6.時間が過ぎるのは早いもので
アクセスありがとうございます。
長いですが少しずつでいいのでどうぞ最後までよろしくお願いします。
今、この場には国王陛下、王妃陛下、エリック様、わたし、そして数名の執事の方とメイドの方。
国王陛下の言葉により空気が動き出した。
「今回の王族主催のお茶会のテーマはずばり、『リボン』です!」
あ、あれ? 国王陛下乗り軽くない!? 意外とノリが軽い人なのかな。
「リボン、素敵よねぇ。いろいろな素材があって男女問わず使えていいわよねぇ。エーデルさんも今日リボンをつけているわよねぇ。似合っているわよ。」
「あ、ありがとうございます、王妃陛下。王妃陛下にそのようなことを言ってもらえるなんて光栄です。」
「やぁねぇ。そんな固くならなくてもいいのよ。私の娘になるんだから。」
娘って。まだ決まっていないのに。それに婚約解消する予定なのになぁ。そんなことを言われてしまうと。ねぇ。
「ところで国王陛下、王妃陛下。エーデルさんを呼んだ理由をお伝えしなくてもよろしいのでしょうか。」
確かに。それわたしも聞きたかった。エリック様、ナイス質問! しかもそれって国王陛下と王妃陛下が言ったことだったんだ。てっきりエリック様が言ったことだと思ってた。
「それは、エーデルさんがかわいいから。ただそれだけ。」
「「え!?」」
思わずわたしとエリック様の声が重なってしまった。
まさかそんな理由だったとは。やっぱり国王陛下はおちゃめな人なのかな。
「それで、エーデルさん。今回のお茶会のテーマ、リボンについてですがどんなところに取り入れたらいいと思う?」
リボンをどんなところに取り入れる...か。リボンって使い道多いけれどいざお茶会で使うと言われるとどんなことをすればいいのか。
「焦らなくてもいいですよ。落ち着いてエーデル。」
ありがとう、エリック様。
その言葉で何か言わなきゃと焦っていたわたしの心は落ち着くことができた。
じっくりと思考を巡らせ考える。わたしだったらどんな風に使うか。どんなものを見たいか。そしてわたしの頭の中に一つイメージが浮かんできた。
「わたしが提案するのは、『手首ににリボンを結ぶ』のはどうでしょうか。」
「手首にリボンを結ぶというのはどういうことだい。」
わたしは国王陛下と王女陛下に見せるため、ヘアアクセサリーに使っていたリボンをほどき自分の手首に結んで見せた。
「わたしが考えたこれは、全体を見たときにとても華やかでお茶会が鮮やかなものになるのではと思ったんです。こんな感じで動くとリボンがひらひらと揺れて幻想的じゃないでしょうか。」
これを言ったのはわたしが美保だった時、親戚の子のお遊戯会で園児全員が手首にリボンを巻いているのがなんて幻想的なんだと感動したのを思い出したからだ。
「まぁなんて素敵なんでしょう。ねぇ、あなた、そう思いませんか。」
「そうだね。アイディアとしては確かに素晴らしいものだけれども男性がするのはちょっとね。」
そ、そうか。確かに女性がつけるとしても男性がするのは。じゃあどうしよう。
「でしたら国王陛下、男性はリボンタイでもいいかがでしょうか。リボンを身に着けることに意味があると思うのです。」
また助けてもらちゃったよ、エリック様に。うん。リボンタイもいい、すごくいい。
「どうです、貴方。男性だっておしゃれにリボンを使っても違和感ないですよねぇ。私、貴方のリボンタイを身に着けた姿見たいです。」
今度は王妃陛下が国王陛下を説得している。こんな姿なかなか見られないかも。しっかりと目に焼き付けておこう。
「そうだね。うん、採用。じゃあ今度のお茶会では男性はリボンタイ、女性は手首にリボンを結ぶでいこう。じゃあ、エーデルさん、エリックと後は楽しんでね。」
「えぇ、それでは行きましょうエーデル。」
話が読めないんだけど。エリック様とわたしどっか行くの? 全然そんなこと聞いてないんですけど。
「楽しんできてねエーデルさん。また会いましょうねぇ。」
王妃陛下はひらひらと手を振っておられる。それってつまりもう帰れってことなのか。もう帰ってもいいのかな。わたし全然役に立ってない気がするんだけれど。
「えっと、本日はありがとうございます。お役に立てていたら光栄です。」
「ありがとう、今度はもっと素敵な場所で会おう。」
「待っているわ。楽しみにしててねぇ。」
何のことかよくわからないけれど、まぁまた会えるのならいっか。
こうしてわたしはエリック様と部屋を出た。もやもやした気持ちを抱えて。
さっきのあの国王陛下の言葉って何だったんだろう。気になるけどいまさら聞けない。
「今日は本当にありがとうエーデル。無理なお願いを言ってすまなかった。」
「いえ、こちらこそお役に立てたかわかりませんが。ところでこちらって出口なんでしょうか?」
「ううん、違うよ。今向かっているのはエーデルがきっと喜ぶところ。」
わたしが喜ぶところってどこだろう。宝石でもいっぱい置いてあるところか。
「ついたよ、ここだよ。今日見せたいのは。」
とても古そうな扉の向こうには大量の書物が置いてあった。そしてどれも古そうだった。
「ここはね、異世界から転生してきたという人たちが書き残してきたことがまとめられた本が置いてあるんだ。エーデルもその転生というものをしたんですよね。何か気になることがあるのではないかと思いまして。」
こんなに大切に扱われているものを王族でもないわたしが読んでもいいのかな。そもそも本当にわたしが触ってしまってもいいのかな。
「心配はいりませんよ。婚約者なんですから。それに、ここにある本たちはすべて汚れや破れができないよう特殊な魔法がかかっていますから。」
そ、そうなんだ。さすが王宮の管理技術。
「そ、それでは使わせていただきます。」
わたしは奥へ奥へととにかく進んでみた。どんな本があるのか、知っている名前はあるのか。
「あ! この名前は。」
そこに書いてあったのは昔(といっても前世の時)活躍していた人気声優の名前だった。コサージュプロジェクトの作品でも何度かお世話になった方で、急死したと聞いた一週間は落ち込んで寝込んでしまった。それほど好きな声優さんだったのだ。
でも同姓同名の知らない人かもしれない。そう思ってページをめくってみた。そこには
「わたしは昔声優のお仕事をさせてもらっていた。でも死んでしまった。だけど次に生を受けたのはこの国の王女だった。」
他にもびっしりと昔のこと今のことについて書かれていた。本当に細かく細かく。
たっぷりと読ませてもらった後わたしはこの部屋から離れた。
なんだかずっとここにいると昔のことを忘れてしまいそうな気がしたから。他社の過去に触れれば触れるほど、自分の過去が分からなくなるでは。そう感じてしまった。
帰りの馬車に向かっている途中、エリック様は三つ目のお願いを話してくれた。
ついに三つ目のお願いをこなす時がやってきたんだ!
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すぐ投稿サボるダメダメユーザー兼矛盾多すぎ怪文書製造者ですが皆さんを頼りに小説書いていこうと思っています。
もしよければキャラクター達を愛してあげてください。
メロディ王女っていったい何者?・・・ドレスがとっても似合う美少女