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7.直感は?

アクセスありがとうございます。

長いですが少しずつでいいのでどうぞ最後までよろしくお願いします。

結構遅くなりました!(誇るな)



 「あの、この状況は一体どういうことでしょう。私はエーデル様だけとお話しをするのだと思っていたのですが。なぜこの方々がいらっしゃるのですか。」

 ここは、リバランス公爵家の中庭。この場にいるのはメイドやお付きの人を除いて四人。

 わたしと、エリック様、アイラス、そしてシートルの四人。そう、この四人である。ルべせかを知っている人ならピンとくる組み合わせだと思う。この組み合わせはずばり「婚約者ペア」の組み合わせなのだ。ゲームでエーデルとエリックペア、アイラスとシートルペアそして他にも数ペアが登場する。他にも()()()()と攻略対象という組み合わせを考えることができる。その場合はエーデルとアイラスの悪役令嬢ペア、エリックとシートルの攻略対象ペア。

 アイラスはゲームの中では悪役令嬢になってしまうけれど、今はすべてがゲームと一緒というわけではない。つまり、アイラスが悪役令嬢にならない未来もあるってこと。

「それは、俺も同感です。エリック様かエーデルが何か企んだのではないでしょうか。俺も四人でお話しするとは聞いていません。」

 抗議を申し立てたアイラスとシートルの顔は二人ともとてもよく似ていて思わず笑ってしまった。二人はこうやってみると本当に似合うなぁ。

「それじゃあ、とりあえずここに集まってもらった理由を話すね。」

 少しピリッとした空気を変えたのはエリック様の言葉だった。というかエリック様が何か話すだけで毎回空気が変わるんだけどね。

「ちょっと意見を聞きたいと思ってね。最近宝石について少し気になることがあってね。意見が欲しかったから集めたんだ。」

 この独特なしゃべり方が誰かに似ていると思ったら国王陛下と王妃陛下だった。やっぱり親子って似るものなのかな。前のエーデルとエーデルのお母様のカトリーナがなんとなく似ていた気がする。多分。

「宝石と言えばこの国は宝石の加工産業が有名だと言われているよ。だけど最近、宝石の加工がなんだか寂しいものになって気がするんだよね。流行に敏感な三人の皆さん、何か気づいたことある?」

 急な無茶ぶり!? そもそも二人は流行に敏感だと思うけれどわたしは絶対に違うよね。だってわたしはエーデルの記憶と知識があってもさすがに流行はわからないよ。それに、宝石に関しては名前もわからないよ。わたしを呼ぶ理由としては絶対違うよね!

「そうですね、気づいたことと言えば本当に些細なことなんですが、少し宝石の色がくすんでいる気がするんです。もしかしたら私が選んだのがそういうものだったというだけなのかもしれませんが。」

「それでしたら、俺もそう思います。この前家に届いた宝石を見たのですが、なんだか少し汚れているような気がして、洗浄魔法を使ったらきれいになったのですが。なんというか、最近の宝石は洗浄があまり丁寧にされていないような気がするんですよね。」

 へぇ、そうなんだ。全然気づかなかった。つい最近も宝石見た気がするんだけどなぁ。おかしいな。ちょっと確認したいと思った。

「えっと、わたしも宝石を確認してきたいので少しだけ席を離れますね。」

 わたしはそう言って中庭を離れた。そう、気になって。


 エーデルは静かに中庭を離れていった。今のところ計画通り。この計画は私が考えたものだった。

 以前、幼馴染のシートルがこんなことを相談してきたのが始まりだった。

「俺はアイラスさんにあの時のことをしっかりと謝って、もっと仲良くなりたいんだ。だからどんなことをすればいいかな?」

 アイラスさんとはえっと、ジェシー侯爵家のご令嬢のことであってるかな。まさかシートルがこんなことを相談してくるなんて。

 そこで、シートルのためにそのアイラスさんと話す機会を作ってあげようとエーデルと協力し、今回のことを実行した。

 エーデルにこのことを話すとすぐに協力してくれたのがよかった。エーデルは優しくて助かるな。実際に宝石のことも気になってたから一石二鳥というわけなんだけど。

「えっと、少しお手洗いに行かせてもらうよ。その間に何か新たな発見があったら教えてね。」

 とびっきりの王子スマイルで席を離れた。これも作戦の一つ。頑張れシートル!


