58.元祖って言い出したもの勝ちじゃないんですか
巨大な一翼の羽ばたきで柔らかな辺りの雪は盛大に舞い上がった。
優陽は顔面に張り付いてきた雪を手で払う。冷たい。寒い。
震える優陽の頭に積もった雪をラーストーが雑に払いのける中、ずしんと地面が揺れる。
優陽はグラトナスと顔を見合わせ、目の前に着地した巨体を指した。
「……アロガントさん?」
「うん。これがアロだよー」
「お、おっきいね……」
竜の姿になったアイギスも充分大きかった。さらにその倍はあろうかと思われる。まさに怪獣。
全身は黒く艶やかな鱗に覆われ、宝石のような光沢がある。姿形もTheドラゴンと呼ぶにふさわしい造形。金色の目だけが暗闇に浮かんでいるようだった。
竜が体を反転させると優陽はまた目の前が真っ白になり、寒さに震えた。耳が千切れそうだ。
「グラトナス。何かあれば呼べと申したはずだぞ」
その声も威厳に満ちた、と言ったところ。
地鳴りを響かせながら竜は優陽たちの前で翼を畳む。潰れたテントがいい感じの絨毯のようだ。
身を固くする優陽をしり目にグラトナスは足元で雪を被る芋の箱を指さす。
「ごはんを探しに来たんだから持って帰らないと~」
「そうではない……。そこな『魔喰らい』と『神殺し』じゃ。リュシオンの手のものだったらどうするつもりだった」
竜は長い首を振って翼の先でこちらを示した。
見た目によらず問題なく意思疎通ができそうだ。アイギスは竜の姿になってしまうと話せなくなってしまう様子だったが、長く生きていると会話ができるようになるのだろうか。
冷たい風を避けるため、優陽はラーストーの後ろへ身を隠す。
「あの、初めまして……。突然のことで申し訳ありませんが、お聞きしたいことがありまして……」
「我は忙しい。主らの話しを聞いている暇は無い」
「え〜……。シャレムお姉ちゃんがご飯作ってくれるみたいだから行こうよぉ」
「……シャレム?」
つれない様子の竜はグラの抗議に目を瞬く。金色の瞳を細め、竜はこちらへ首を伸ばす。
「もしや、エストリンドの娘か」
「あ、はい。左様でございます……」
竜の間ではエストリンド家は名高いらしい。悪名でなければ良いのだが。
近付いてきた息遣いにラーストーは槍の先端を向ける。
「その図体でそんな近寄られたんじゃお嬢が吹っ飛んじまう。気を付けてくれよ」
「相も変わらぬ無礼な言動じゃな『魔喰らい』。主らの一族は総じて礼儀知らずよ」
「アンタが傲慢なだけじゃねぇのか? だったら、神様に土地をおわれても自業自得ってもんだ」
「フン……。神に土地を追放されたのならば我とて文句は言わぬ。だが、アレは神ではない。神に成り変わらんとする下賤の魔よ」
「アレというのは……。もしかして……。聖リュシオンのことでしょうか?」
サヘルの話しでは、昔話になるほど昔に、この地を支配していた竜は聖リュシオンに敗れ、その罪を竜の血を引いている者たちが背負っているのだと言う。
アロガントは鼻をならす。
「この大陸に神性を持つほどのモノはそもそも存在しておらん。大抵は神域より向こうの神世から追い出された罪人か、魔窟からながれてきた魔性よ」
「罪人か、ましょう……?」
優陽はアロガントと呼ばれた竜の言葉を反復してどうにか話しを理解しようとした。
つまり、聖リュシオンは神ではない。では何故、神として崇められているのか。竜の血を引く者たちは罪を背負っているのか。
様々な疑問が怒涛のごとく押し寄せてきて目が回る。
優陽と同じ疑問を感じたらしきラーストーは笑みを深めた。
