王女
8話目です。
王女
「姫様、お下がりください!まだ、この者らの素性が知れません!!」
「何を言うのですか?アンナ、この者らはあの黒翼の団と申していたではありませんか。そして団長はハックマン男爵家に連なるお方。怪しいお方ではありませんわ」
「しかし、姫様!」
「アンナ!良いのです、下がりなさい」
「・・・はっ」
護衛の女騎士アンナはアシュリー姫の後ろに立った。目だけはちょっとでもおかしなマネをすれば斬ると訴えている。
「直答をお許しを。王女殿下、わたくしは黒翼の団団長のセイギル・ハックマンと申します」
「ええ、存じ上げていますわ。あのレイブンの団長、剣聖にもっとも近い男と呼ばれている方ですわね。助けていただき感謝いたします」
レイブンとは黒翼の団の別名だ。
剣聖とはこのオフィヨルド王国に於いてもっとも剣技に優れた者に与えられる称号だ。
団長、剣術レベル8もあるしな。
「そして、そこの小さな助っ人さんも感謝いたしますわ」
「も、もったいなきお言葉でございます」
なに照れてるんだ?おれは。
同年代の女の子と言っても、精神年齢三十路オーバーのオレからしたら、照れることなんてないじゃないか。
「姫様、護衛は3人やられました。いかがいたしましょうか」
アンナとは別の護衛女騎士が現れて王女殿下に聞いてきた。
「そう・・・わたくしのために・・・」
そう王女殿下は呟くと黙祷を横たわった女騎士たちに捧げていた。そして、アンナ以外の生き残りの女騎士たちが横たわった彼女らをマントで包むとバッグに入れ始めた。
なんだあれ?マジックバッグってやつか?
聞きたいのはやまやまだが、オレだってTPOは弁える。聞くのは我慢だ。
「姫様、そろそろ向かわねばいけません」
最後の1人を収納するとアンナがそう王女殿下に言ってきた。
「そうですか、セイギル様どうか王都まで護衛願えないでしょうか?」
「姫様!!」
「良いのです、アンナ。また、襲撃あっては近衛騎士の数をこれ以上減らす訳にはいけないのです」
「く・・・」
『く』いただきました。女騎士の『く』です。
「王女殿下、申し訳ないのですが私は今現在別の者の護衛任務に着いておりまして王女殿下の護衛に着くことができません。二重契約になってしまいます」
「キサマ!姫様の願いを無下にすると言うのか!!」
団長は焦らず、アンナ嬢に手の平をむける。
「いえ、代わりにこのアインを付けます。アインは黒翼の団でもNo.3の実力を持っています。実力は申し分ありません」
「このような子供に護衛を任せるというのかキサマ!」
「およしなさい、アンナ。無理を言ったわたくしが悪いのです。そして、アイン様とおっしゃったかしら?見ればわたくしとそう変わらない年齢。護衛を是非お願いしたいですわ」
「はっ、この命に代えましても王女殿下をお守りいたします」
大丈夫かなぁ、チラッと王女殿下を神眼でステータスチェックをした。
名前 アシュリー・ド・オフィヨルド
年齢 6才
クラス 王女
スキル 礼儀作法lv7
魔力循環lv1
肉体強化lv1
剣術lv1
未来予知lv8
称号 オフィヨルド王国の第一王女
邪神認定の子
オレと同じ邪神認定の子が称号欄にある。
厄介な匂いプンプンする。
多分、襲撃者の中に鑑定持ちがいたんだな。
それで狙われていたのかも・・・
オレは乗りたくない馬車に乗ろうとしたとところ団長が耳打ちしてきた。
「アイン、こっちの仕事が終わり次第オレも王都に向かう」
「わかった。待ってる」
そう団長に言うと団長はオレから離れていった。
「では、まいりますね。アンナ出発してよろしくてよ」
「は、姫様」