*◇ 黒うさロボ「ブー」監修 書記アヤナ ◇*
崩壊したと言われるビルの夢を見た。
辺りは瓦礫ばかりだし、妙にリアルだったからって確かめに来たのはバカかも。
私は十四歳の女子、名前はアヤナ。
夢に出てきた大人になりかけの美少女が、名前をシェリンと言って白髪だった。
夢の最後、目覚める前に思った・・・”どうして私なの?”って。
だから気になってここにひとりで来たんだと思う。
風が私の黒髪を撫でていく。
その時に、”きっと大丈夫”と風に乗って聞こえた気がして、振り向いた。
そこには誰もおらず、不思議な感じがしている。
半分崩壊した屋敷の門は半分開いていて、そこからうさぎのホログラムが出てきた。
飛んだり跳ねたりするアニメみたいなキャラクター性が強めのやつだ。
私を見るとその白い耳長めなうさぎのCGが、目をハートマークに変えた。
次に急いでやって来たのは、黒いヌイグルみいたなロボットうさぎ。
目は赤で、耳の内側も紅色。
「まてやこら~~っ」
「《ひぃぃぃ~、お、おたすけぇっ・・・》」
少年の声は遠くからしていて、黒いヌイグルミみたいなうさぎロボは私の後ろに回る。
そこにやって来た謎の美少年が、こちらに気づいていぶかしそうにしていた。
「お前がシェリンじゃねぇだろうなっ?」
「私はアヤナ、君は?」
金属バッドの頭を地面に叩き付け、それが区切りかのように息を吐く少年が言った。
「俺はザット。十二歳、変な夢を見たからここにいる。学校には行ってねぇ」
「苗字が故郷って意味の「里」って字が含まれてるの?」
「ああ、そうだ。だからザットだよ」
足にからみつくように隠れていた黒いロボうさぎが言う。
「《僕たちを使役しませんか?前の主人が今はおらず、途方に暮れているんです》」
こうして普通の女の子っぽい私の、不思議な出来事が始まった。