異世界転移
目が覚めると、綺麗な青い空が見える。
うん、今日も晴天だ。
いい日だな。
「…………は?」
なんで空?
起き上がって周りを見渡す。
見渡す限りの草原だ。
奥には山脈があるな。
ものすごくでかい。
反対の少し遠くには森が見える。
「いや、は?え?なんで?」
どういう状況だ?
そもそも何でこんな場所にいるんだ?
昨日は普通に学校あったよな?
部活は……まぁ入ってないけど。
学校終わって、その後すぐ家に帰って飯食っていつも通りゲームして自分のベットで寝たはずだ。
そう。いつも通りの、刺激のないつまらない日常だったはずだ。
……だったはずなのに、本当になんで?
もしかしたら夢か?
これは夢なんだな
……頬つねってみるか
「痛っ」
いや普通に痛いな!
……痛みがある、風が吹いているのも感じている。
草を触ったときのざらつき。
五感の全てがある。
「夢じゃないな」
どうしたものか。
こんな何もないところにいきなり1人とか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…………少し落ち着いてきたな。
ここは、一体どこなんだろうか。
日本?それとも海外?
わからん。
仮に海外だとしたら俺はどうやって生きて行けばいいんだろうか。
日本語しか話せないぞ。
……とりあえず、ここが何処か分からないと、帰る事も出来ない。
誰か、人を探そう。
出来れば村とか見つけたいけど、無理なら1人でもいいから見つけないと。
周りを見渡す。
「・・・あっちの方に道っぽいのがあるし、行ってみるか。」
ーーー
……んー、これは道……だよな?
草が生い茂ってるせいで分かりにくいかも知れないが、少し歩きやすいように整備されていたような感じがする。
草も踏まれて潰れてるのもある。
確実に誰かが通った後だろう。
人間じゃないかもしれないが。
……こんなにも草が生い茂ってるのはもう使われなくなったせいで整備がされなくなったのか?
まぁ今はそんな事どうでもいいか。
道に沿って歩けば何処か人のいるところに辿り着け
そうだ。
この道は反対の森の方まで続いてるようだし、そっちに進んでみるか。
平原の方は続いてる感じがするがパッと見た感じ遠くの方にも何も無さそうだし、森の方に行くか。
まぁどっち行ってもどこかにはたどり着くと思うが。
とりあえず、森の方に向かうか。
ーーー
森に入った瞬間少し湿った土を踏みしめる。
遠くの方で鳥のさえずりも聞こえる。
平原と違って生物は居そうだな。
平原はあんなに見晴らしがいいのに人間どころか生き物の影すら見えなかったからな・・・
鳥の声が聞こえるだけ何だか安心してしまう。
やはり、自分以外の生命の気配がないと心細いからな。
ーーーーーーーーーーー
少し疲れてきたな。
今はどれくらい進んだんだろうか。
まだまだ道は、森は続くのか。
それとも、もう少しで森を抜けるのだろうか。
喉が乾いて、腹も減った。
ずっとこのままだとやばいな。
精神的にも辛いし。
せめて水だけでも飲まれば。
そう思いながら周りを観察しながら進んでいく。
……!
池だ!
少し奥だが見える位置に池がある。
運がいい。
これで少しは乾きを潤せるだろ。
とはいっても。
濾過もできないし火がないから煮沸も出来ない。
そんな事言ってられないか。
とりあえず池に向かおう。
……ん?何かいるな。
「なんだあれ……?」
人型で緑の小柄な生き物だ。
漫画やアニメでゴブリンと言われるようなやつに似ている。
あんなヤツ、この世界に居たか?
いや、聞いた事もないし、見たこともない。
これって本当に元いた世界か?
もしかして、ここって異世界なんじゃ……
「ゴクンっ……」
いや、今はそんなことより、こっちに集中しよう!
早く水が飲みたいけど、あれが襲ってくるかも分からないし、少し池から離れた草むらに身を隠して、ゴブリンを観察しよう。
むやみに近ずかない方がいいだろう。
ゴブリンって大抵は敵役だし。
どうしようか。
ゴブリンは一匹。
桶?のようなものを持っている。
少し小さいような気もするが。
水を汲んでいるようだ。
傍に棍棒てきなのがあるな。
怖っ!
あれでほかの生き物を殴って殺したりするのかな。
いやでも護身用かもしれないし見つかっただけで襲ってくるとかは流石に無いだろ。
……血ついてるよ。
何の血かなんて分からないけど。
やっぱ護身用だとしても怖いわ!
うーん。
ゴブリンが去るまで待とうか。
でも早く水も飲みたいしそれにずっと草むらに身を隠すのも辛いしな。
もう少し離れて待つか。
よし、そうとなればすぐに移動しようか。
慎重に、物音を立てず、バレないように。
パキッ!
木の枝を踏んでしまった。
慌ててゴブリンの方を確認する。
目が合う。
……合ってしまった。
見つかってしまった。
「クソッ!」
すぐに逃げないと。
あいつが襲ってくるかなんて分からない
だけど俺は走り出す。
しかし、ここは森、それも深い。
道からも逸れてまともな整備もされていない。
木の根っこに引っかっかって転びそうになる。
「ギャッ!ギャッ!!」
ゴブリンの叫び声が後ろで聞こえる。
少し振り返る。
「なっ!?」
もうすぐ後ろにいた!
棍棒を俺に向けてフルスイングしようとしてる!
それを反射的に転がって避ける!
危ねぇ!
今俺のすぐ上を通った!
やばいやばいどうする!!
ゴブリンがまた俺を殴ろうとしてる
まだ立ち上がれてない!
