*◇ お菓子な家 ◇*
最初の『欠片』は発見は、お菓子の家を模した家に住んでいる老婆の指輪の中。
「一緒にお茶をしてくれたら、欠片を返してあげるわ」
ザットが当然かのように聞いた。
「それに毒が入っていたりするか?」
「毒じゃなくて、お好みでシュガーかジャムをおすすめするわ。蜂蜜もいいわね」
「ああ・・・そう・・・疑ってごめんな」
「いいの、いいの、こういう家に住んでいると『魔女』って言ううわさが出たりするのよ」
「「魔女?」」
「いいから、いいから、お呼ばれなさいな。そちらの椅子にかけて」
「・・・それなら、少し・・・」とアヤナ。
「うん・・・まぁ、悪くはない話の気がする」
「怖い。少し緊張してる」
「分かってる。あんまり顔に出すなよ」
出されたのは平皿にのったピンク色の苺ロールケーキ。
その皿の端には、ハート型の抹茶クッキーが『四つ』、まるでクローバーだ。
そのクローバーの茎をペンかなにかで表現したチョコソースが一回転して伸びている。
「すごいっ」
「可愛いな・・・可愛いものはあまり食べたくないのに・・・」
「え?なんで?」
「気持ち分からないのか?」
「これは、ギリオーケー」
「うーん・・・まぁ、なぁ。うんうん。まぁ、まぁ、これは食べる」
「うんうん」
「さぁさ、呼ばれなさい」と老婆。
「「呼ばれます」」
お茶会をしたあと、約束通り老婆の指輪の中の愛庭獣の欠片を回収した。
どうやら回収する時には淡い光が漂うみたいで、それを綺麗だとアヤナは思った。