「ほぉ……? そりゃまた、随分と興味深い話しだ。アンタが本当に原初の竜だって言うなら、詳しい話しを聞かない訳にはいかなくなったな」
「それなるがエストリンドに生まれた凶星であれば我にも用がある。時間を割いてやっても構わん」
「やったぁ〜。じゃあ、ご飯を食べに行こう〜」
「仕方ない。どうせ北にある砦から来たのだろう。背に乗せてやるから光栄に思え」
「え? まさか今のでお話しまとまったんですか? ちょっと、あの……?」
ご機嫌なグラトナスに手を引かれた優陽は有無も言わさずに空中へ放り出されていた。彼女の体は重力に逆らい、ゆるりと奇妙な放物線を描いた後。ぼとりと巨大な翼の付け根へ落とされた。
落ちた高さが大したことないにしても、明らかに扱いが荷物。
優陽は臀部をさすった。厚着をしていたから良いものを。
「……もう少し優しく下ろしてくれても」
「次はちゃんと足から下りた方がいいよぉ」
「せめて一言……」
話しが噛み合いそうにない。
優陽は座り直して自身が座っている巨大な背中を撫でてみた。冷たい鱗は見た目通りすべすべとした肌触り。一口に黒とは言え角度によって色味が変わる。
「……アイギスもこんな感じなのかな」
竜の体になった彼をよく眺めたことはない。彼の鱗は鈍い灰色でアロガントのように光沢はなかった。
ラーストーとグラトナスが事もなげに背中へ登ってくると、巨体はむくりと四肢を持ち上げる。
「振り落されても我は助けぬ故、自分でどうにかせよ」
「アンタが魔物に襲われて墜落しなきゃどうともなる」
「あのような小物などひとつ羽ばたけば吹き飛ぶわ」
冷たい風が全身を覆う。堪らず目を閉ざした。
ラーストーに引き寄せられた気がする。
体温を感じて恐る恐る瞼を開くと空が一気に近くなっていた。
優陽はラーストーの下から辺りを見回す。先ほどまでいたリュシオンの陣後が一望できる。荷車やテントがあっという間に点になってしまった。
「……命綱とか無いんですけどホントに大丈夫ですか」
「落ちそうになったら槍ぶっ刺させばどうにかなるだろ」
「その編み針で我が体を貫けると思うておるならやってみるがよい」
「ほーん……?」
「痛いっ……?!」
「ぎゃあああぁっ?!!」
さくりと先端が鱗に刺さる。大空を蛇行した巨体は近くを飛んでいた魔物をそのしなやかな尾で弾き飛ばした。
優陽は悲鳴をあげながらラーストーの腕を死にものぐるいで掴んだ。
「何してるんですか?!」
「本当に刺す奴があるか大馬鹿者が!! これだから『魔喰らい』は嫌いじゃ!!」
「刺してみろって言われたら刺せねぇものだと思うだろ」
「手の込んだ自殺やめてもらえます?!」
「悪かったって。ちょっと好奇心が勝ったというか……」
「おじさんの槍からは、おじさんとは別の魔力を感じるねぇ。アロの鱗を剥がせるなんて、すごいまじないだなぁ」
どれだけ揺れても不思議と微動だにしないグラトナスは呑気に笑う。まるでアロガントの背中に磁石でくっついているようだ。
ラーストーは槍の柄をセーフティーバーのようにして優陽の体を引き寄せた。あまり意味があるとは思えないが無いよりはマシだろう。
グラトナスと同じくくつろぐラーストーは頬杖をつく。
「竜から見てもこの力は普通じゃねぇのか」
「我が体に大概の魔術は効かぬ。神秘を孕んでおらねばその槍は折れておるわ」
「はぁ……? なら、ケテルの奴は人の域を超えてるってことになるんだがな……」
「ケテルって、ケテル・ミトロンかなぁ? リュシオンの第1王子様?」
「ああ。そのケテルだ。お嬢をコッチへ連れてきたのもケテルだぜ」
「そうなんだぁ。あのお兄さんはシャレムお姉ちゃんの対になる星だから、神秘に近いのは当然かも〜」
