黒翼の団
2話目です。
黒翼の団
どうやら、オレはヨハンってガキと団長という男性に助けられ、黒翼の団という傭兵集団に匿わられたらしい。
「団長、黒翼の団に連れて来たのはいいけど。本当にこいつを育てるの?」
「ああ、なにせこいつは珍しい黒髪だ。うちにとっては縁起がいいだろう」
赤毛の団長はそう言うとニカッと笑った。
ヨハンってガキも、緑髪だったのでオレの黒髪は珍しいようだ。
「しかし、なんであんなとこに赤ん坊が居たんだろうね、団長」
「なぜだろうな。死んでほしくて捨てたようにしか思えなかったが。まぁ、考えても仕方ない。それよりももう日が暮れる。日課の魔力循環をこなしておけよ」
「はいはーい、わかりました」
ヨハンは、そういうと座禅のようあぐらをかくと目を瞑り黙った。
なにしてるんだこいつは?
魔力循環とかいってたな。なにかの修行か?
オレにも出来るんだろうかと思い目を瞑り体の中を探る。
すると、前世では感じるこたのなかった、なにか温かいものがヘソの下にあるのを感じた。
その温かいものは、意識すると手に移動出来たり足の先へと移動出来たりした。
(おもしれー!これが魔力循環か!)
なにせ赤ん坊なので、何も出来ることがなかったため魔力循環にすぐハマった。
後に知ったのだが、この魔力循環を行うと魔力の回復、総量の増加などの効果があるそうだ。
ヨハンと団長が話していたのをこっそり聞いてオレも一緒に魔力循環するのが日課になった。
オレはアインと名付けられ、首が座り始めた4カ月後、魔力循環にもすっかり慣れたオレはヨハンや団長の居ない夜にそっと試してみたいことがあった。
ある日ヨハンがいきなり、ステータスと言うと白いウインドウがヨハンの目の前に現れそれを見たヨハンはため息をついていたのだ。
あれは、あのときに触らさられた白い板と同じステータスウインドウなのだろう。
RPGっぽい世界だが、しゃべれる人間はステータスと唱えるだけで見れるんだね。
そして、赤ちゃんは喋れないから例の白い板を使ってステータスを調べられると。
と、まあそんな感じにヨハンの行動を見ていたオレは早く試したくてウズウズしてたのだ。
「すてーたちゅ」
名前 アイン
年齢 0才
クラス 銃神
スキル 銃神lv1
言語理解
魔力循環lv1
称号 銃神
グランフィル伯爵家の捨て子
おおー!でたでた。
年齢が追加されて称号がグランフィル家の捨て子に変わっていてスキルに魔力循環が追加されている。あと、スキルの銃神の横にlv1とある。
オレは情報収集するべく、銃神の文字をタップしたりしてみたがクラスと称号の銃神は情報が無かった。
スキルの方の銃神は、タップすると銃召喚、神眼、弾丸生成と出た。
試しに銃召喚と念じると、手のひらに硬い物体が現れた。
モデルガンは触ったことがあるが、今手のひらにあるこれが実物かどうかは分からない。
しかし、銃が現れたことが重要だ。気分が高揚する。
消えろと念じたら消えた。これは使えるかもしれない。
団長やヨハンは剣を持っていたが銃は見なかった。
この世界には、まだ銃が存在しないかもしれない。
その時に、どう活用すれば効果的かオレは考えを巡らせいつの間にか眠っていた。
翌日、ヨハンに起こされ山羊のミルクを飲ませてもらっていると、ふと神眼をヨハンに使ってみることに思いついた。
名前 ヨハン
年齢 11才
クラス 剣士
スキル 剣術lv1
肉体強化lv1
魔力循環lv1
称号 黒翼の団の団員
おおー、見える。ヨハンくんは11才なのね。
ふむふむ、クラスが剣士か。剣術lv1とあるものね。
気になるのは肉体強化ってなんだろ?
おれはヨハンのステータスの肉体強化の部分に意識を集中してみた。
すると、肉体強化=魔力で肉体を強化すると出た。
また、魔力かこれは。
あとで試してみようと思っていると団長が来た。
「よう、アイン。よく飲んでるか?」
団長に神眼を使ってみた。
名前 セイギル・ハックマン
年齢 21才
クラス 剣士
スキル 剣術lv8
肉体強化lv6
魔力循環lv4
称号 黒翼の団の団長
ハックマン男爵家の次男
ヨハンの完全上位互換だな。
その晩、1人でいると昼間に見た肉体強化を試してみることにした。
まず、足に魔力を集中させ筋力を強化するイメージでそして腕にも魔力を集中させ四つん這いの姿勢へ。
そして、つかまり立ち。
おお、オレ立ってるよ。
魔力もここ四カ月毎日魔力循環してきたせいか、あまりある。
だけど、もとの筋力が足りないせいか足がプルプルと震える。
うん、無理は禁物だな。
おれは、横になると日課の魔力循環して寝た。