てんやわんやな神の箱庭8
識天使ラシャンの訓練が終わり、皆無事な姿で現れる。
リデルは自分以外が全滅し、挙げ句の果てに味方ごと撃った事をかなり悔やんでいる様だ。
上位冒険者のバフマン達は早くも自分達のミスをした所を指摘しあっている。
そしてうちの方は…マドックが公爵達に大人気である。
何せ識天使にかすり傷とはいえ一撃を与えたのだから当然の事だ。
父は強しと言った所か。
「ベル殿も相当強かったと思うのだが何故あんなに防がれたのだ?」
公爵が不思議そうに自分に聞いてくるので、自分の欠点を言うようで恥ずかしいがちゃんと説明をする。
「自分の動きはある意味出来るだけ真っ直ぐ走るようなものですからね。スピードとタイミングを完全に覚えられたらカウンターが取りやすいと良く言われています。ただ、そんな人には殆ど会いませんでしたけどね。」
実際今いる中で自分を倒せるとしたらマドックとバフマンくらいであろう。
あの識天使は別物だ。
魔法だろうとスキルだろうと片っ端から切ってしまうからな。
「ベルが私の事を良くない考えをしているので後で追加の訓練です。それと私がいるのに死人など出す訳がありません」
そうラシャンが言うと何人かが下を向く。
成る程、何人かが訓練に文句を考えたのか。
「それでは総括を始めたいと思います。ではリデル率いる13隊からですね」
ラシャンがそう言うと天使ちゃんの内の一人が現れる。
自分は慣れているが他の人はびっくりしているようだ。
若葉色の目の色をしているから4番のしーちゃんかな?
しーちゃんは自分が勝手に心の中でそう呼んでいただけなのだが、いつの間にかラシャンまでそう呼んでた。
しーちゃんが空中に先程の戦闘画面を流し始める。
皆驚いている中、ラシャンは説明と問題点を挙げていく。
「まずは序盤ですが13隊の皆さんは動揺が大きすぎます。リデルは隊長なのですからもっとしっかりしなさい。バーディは腰をもっと落として多少の攻撃で動かないようにしないと盾職として意味が無いです」
その言葉にリデルとバーディは下を向く。
それを無視して説明を続ける。流石先生、容赦がない。
「次ですがゾハンは駄目駄目ですね。せめて避けなさい。ギルベルトは魔法のタイミングは良いのですが私が目の前にいるのにそれは浅慮です。サルジが及第点ですね。仲間を蹴ってまで助ける。このぐらいはして下さい。」
ギルベルトは何か考えているようだ。
ゾハンは手を床について落ち込んでいる。
あれは中々立ち直れないだろう。
「フィナさんを庇ったことでリデルは多少褒めれますが、その後の統制が取れていません。だからバーディが勝手に私に突っ込んで来たのです。リーダーなら的確に指示しなさい。最後の一撃だけは見事です。リデル」
そこで一旦口を止めるとバーディを見る。
「バーディはもう少し落ち着きなさい。盾職は最後まで生き残るのが仕事です。冷静さの無い盾職など邪魔です。仲間をまきこまないように。サルジは常にいい行動でした。この隊で一番評価が高いです」
ラシャンの評価が終わるとサルジ以外は全員落ち込んでいる。
特に酷いのはバーディと…フィナさんだ。
フィナさんは自分が名前すら呼ばれてないことに落ち込んでいる…多分かもなく不可もないんだろうけど言わないと伝わらないしね。
「あぁ、あとフィナは悪い所は見当たりませんがそれだけですね。精進しなさい」
フィナはその言葉を聞いて顔を上げて喜んでいる。
先生、人の心を読まないで下さい。
「さて、次は冒険者達ですが…流石ですね。動揺の抑えは勿論の事、リーダーの指示は的確でした。合格と言いたいところでしたが最初から槍を使いなさい。セラがやられたのはその所為なのでマイナスです。
セラはバフマンに依存気味ですね。バフマンが危険な時こそ冷静になりなさい。ギルツは無詠唱、阻害魔法、上位魔法共に素晴らしいですが貴方もバフマンに依存気味です。パーティとしては問題ないでしょう」
かなりの高得点だ。
バフマンの大黒柱としての能力が発揮されているパーティだしな。
問題はこの後か…
「さて、最後になりますが私の勇者に関しては文句のつけようは無いですね。最初に相対した時は鈍っていましたがある程度戦いながら感も戻ったようですし、問題はベルですね。
作戦と行動は合格点です。最初に最高戦力で相手の実力を測るのは良いでしょう。公爵達の護衛も見事です。ただし戦闘に関してはいただけません。スキルの使い過ぎです。前から言っているでしょう。自分の体を使いなさいと、魔法や剣術に頼り過ぎです。技を磨きなさい。関節投げは見事でしたがそれ以外は駄目駄目です」
「はい、すいませんでした。中々上手くいきませんね。どうしても武器で相手をすると体がまだ強張ります」
「戦いのない世界から来た事でこのような弊害が出るとは思いませんでしたがようは慣れです。精進しなさい我が子よ」
大分怒られてしまったが事実は事実である。
素直に受け入れて精進しよう。
でも首の骨を折るのはもう辞めてください。
死なないと分かっていても怖すぎます。
読んで頂きありがとうございます。




