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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第1章 異世界転生と神様
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てんやわんやなお勧め異世界2

「何で儂の世界に来てくれんのじゃ!」


 肩にかかった神様の指が段々とめり込んでくる。


 魂砕かれないよね?ちょっと不安に駆られながらも「どぅ。どぅ」と宥めながら自分の意見を言わせ貰う。


「そりゃ若い頃なら喜んだでしょうが、この年になりますと…ほら?分かるでしょう?マイナス方向に色々考えちゃうんですよ。技術のない中年なんて特に、ね…」


 これは本当の事である。


 現代社会において一番大切なのは周りとのコミニケーション能力であるが、突出した一芸があれば其れだけで何とかなる事もまた、真理なのである。


  まぁ、現代社会ではストレス耐性が必須なのでそれがなければ何も成功しないのだが…


  「分かった。それならば若さと一芸に足りるスキルを与えよう。それならばよいじゃろ?」


  ぐいぐいと身体を寄せて来る神様。


 やめて!40代後半のおっさん×爺さんなんて何処にも需要が無いから!


「それに自分は地球の現代社会の日本人なんですよ?神様の世界がどういった世界か知りませんが、神様ツアー組まれるくらいなんでしょ?他の世界に適応出来るとは到底思えません!」


  神様の両手首を掴み、そのまま離そうとする自分。


 子供の頃に見たプロレスの組み合いを思い出す。


 実際の所、ジャングルの様な所での生活なんて虫を見ただけで回れ右してまうだろう。


 ましてや蛭や藪蚊なんて…ブルブル。


「良し。分かった!究極の衣食住を揃えよう!それで良いな?」


 大奮発な神様の言葉にちょっと心揺れる自分。


 はっ!いけない、いけない。


 危うく頷く所だった。


 大抵の異世界転移では人間関係やら人種差別やらで後々大変な事になるのだ。


 後、魔王とか。


 いつの間か膝立ち状態になっている自分。

 超有望である天国での永久就職。

 此処で逃すわけには…!


  「一番の理由は人間関係や社会関係が煩わしいからです!もう一度真っ新な状態から新たに作り直せと言うんですか?!心の弱い自分にはただ辛いだけでしかありません!」


  そう言ってしまった自分は怒りの衝動のままに立ち上がろうとし、そのままの勢いで神様に頭突きをしてしまう。


 ただの子供の癇癪と変わらないよなぁ。


 やってしまった事に自己嫌悪してしまう自分が更に嫌になる。怖いのだ。


 何も出来ない自分が…







 何もしようとしない自分が…








 ふと周りを見ると6つの光る球体と、そのひと回り大きい光る球体が周りを囲んでいる。


 これは神罰対象にでもなったかなぁ?と神様の方を向こうとした時、


「それでも儂は御主にもう一度生を全うして欲しいのじゃ。…人に関われとは、よぅ言えん。周りに合わせよとも、よぅ言えん。…ただ…儂に飯をくれた時の御主がこのまま悲しみだけを背負って逝ってしまう事だけはどうしても救われないと感じてしまうのじゃ」


  そう言って自分の背中に手を回してくれる神様。


 その瞳はまた涙に溢れ、それでも自分を見つめてくれる。


 それを見てしまった自分には、もう何も否定する言葉が出る訳がなかった…







「自分なりの生き方でもいいのでしょうか?こんなに神様を泣かす様な生き方なのに?」


  両手を祈るように組み、膝だけで立つ様な姿勢になり、涙が止まらない顔で神様を見上げながら、掠れた声でそう問い掛ける。







「誰が許さずとも、儂だけは御主を許そう。ありのままで生きていく事を儂が、儂の名前に誓って許そう。…代わりに御主に問おう。御主はこの様な状況に落とし入れた儂を許してくれるだろうか?」







「誓いましょう。どの様な方が貴方を許さないと言おうとも、私は、私を信じてくれた貴方を信じて許しましょう」







 ここに新たな契約が結ばれた。


 神と名も無き魂に祝福を…







 歌が聞こえる…







 全く分からない言葉で歌われているが、祝福してくれている事だけは感じられる…







 こうして、自分は異世界への道を歩き出す事を選んだのであった。








次回からは遂にステータス回に!…出来ると良いなぁ。

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