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一話宇宙ステーション

「皆さんがんばってきてください。この、新年訪火は火星と地球との唯一の友好手段なのです。決して、失礼のないようにしてください。先生も月位まで見送りにいければよかったんですけど、とにかく応援しています。くれぐれも日本の恥にならないように」

 いかにも教育者みたいな女性が映っていたスクリーンが、青く染まりそこに緑色の文字でJapan,EARTH$1,75と表示される。

 1ドル75セント。すさまじく安い金額だ。セント硬貨なんて見たことない。セントという言葉自体、株式市場くらいでしか見たことはない。

 これは、昔のSF映画の一場面に登場する場面から取った、「宇宙ステーションから3分間$1,75で」みたいな一種のユーモアらしい。

 無論、この時代宇宙に月位までなら博士でなくとも下手な国内旅行より安くいける。

 カードで支払い、テレビ電話室と書かれた個室を抜け出す。

「どうだった?テレビ電話は。やっぱ、宇宙ステーションに着たらこれ使わなきゃな」

 旅の同行者である、斎神博久が聞いてくる。

「宇宙ステーションにテレビ電話があるなんて都市伝説だと思っていたよ。昔の人の考えることは分からない。電話は相手が見えないからこそ良いのに。内容は相変わらずさ。国の恥になるなだとさ」

「そんなことだろうと思ったよ。さすが時代に逆行する理事長先生だ」

「ところで、文は?」

 もう一人の旅の同行者の名前を聞く。

「ああ、北条さんは荷物の確認に行った。すぐ戻ってくるだろう」

 其の時、アナウンスが流れた。

『本日は、共同宇宙ステーション日本管区にお越しいただき誠にありがとうございます。ただいまより、日本宇宙事業機構、JAL共同運航便月、静かなる海空港行き81便にご搭乗予定のお客様にお知らせをいたします。ただいまより搭乗案内を開始いたします。12番ゲートにお越し下さい。なお、液体物の持ち込みは、機内が無重力状態になり窒息の危険があるため、チューブ状の宇宙機構検定印があるもの以外禁止しております。ロシア、アメリカ両管区をご利用になる・・・・・・」

 宇宙ステーションまで5時間。月まで、28時間。これでもずいぶんと速いらしいが、長い時間だ。核融合の技術はまだ、航行に使えるレベルまで確立されていないため、20世紀初頭からある理論によって航行しなければならないからだ。

「それじゃあ、行こうか。」

 文が走ってくるのを見ながら言う。

 火星への取って置きのジョークが入ったケースを携えて。

 

 


 

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