「どーいう理屈……?」
字の通りであれば、神秘とは人ではあり得ない力をもつ存在のこと。人間であるケテル・ミトロンが神秘に近いのが当然だったらおかしな話しだ。いや、もう充分に人外要素が出そろっているので今さら驚きはしないのだが。
優陽は苦虫を噛む。
それよりもケテルの対になるのが『シャレム・エストリンド』というのがよく分からない。彼女が死んだ原因はそのケテル・ミトロンだ。謎は深まっていく。
そこへ。優陽の視界に光の筋が広がってきた。陽光、ではなさそうだ。冬の空は相変わらず暗雲に覆われ、禍々しい雲は渦を巻いている。
方角や高さにしても太陽にしてはやけに近い。
「ありゃなんだ?」
翼の向こうの景色を見ようと乗り出した優陽の首根っこをラーストーが掴む。
身を切るようだった冷たい風が途端に柔らかくなった。かじかんだ指に感覚が戻ってくる不思議な温かさは不自然だが嫌悪感はない。それどころか、優陽は馴染み深ささえ覚えた。
アロガントは速度を落とし、その場でゆっくりと旋回する。
「アレは……。何じゃ……?」
「お仲間じゃねぇのかよ」
「ふむ……。仲間と呼ぶにはいささか難しい存在であろうな」
まばゆく輝くそのシルエットはアロガントと似ている。違いと言えば、その翼が白く発光している存在は三翼あるということだ。この距離からでもシルエットが分かると言うことは、アロガントに負けず劣らずの大きさになるだろう。それだけの巨体で羽ばたきもしないでいて宙に浮いているのはどういった原理なのか、まるで分からない。
グラトナスが首を傾げる。
「外側は竜だけど、中身が竜じゃなさそうだねぇ……。だいぶムリをしてるんじゃないかなぁ」
「外側と中身ってどういう……?」
「主らがリュシオンの国王と女王として敬っとるアレと同じよ。アレとは違い、中身の自我はまだあるようだがな」
「んん……? 自我って……?」
優陽はラーストーと顔を見合わせる。目があった彼も肩を竦めてみせた。
アロガントの言い様では、まるでリュシオンの国王と女王には自我がない。つまりは自分の意思で動いていないということではなかろうか。
謎に包まれた白い存在は大きくひとつ羽ばたいた。途端に暗雲が吹き飛び、青い空が広がっていく。先ほどまで体にまとわりついていた陰気な空気も嘘のように消えている。
冬の風が再び吹きつける。冷たいそれがさわやかにさえ思えた。
白の輝きは徐々に収束していく。それに合わせその姿もおぼろげになり、見えなくなった。
呆然としていた優陽は我に返ってアロガントとグラトナスを交互に見る。
「それで……。今のは何だったんですか?」
「奴は女王が我らの眷族に発した呪いを相殺したようだ。主らには我らの血が一滴も流れていない故、何も感じぬだろうがな」
「……そういえば、何でおふたりは平気そうなんです?」
別れたアイギスの背が優陽の脳裏をよぎる。
今さら気付いた。彼らは竜だ。竜の血が流れているのであればリュシオンの呪いを受けているはず。なのに、苦しんでいる様子はひとつもない。
グラトナスは目を閉ざして体を左右に揺らした。
「僕らがリュシオンに一度も連れて行かれたことのない純血だからだよ〜。リュシオンの眷族と違って僕らは血に呪いをかけられてないから、すごーい気持ちは悪いけど抵抗はできるんだ〜」
「それがホントなら、竜が大昔に罪を犯したから呪われてるって話しは?」
「我らに罪があって呪われているならば、主ら人間が呪われておらんのはおかしな話しよ」
「それもそうだ」
ラーストーは膝に頬杖をついたまま笑う。