それどころか転びがった所に少しとんがった小さめな石があったせいで上手く回ることも出来ずに倒れてしまった!
棍棒が振り下ろされる!!!
ガンッッ!!!
「!?ぐっ!っぁぁ!!!」
俺が転がっている真上から腹に思い切り棍棒が当たった!
痛みでもだいているとまた棍棒が振り下ろされた!
ガンッ!
「ウッ!??」
今度は頭を狙ってきた!
さっきより棍棒に勢いがついてなかったからか1回目よりも威力は弱かった。
それでも俺には大ダメージだが。
痛い痛いやばいこのままじゃ死ぬ!
確実にこいつは俺の事を殺しに来てる
歯を食いしばれ!
こんな所で死んでたまるか!!
せっかく異世界にきたんだ!
何も出来ずに死ぬなんてごめんだ!
「ぐっ!うおおおおおぉぉぉお!!!」
ゴブリンが今度こそは俺を仕留めようと棍棒を目一杯に振り上げていた隙にゴブリンにタックルをし 、咄嗟に押さえ込んだ。
俺の事をどかそうと必死に暴れている。
少しよろけそうになったが何とか踏みとどまる。
どうにかしてこいつを無抵抗にさせないと!
と思っていた矢先 、顔面を殴られ視線が横に向いてしまった上に棍棒を抑える手が少し緩んだ。
しかし、目線の先には先程のとんがった小さい石が目に入った!
俺は咄嗟にそれを掴みゴブリンの棍棒を持っている腕に突き刺した!!
「ギャァァァァァァ!!」
ゴブリンの悲鳴が森に響く!
俺はそのままの勢いでゴブリンの胸に、腹に、もう片方の腕に、目に、石を突き刺す!
「あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ!!!」
何度も何度も突き刺す。
しばらくして手を止める。
ゴブリンは死んでいた。
夢中になりすぎて気づかなかった。
自分にもゴブリンにも周りにも血が飛び散っている。
……俺が殺したのか。
「うっ!」
吐き気が込み上げた。
……吐いてしまった。
初めて殺した。
虫を殺すのとは違う。
桶で水を集めて、生活していたんだろう。
人間の様な知性があり、大きさは人間の小学1,2年生くらいだ。
…………それを殺した。
鶏や豚、食用の動物達でさせ自分の手で殺した事はない。
なのに人間に似た生き物を殺した。
何度も、執拗に石を使って殺した。
殺した時の感覚まだ残っている。
思い出すだけで、また吐き気が込み上げてくる。
……気持ち悪い。
胃の中身が込み上げてくる。
「うっ!おええええぇ!」
また吐いてしまった。
生き残る為とはいえ、仕方が無かった事とはいえ、殺した時の感覚が消えない。
もっと良い解決策はあったのではないか。
そう思わずには居られなかった。
しかし、ゴブリンの方もこちらを殺す気だった。
そして俺は殺しどころか殴り合いだって殆どしたことが無い。
どっちみち殺すしか無かったのだうか。
……いや、今はこんな事で留まってられない。
池だ、池に向かおう。
水が欲しい。
血も洗い流したい。
行こう。
ーーーーーーー
「ふう」
水を飲んで体を洗い、服も洗っておいた。
暖かい日で良かった。
……一応さっきのゴブリンが使っていた棍棒も持ってきて、血を洗い流しておいた。
念の為に持って置こうと思う。
ゴブリンは桶を池の近くに置いたまま俺の方へ来ていたようだ。
……ってかこれ桶じゃなくて水筒っぽいな。
蓋あるし、持ち運びやすい大きさだし。
でも、ゴブリンって水筒なんて作れんのか。
多分、木で作られてるだろうしこれがゴブリンに作られたものだとしたらすごいな。
俺は少し驚きながら周りを見渡す。
……前言撤回、全然ゴブリンのでは無さそうだ。
焚き火がある。
周りには釣り道具っぽいのと大きめの桶、桶の中には魚が入ってる。
鞄 ? リュックのような物もある。
そして周りには血が飛び散っている。
1人の男性が倒れてる。
血まみれで打撲痕だらけだ。
目玉が飛び出ていた。
「うっっ!」
また、吐きそうになる。
ゴブリンに殺されたんだろう。
……なぜゴブリンは人を襲うのか。
……もし俺がもう少し早くきていればこの人も生き残っていたんじゃないのか。
………いや、俺が居たとしても両方殺されただけかもしれない。
さっき勝てたのは運が良かったからだ。
たまたま、一発目を避けれたから。
たまたま、2発目で意識が飛ばなかったから。
たまたま、近くに石があったから。
あの周りには他には石なんて無かった。
本当に運が良かったから勝てただけなんだ。
1度勝ったからって調子乗っては行けない。
まだ森の中だしゴブリンがいるかもしれない。
次は、勝てる保証がない。
「くそっ」
だめだ、こんな事ばかり考えるな。
もう昼時だ。
森を何時抜けられるか分からないんだ。
こんな所では止まってられない。
それでもさっきの事を思い出すと足は重くなる。
でも、さっきとは違って今は棍棒もある。
男性の鞄の中には包帯も入っていたからそれも頂戴した。
もし何かあっても逃げる切るくらいはできるだろう
もう、先へ進むしかない。
ここでちんたらしてても意味は無いだろう。
服ももう乾いてるだろうしそろそろ進もう。
「……よし!行こう!」
俺は男性に手を合わせ進み出した。
面白い、少しでも続きを読みたいと思って下さったらブックマークをポチッとしてくれると嬉しいです!