう。
早く水が飲みたい!
けど、あれが襲ってくるかも分からないし少し池から離れた草むらに身を隠して、ゴブリンを観察しよう。
むやみに近ずかない方がいいだろう。
ゴブリンって大抵は敵役だし。
どうしようか。
ゴブリンは一匹。
桶? のようなものを持っている。
少し小さいような気もするが。
水を汲んでいるようだ。
傍に棍棒的なのがあるな。
「うっわぁ・・・・・・」
あれ血着いてるよ! 怖っ! なんの血だよあれ!?
うーん、これは流石にゴブリンが去るまで待った方がいいかもな。
襲ってきたら怖いし。
でも早く水も飲みたいしそれにずっと草むらに身を隠すのも辛いしな。
もう少し離れて待つか。
よし、そうとなればすぐに移動しようそうしよう。
こんな所に緑の化け物と一緒にいるなんて気が気じゃない!
慎重に、物音を立てず、バレないように。
パキッ!
「っ・・・・・・」
やってしまったー! 木の枝を踏んでしまった!
なんでこんな時にお願い頼むバレてないでくれ!
恐る恐るゴブリンの方を確認すると、目が合った。
・・・・・・合ってしまった。
見つかってしまった。
「クソッ!」
すぐに逃げないと。
あいつが襲ってくるかなんて分からない
だけど俺は走り出す。
しかしここは森でそれも結構深い。
道からも逸れてまともな整備もされていない。
木の根っこに引っかっかって転びそうになる。
「ギャッ!ギャッ!!」
ゴブリンの叫び声が後ろで聞こえる。
少し振り返る。
「うわっ!?」
もうすぐ後ろにいた!
棍棒を俺に向けてフルスイングしようとしてる!
それを反射的に転がって避ける!
ブオオンッと音を立てながら俺がいた所をすぐ棍棒が通り過ぎていった。
やばい、腰が抜けて立ち上がれない!
「はぁ、はぁ、うっ!?」
それどころか転がった先に少しとんがった小さめな石があったせいで激痛が走りすぐに立ち上がれなかった。
そしてまた棍棒が振り下ろされる!!!
ガンッッ!!!
「!? ぐっ! っぁぁ!!!」
俺が倒れていると真上から腹に思い切り棍棒が振り下ろされた。
痛みでもがいているとまた棍棒が振り下ろされる。
ガンッ!
「ウッ!??」
次は頭に直撃し鈍い音がなって目眩のような感覚に陥る。
痛い痛いやばいこのままじゃ死ぬ!!
確実にこいつは俺の事を殺しに来てる!?
「ふっざけんじゃねええッ!!」
歯を食いしばれ!
こんな所で死んでたまるか!!
せっかく異世界にきたんだ!
何も出来ずに死ぬなんてごめんだ!
「ぐっ!うおおおおおぉぉぉお!!!」
ゴブリンが今度こそは俺を仕留めようと棍棒を目一杯に振り上げていた隙にゴブリンにタックルをして咄嗟に押さえ込んだ。
俺の事をどかそうと必死に暴れて始めるが俺は必死に踏みとどまる!
どうにかしてこいつを無抵抗にさせないと!
と思っていた矢先 、顔面を殴られ視線が横に向いてしまった上に棍棒を抑える手が少し緩んだ。
しかし、目線の先には先程のとんがった小さい石が目に入った!
俺は咄嗟にそれを掴みゴブリンの棍棒を持っている腕に突き刺した!!
「ギャァァァァァァ!!」
ゴブリンの悲鳴が森に響く!
俺はそのままの勢いでゴブリンの胸に、腹に、そしてもう片方の腕に、目に、石を突き刺す!
「あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!!」
俺は声にならない声を上げながら何度も何度も石を振り上げては思いっきり突き刺す!
自分が死な無いために。
暫くしてビチャビチャという音だけが周りに響くようになった時、俺は手を止めた。
夢中になりすぎて気づかなかった。
自分にもゴブリンにも周りにも血が飛び散っていて、ゴブリンはもう死んでいた。
・・・・・・ああ、俺が殺したのか。
「うっ!」
急に吐き気が込み上げて・・・・・・吐いてしまった。
グロい。
血腥いツンとした臭いが鼻の奥を突く。
内臓がぐちゃぐちゃに飛び散ったゴブリンの死体を見てまた吐き気が込み上げてくる。
・・・・・・気持ち悪い。
「うっ! おええええぇ!」
そしてまた吐いてしまった。
生き残る為とはいえ、仕方が無かった事とはいえ、殺した時の感覚が消えない。
もっと良い解決策はあったのではないか。
そう思わずには居られなかった。
まぁ見つからなかったら良かったわけなんだけど。
しかし、ゴブリンの方もこちらを殺す気だったし、生き残るならどっちみち殺すしか無かったのだうか。
「勘弁してくれ・・・・・・殴り合いもしたことないんだぞ」
そうだ。池だ、池に向かおう。
水が欲しいし血も洗い流したい。
すぐに行こう。
ーーーーーーー
「ふう」
水を飲んで体を洗い、服も洗っておいた。
暖かい日で良かった。
……一応さっきのゴブリンが使っていた棍棒も持ってきて、血を洗い流しておいた。
念の為に持っていこうと思う。
ゴブリンは桶を池の近くに置いたまま俺の方へ来ていたようだ。
・・・・・・ってかこれ桶じゃなくて水筒っぽいな。
遠目じゃ分からなかったけど蓋あるし、持ち運びやすい大きさだし。
でも、ゴブリンって水筒なんて作れんのか。
多分、木で作られてるだろうしこれがゴブリンに作られたものだとしたらすごいな。
俺は少し驚きながら周りを見渡して後悔した。
・・・・・・前言撤回、全然ゴブリンのでは無さそうだ。
焚き火がある。
周りには釣り道具っぽいのと大きめの桶、桶の中には魚が入ってる。
革製の鞄? リュックのような物もある。
そして周りには血が飛び散っていて1人の男性が倒れていた。
血まみれで打撲痕だらけだ。
特に顔面は酷く原型は無くしていて目玉が飛び出ていた。
「うっっ!」
また、吐きそうになる。
さっきのゴブリンに殺されたんだろう。
・・・・・・もし俺がもう少し早くきていればこの人も生き残っていたんじゃないのか。
・・・・・・いや、俺が居たとしても両方殺されただけかもしれない。
さっき勝てたのは運が良かったからだ。
たまたま、一発目を避けられたから。
たまたま、2発目で意識が飛ばなかったから。
たまたま、近くに鋭利な石があったから。
本当に運が良かったから勝てただけなんだ。
1度勝ったからって調子に乗っては行けない。
まだ森の中だしゴブリンがいるかもしれない。
次も勝てる保証はない。
「くそっ」
だめだ、こんな事ばかり考えるな。
森を何時抜けられるか分からないんだ。
こんな所では止まってられない。
それでもさっきの事を思い出すと足は重くなる。
でも、さっきとは違って今は棍棒もある。
男性の鞄の中には包帯も入っていたから血だらけの足に包帯を巻いて靴を頂戴した。
まだ足は痛いけど靴があるだけで大分マシになった。
もし何かあっても逃げる切るくらいはできるだろう。
後は先へ進むしかない。
ここでちんたらしてても意味は無いだろうし、服ももう乾いてそうだからそろそろ進もう。
「・・・・・・よし!行こう!」
俺は男性に手を合わせ進み出した。