振り子のように体を揺らしているグラトナスへ、優陽はためらいながらも口を開いた。
「じゃあ……。竜に罪があるから、その償いをするためにリュシオンの竜の人たちが国に尽くしてるっていうのは…………」
「僕らの眷族が本当に罪を侵していたとしても、だからといってリュシオンに仕える道理はないでしょー?」
「そもそもリュシオンが言ってる、竜がおかした罪って…………」
「この地で安穏としていた我らに救いを求めてきたのはヒトぞ。ようやく神々のワガママから解放されたかと思えば、とんだとばっちりよ……」
「アロのこういうトコとかー。元々は神サマの遣いだから、言葉選びができないで気を悪くしたらごめんねぇ」
「他人事のように抜かすでないわ」
「僕は半分の半分人間だからアロと違って空気くらいは読めるよ~」
「…………」
「顔色が悪いぜ。大丈夫か、お嬢」
大丈夫。とは言い難い。
ラーストーの足の上で優陽は震える手を握りしめていた。
なら、アイギスやスロース、レイやジャラスたちは何のためにこれまで戦ってきたのだ。生まれた時から押された罪人の烙印はそもそも偽りで、彼らには何の落ち度もなかったとしたら。彼らが払ってきた犠牲の意味は。
国王と女王はそれらを承知しているのだろうか。王子であるケテル・ミトロンは。何故、彼らを自由にしないのだ。
目まいがして顔を覆う。気持ちが悪いのはアロガントの乗り心地のせいだけではない気がした。
アロガントは降下を始めている。焦げた煤のにおい。異臭。
優陽は顔を上げた。
白い雪が舞い上がり、視界を妨げる。
徐々に晴れていく景色の先には見覚えのあるシルエットがあった。
「アイギス……!」
どっ、と。不安が押し流されていく。優陽は堪らず立ち上がって彼に駆け寄ろうした。
そしてラーストーに首根っこを掴まれ、情けない声を上げる。
「落ちたら死ぬぜ」
「……すいません」
当然だ。少し落ち着いた方が良さそうだ。
優陽は深呼吸を繰り返した。
推測にしか過ぎない想像で気落ちしていては身が持たない。
巨大な体が大地へと下り立つ。
ラーストーはついでにグラトナスを脇に抱えてアロガントの背から下りた。
そこはフロスト家の砦の前だ。辺りの地面はすっかり炭と化している。その上、周囲に積もっているのは雪ではなく渇いた砂だ。
ちぐはぐな景色の中で、優陽は体を縮める巨体を見上げる。
「アイギス……! 具合、もう大丈夫……? ケガしてない……?」
「……腹が減ってきたこと以外は問題ない」
「シャベッタ……?!」
自分で話しかけておきながら優陽は声を裏返す。
アイギスは自分の倍はあるアロガントをじとりと睨みつけ、しなやかな尾を揺らしていた。
彼のそばにいた2人もアロガントを見上げ、息を呑んでいた。
ラーストーはそんな一行の前に優陽とグラトナスを並べて地面へ下ろす。
「ユーヒ様……。ご無事で何よりです……」
「レイも無事で良かったよ~!」
煤と砂、そしてどす黒いシミがこびりついた彼女へ駆け寄り、優陽は胸を撫で下ろした。クリードへも声をかけようと見上げたが、彼の視線はすでにグラトナスに注がれている。
険しい表情の彼へグラトナスは目元を和らげた。
「お兄ちゃんたちはモルオクと会ったの〜? よく生きてたねぇ」
「……ラーストー。この者たちは?」
「リュシオンの本陣跡で会った。純血の竜なんだと」
「純血?」
「リュシオンに連れて行かれたことのない竜をそう呼ぶらしいぜ」
クリードも土と煤で汚れている。一体ここで何があったのだろうか。
ラーストーの言葉に、レイが背筋を正しグラトナスを見下ろす。
