発覚
4話目です。
発覚
「おい、ヨハン。アイン、しゃべったよな」
「ええ、団長。しかも、身体強化使ってましたよ・・・」
やべ、まずったな・・・
でも、あのままだとヨハン死んでたしここは正直に話すしかないか・・・
「よはん、だんちょごめん。ぼくしゃべれる」
オレは意を決して喋った。
「マジかよ・・・アイン、お前しゃべれるのかよ・・・」
「うん、いままでだまててごめん・・・」
「アイン、キミはさっき身体強化も使ったよね?」
と、ヨハン。
これも嘘つけないな・・・
「うん、よはんのみてれんちゅうしてた」
2人とも唖然としちゃったみたいで口をポカンと開けてこちらを見てる。
「ふたりとも、ごめんなちゃい」
オレは沈黙に耐えきれず2人に謝った。
「いや、アインが喋ったり身体強化使ったことにはビックリしたけど謝ることじゃねえよ。なぁ、ヨハン」
「ええ、団長。それより、なんであのスープを飲んじゃいけなかったんだい?」
オレは少しホッとした。気味悪がられて、また捨てられるかもしれないと思ったからだ。
だが、2人ともそんな気はサラサラないようで良かった。
オレは2人になるべく嘘にならないように説明することにした。
「あの、すうぷどくきのこはいてる」
「毒キノコだって?なんでそんなことが分かるんだ?」
「すてえたちゅ」
オレは2人に自身のステータスを見せることにした。
「おいおい、なんだこの字はみたことねえ字だな・・・読めねぇ・・・」
「このすきるが、かんていみたいなすきる」
「鑑定だって?なかなかレアなスキルを持っているじゃないかアイン。でも、おまえなんでこれ読めるんだ?」
「たぶん、げんごりかいのすきるあるからだとおもう」
嘘じゃないが、これで信じてくれるか?さすがに前世の記憶もあるというと理解してもらえなさそうなので隠す方向で説明してみた。
「なるほどな。それで自分のスキルを認識してたってわけか。言語理解もレアスキルだな、そのおかげでしゃべれるってわけか」
「確かに言語理解スキル持ちは喋るの早いと聞いたことありますね、団長」
おお、なんか納得してくれた。でも、この世界にはオレの他にも言語理解スキル持ちがいるんだな。気を付けないと称号の邪神認定がバレるな。
「なあ、アイン。おまえ自分がなんで捨てられたか分かるのか?」
団長が聞いてきた。
「わかる。うまれてみっかですきるよめないからすてられた。ぐらんふるはくちゃくのこ」
「ぐらんふる・・・?グランフィル伯爵家か!?あのスキル至上主義のクソ貴族め!産まれて3日だと!?生後間もないとは思っていたが本当に生後間もないとは・・・」
「団長、あまり大きな声を出すとアインがビックリしますよ」
「おっと、すまねえな・・・アイン。つい、大きな声出しちまった」
「ううん、らいじょうぶ」
団長は明らかに怒っていた。なににそんなに怒ったのか、単純に赤ん坊が捨てられたことに対して怒ったのか分からなかったけど、なんだかオレは嬉しかった。
「アイン、お前はうちの黒翼の団の子供だ。あんなクソ貴族のことなんて忘れちまえ」
「やだ、わちゅれない」
「あ?なんだって?」
「いつかふくちゅうする」
オレがそういうと、団長とヨハンは目をお互いに合わせて大笑いを始めた。
「はーっはは!復讐か!そりゃいい!それまで、オレとヨハンで鍛えてやろう。ヨハンいいな?あと他の団員にはこのことは秘密だ。アインが喋れるのはな」
「なんでですか?団長」
「その方が面白い」
団長とヨハンはそういうと、またお互い大笑いし始めた。
なんとか、無事乗り切ったみたいだ。
オレは安堵した。危機を乗り越えただけでなく2人から強くなるための手解きを受けられるとは。
感謝だ。