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第1部 ハルカ 1

 タツノオトシゴはれっきとした魚であるのに、その外見からなかなか魚だとは思ってもらえない。カツオやマグロのように外洋を仲間たちと回遊もしない。浅瀬に棲んでいるが、サンゴやイソギンチャクと共棲することもなく、海藻に尻尾を巻きつけてゆらゆら波に揺られている。ときどき小さな胸びれと背びれを小刻みにばたつかせてひとりで泳いでいるが、とても自分の意思で目的地にむかっているようには見えない。そんなとき、居心地のよさそうな海藻だと思ったのかつかまってみると、ただ漂流している藻だったりする。すると、そのまま見たこともない外洋を漂うことになるのだ。



※ケータイ、スマホの表示では文字組が崩れる箇所がありますので、読みづらいかと思います。PCでの閲覧をお勧めいたします。

 久世が自宅のコンピュータにむかっている。ブラウザに入力したテキストをプレヴュー画面で確認し、公開ボタンをクリックした。



_____ボクとハルカのデート・ブログ________________


タイトル:ちょっと、ケンカ

日  時:2007/02/02 23:03:12

記事本文:ボク 「友だちの前であんまりベタベタするなよ」

     ハルカ「ベタベタ?」

     ボク 「・・・」

     ハルカ「ベタベタしてた?」

     ボク 「手、ずっと握ってたじゃないか」

     ハルカ「いいじゃない。それくらい」

     ボク 「なんか、嫌なんだよな。そういうの」

     ハルカ「カッコつけちゃって」

     ボク 「カッコつけてるわけじゃないけどさぁ」

     ハルカ「じゃあ、もう、手繋いであげない」

     ボク 「・・・」

     ハルカ「・・・」

     ボク 「・・・」

     ハルカ「・・・」

     ボク 「おい、ハルカ」

     ハルカ「・・・」

     ボク 「なあ、待てよ」

     ハルカ「知らない!」

     ボク 「・・・」


     友人たちとお台場の日本科学未来館に行ってきました。

     ただ、ハルカがしょっちゅうボクの手を握りにくるから、

     ベタベタしてるように見られてるんじゃないかと思って。

     帰りにそのこと言ったら、ちょっと怒っちゃいました。

     でも、最後はちゃんと手を繋いで帰りましたけどね。


_____by ボク_____コメント(0)______________



 公開されたブログをあらためて読み返している久世の横顔には、満足そうな笑みが浮かんでいた。

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