「自分はレイ・ジールと申します。我が父祖よ。御名をお伺いしても?」
「僕はグラトナスって言うんだぁ。グラ、って呼んでねぇ。レイお姉ちゃん」
「グラ殿。あなた方はどのように先ほどのリュシオンの呪いを耐えていたのですか?」
「順序が逆だよ〜。魔族が僕らの眷族をリュシオンに連れて行って呪いをかけたのが、君たちリュシオンの竜の始まりだからね〜」
「魔族が、呪いをかけた……?」
レイは膝をつき、グラトナスと視線を合わせる。
優陽の顔は無意識にこわばった。
その先を聞きたくない。それでも聞かねばならない。
「……貴殿は自分よりもよほど長く生きておられるようです」
「僕は400歳くらいだから君とそんなに変わらないはずだよー」
「……今のリュシオンの竜は齢50まで生存できていれば長命な方です」
「随分と短くなったねぇ。リュシオンの神格化が進んで、呪いが強くなったせいかなぁ?」
「貴殿らには、リュシオンの呪いは効かないということですか?」
「言ったでしょお? 君たちの血族はリュシオンに連れて行かれて呪いをかけられたけど、そうでない僕とアロには呪いがかかっていないよ。呪いの気配は感じるけどねぇ」
「左様、ですか……」
レイは言葉を切った。恐らくは優陽と同じ疑問にたどり着いたのだろう。険しい表情にますます影が落ちる。
クリードが沈黙の口火を切った。
「そちらの話しも詳しく聞きたいが、モルオク・ミトロンについて何か知っていれば聞かせてくれないか。サヘル・オルランドと言う者を拉致されてしまった。早急に追いかけたい」
「サヘルが……?」
優陽がレイを見ると、彼女は重々しく頷く。
優陽は息を呑んだ。てっきり、ふたりは前線で戦っているからここにいただけであって、サヘルは砦の中にいるのだと。思わずアイギスを見ると、彼はみっつ並んだ目をゆっくり瞬き、穴の空いた翼を開いた。
そこへ羽ばたきが割って入る。
「まあ、待て。今の主らでは潰されるのがオチ。半身である女王を滅しただけでも良しとせよ」
「女王を滅した……? ケテルか?」
優陽たちは思わず顔を見合わせていた。
こちらの反応にアロガントが喉で笑う。
「先の白竜の分身は主らの知り合いではないのか? 何にせよ我の手間が省けて助かるがな。戦に犠牲はつきものだ」
アロガントと目が合ったアイギスは低く唸る。
「そう怒るでない、童。事実を言ったまで。現に主らは逃したのであろう。もはや『神殺し』の器なくば殺すことはできぬと。ケテル・ミトロンとやらはそのように判断し、そこな『狭間』を『神殺し』の器へ詰めてここへよこした。半身を無力化しただけではあ奴を討つには足りぬ」
「『神殺し』……? 一体、何の話しだ。国王は人ではなく神の域に足を踏み入れていると?」
「正確に言えば、モルオクの中身がな」
「さっきも聞きましたけど、外側と中身ってどういう意味ですか?」
「外側のモルオク・ミトロンはもうとっくに死んでるんだよぉ」
答えたのは隣で揺れているグラトナスだった。
優陽が目を瞬くと長い前髪から覗く瞳は憂うように伏せられた。
「……とっくに、死んでる?」
「そう。モルオクの体にうねうねが寄生してるだけで、モルオクの意思はずっと前からないんだぁ。あの白竜の分身がミトロン家の王子様だとしたら……。もう気付いてるんだろうねぇ……」
「……え?」
「だからリュシオンの言う、話し合いに意味はないんだよぉ。あのうねうねの目的は、国を大きくすることじゃないから~」
「…………」
背後からも息を呑む気配があった。
優陽はグラトナスの言葉を上手く呑み込むことができず、呆然と彼の柔和な笑顔を視界に入れていた。




