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25.おはよう! わたし!
目が覚めた天羽優陽は眠気眼を擦ってベッドを降りた。
あくびをして、銀色の髪を指で軽く梳かし、大きく伸びる。
他のベッドはすでに空だ。静けさの中、天羽優陽は棚に立てかけられた古い鏡をのぞき込む。
ひび割れた鏡に映された自身の姿は、月明りをまとう銀色の髪と、白い雪のような肌をした美しい少女だった。
口角をもち上げると、鏡の少女もにんまり笑う。それが妙に嬉しくて、天羽優陽は部屋から飛び出した。
「おはようございます! お疲れ様です!」
「お、おはようございます……?! あの、シャレム様……?!」
すれ違う男たちは敬礼する間もなく走り去る少女に困惑し、ただただ道をあける。
冷えきった石の床の感触がむしろ心地よく感じる。羽が背中に生えたような感覚とはきっとコレだ。
天羽優陽は砦の階段を駆け上がり、清々しい冬の空の元へと飛び出そうとした。
「貴様は何を考えている……!!」
それも全力で追いかけてきたクリード・フロストの怒号と共に、天羽優陽はあえなく捕獲されたのだった。