 今、とても決まずい。理由は二つ、目の前にアクアルータ様がいるからだ。そして二つ目は周りに誰もいないこと。なぜか皆さんどこかに消えてしまった。正直言ってアクアルータ様と二人きりにはなりたくなかったのだけれど。二人きりになるとあの時のことを思い出してしまう。胸のどきどきが止まらなくて顔がとても赤くなってしまって恥ずかしい。

「エーデル様遅いですね。」

 この空気に耐え切れなくなって私はアクアルータ様に声を掛けてしまった。

「そうですね。ところでアイラスさんは宝石について何か考えたことがありますか。」

 宝石について...。どうだろう、あまり考えてこなかった気がする。宝石って私たちのような貴族にとっては近い存在に感じるけれど、他の方々はどう思っているのだろうか。

「アイラスさんは今日、胸元に宝石をつけていらっしゃいますがその宝石はどちらから購入されたものなんですか。」

 胸元ということはこのネックレスのことかな。なんだかんだあの時からずっと身に着けている気がする。

「これは、エーデル様からもらったものなんです。」

「これはエーデルとぼくをつなぐものなんだぞ!」

 こ、この声はもしかして...ツァイト!?

 目の前にツァイトが出てきて私はとても慌ててしまった。いつも屋敷の中だとこんな風に出てこないのに。外だから思わず出てきてしまったのかしら。確かにこんな天気だったら思わず出てきてしまうのには納得しますが。

「アイラスさん、この魔獣はどうされたんですか。」

「えっと、その、お天気が良かったから飛び出したくなったんじゃないでしょうか。」

 アクアルータ様は魔獣については特に驚かないのね。ちょっと意外です。

「違うよ! アイラスを守るため。」

 私を守るため!? 何からなんですか。ここに危ないものなんてなんてあるんですかね。

「とりあえず、ツァイト、ここで走り回ったら危ないですよ。後で遊びましょう。だから少しだけ待ってもらえませんか。」

「う~ん、わかった。ツァイト頑張る!」

 ツァイトはすぐにどこかに消えていった。言うことをすぐに聞いてくれてよかった。

「さすがに二人とも遅いですね。ちょっと様子を見に行ってきますね。」

「待って!」

 私が立ち上がった時、目の前にいる方に手を引っ張られた。ちょっとだけ強い力で。

「アクアルータ様、一体どうされたのでしょうか。」

 私は手を離してくださいという気持ちでアクアルータ様にお願いをした。

 しかし、私のお願いはあっさりと却下された。

「ちょっと待ってください、アイラスさん。少し聞きたいことがあるのですがよろしいでしょうか。」

 聞きたいことですか? そういうことでしたら全然よろしいですが。

「アイラスさんはダンスがお上手だと聞きましたが、よければ()の練習相手になっていただけませんか。」

 アクアルータ様のダンスの練習相手!? そんな大役を私がしてもいいのでしょうか。そもそも、アクアルータ様だったらもっと素敵な練習相手がいらっしゃるのではないでしょうか。

 私が返事に困っているとそこに救世主が現れた。

「ごめんね。少し屋敷の中で迷子になってしまってね。何かいいことあったかな?」

 救世主様~! この空気を変えてくださりありがとうございます。

「えっと、エリック様。その何というかそろそろお時間ですので失礼してもよろしいでしょうか。」

 あらら、もうアクアルータ様変えられてしまうのですか。まだ先ほどのお返事できていないのですが。

 アクアルータ様は慌ててたように帰宅の準備を始めてしまった。まだお話ししたかったのだけれど。そういえばエーデル様はまだ帰ってこないのかしら。

 アクアルータ様は「それではエーデル様によろしくとお伝えください」と言ってアクアルータ様は席を離れてしまった。私の横を通り過ぎるとき「ま後日会いませんか。」とささやかれた。

