表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/77

19.残機ゼロからが本番

 腹が立って仕方ない。

 自分の不甲斐なさと。理不尽極まりない状況と。無力な体と。

 天羽優陽(あまばゆうひ)はどこかで思っていた。

 いざとなれば、スロース()は自分をおいていくだろうと。

 それがまた腹を立てている原因かもしれない。

 シャレムは借り物のローブを体に巻きつけ縮こまる。

 辺りに響く轟音。立ち昇る火柱はこの世のものとは思えない。そもそも『この世』は天羽優陽が生きていた『この世』ではないので何ら不思議なことではなかった。

 地面を覆っていた白い雪はすっかり大地へと吸い込まれた。枯れ草に火種が広がり、渇いた地面はひび割れる。

 騎士は執拗にスロースを追いかけていく。鎧兜の下から発せられる声に怒りを感じる。何故かは知らないが、スロースはあの鎧の騎士を怒らせたらしい。

 シャレムは震える脚を叩いて立ち上がる。

 踏み出した地面はぬかるんでいて、彼女の白い素足を呑み込んだ。ただでさえ不自由な足は思ったよりも深いぬかるみに取られ、何度も転ぶ。

 それでも、彼女はスロースに示された方向とは逆へと進み続けた。

 死にたくはない。だからと言って納得もできない。

 少なくとも自分を駅のホームから突き落とした男が、また自分を理由に別の人間を意図的に巻き込んだ上、見殺しにしようとしている。それは事実だ。

 泥にまみれた重い足を引きずり、彼女は夕暮れの空を貫く炎の柱を睨み付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