 後日会いませんかって。そんなに素敵な声で言われてしまったら溶けてしまいそうですよ。

 また今度会えるんだ。

 そのあと、エーデル様がお戻りになり声を掛けてくださるまでぼーっとしてしまったのは秘密のお話。


 あー、やってしまった。アイラスさんの前ではかっこつけていたかったのだが。どうしても冷静さを失ってあんなことをやってしまった。

 あんなに恥ずかしいことをしておいて後日会いませんかだなんて。もう、やだ。

「シートル様やらかしたんですね。かわいそうに。」

 おい、かわいそうってなんだ。俺の一番の側近だからってそんなことを言うとは。

「とりあえずシートル様、嫌われたと思ったのならまだ間に合います。思ったのならですがね。」

 思ったら。それってどういうことだ。何度も何度もその言葉を繰り返すというには意味があるのだろう。

 きっとこの時の顔はとても険しいものだっただろう。すぐそこでまじまじと見つめてくる従者の顔が引きつっていたからな。

「せ、正解発表をしましょうか。目の前で嫌いと言われたのなら、もう立ち直れなくなるかもしれませんが、こちらが思っているだけなのでしたらまだ可能性はありますよ。」

 そういうことか。つまり思うということはネガティブにもポジティブにも変わるということか。

「もう、そういうことか。なかなかやるな。」

「何年貴方のお側にお仕えしていると思っているのですか。」

 そういえばそうだな。って、なんでお前が俺と一緒に馬車乗ってるんだよ。


 屋敷につくと、父様がエントランスをうろうろとしていたので声を掛けさせてもらった。

「父様、婚約者のことなんですが。」

「あぁ、お前もそんな時期だったな。いや、早いような気もするが。で、誰かいたのか。」

「はい、います。そのなんていうか、父様に助言をいただきたいのですが。」

 婚約は当事者の二人だけの問題ではない。当事者の親族、従事者、その他大勢の方が関わってくる大事な話だ。こういうことは詳しそうな方に聞くのが一番手っ取り早い。そこで、ちょうど目の前にいた父様に話を聞くことにした。

「参考になるかはわからないが。まぁ、結婚するまでは嫌われるな。それだけだ。」

 ちょっと、というか結構自信ないですが頑張ります! すべてアイラスさんとの結婚生活のためだ!


 残されたエーデル、エリック、アイラス達は...。

「えっと、どうしますかエリック様、アイラス。」

「そうですね、とりあえず私たちも解散にしますか。」

 この後のアイラスの言葉にわたしとエリック様はおもわず顔を見合わせてしまった。

「お二人は婚約されていらっしゃるのですか?」

 あ、あれ。婚約を公表していないのをたまに忘れそうになるな。最近婚約のことで色々ありすぎてエリック様との距離感おかしくなっていたかもしれない。

「その何というか。そうですね。」

「エーデル、私がお話しします。」

 すっとわたしの前に手を伸ばしてわたしの発言を止めながらエリック様は代わりに説明をしてくれた。

「あまり深くは言えませんが、私とエーデルは協力関係にありまして。だから婚約をしているかと言われると、そうでは。」

 エリック様の説明はとてもお上手だった。こちらの事情を深く話さず、否定をするというなんと素晴らしい技術。立ち上がって拍手をしたいくらいだった。

「そういうことなのですね。深くは聞きません。いつか本当のことをお話ししてくださいね。」

 アイラスは勘が鋭いのかどうなのか。


 馬車のところでお見送りをしようとしていたところアイラスに少し不思議なことを言われた。

「エーデル様、お早めに中に戻ったほうがよろしいと思います。雨が降りますので。」

 そうなのかな? 今のところ晴天という感じだけど。まぁそうだとしたら教えてもらえて助かった。

「あと、エーデル様! 私、婚約者のこと、今からしっかり考えていきますね。」

「えぇ。頑張って。何かあったら助けたいから言ってね。」

 アイラスはすこしだけ口角を上げて微笑んでくれた。うん。アイラスはかわいい!

 続いて、エリック様のところへ向かう。

 こうやってみると身長たっか。エーデルも身長高いけれどエリックは本当に高い。

「エリック様。わたし、絶対あの勝負負けませんからね。」

「エーデル、こちらこそ負けませんよ。」

 二人で軽くにらみ合う。なんだか最近距離が近くなったよなぁ。まぁいっか。

「それじゃ、また今度の勝負で。」

「はい、わたし楽しみにしてますから。」

 わたしたちはそのまま離れた。心のどこかにワクワクしたドキドキした気持ちを抱えて。

 二台の馬車がリバランス公爵邸から離れていく。ちょっとだけ切ない。

 さっきまでみんなと会えてとても楽しかったのに、もうみんな帰ってしまった。

 前世でもこんな気持ちあったような、なかったような。こんな気持ちを感じるのはどんな時代でも変わらないのね。不思議な感じ!

 そうだ、アイラスが言っていったとおりに早く家の中に入るとしましょうか。


 屋敷の壁に大粒の雨が打ち付けられ、強風によって先ほどから揺れが続いている。こんな天気がすごいことになっているのはめったにないことだよ。アイラスってすごい。やっぱり勘が鋭いのかな。

誤字脱字、言葉の使い間違いなどご指摘どんどんお待ちしております。

評価、ブックマーク、コメントお待ちしております。貰えると小説を書く励みになります。

すぐ投稿サボるダメダメユーザー兼矛盾多すぎ怪文書製造者ですが皆さんを頼りに小説書いていこうと思っています。

もしよければキャラクター達を愛してあげてください。


馬車の乗り心地は?・・・あんまり。馬車酔いしちゃうよ。うっ。(エーデル)

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