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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第1章 異世界転生と神様
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てんやわんやなお勧め異世界1

 気がつくと、木製の天井が目につく。


「これが知らない天井と言う状態か。まさか自分で体験する事になろうとは。…和室かな?」


 最期の神様タックルを受けた所為か気分が自然体に戻った気がする。


 普通こんな体験あり得ないからなぁ…と上半身を起こせば布団がめくれ上がる。


 … 自分魂だけなはずなんだよなぁ?と意識を高める為に、肩を回して首を回す。


 大分意識がはっきりした所で周りを見渡すと自分の真横に直径1m程の光る球体が目に入る ⁈


 ちょっ!予想外の展開!


 わたわたと両手が空をきり、膝立ちで這う様に逃げてしまうのは仕方の無いことではないだろうか?


「主人様。お客様が目を覚まされましたよ〜」


 そんな自分を全く無視して、光る球体はふよふよと襖の向こうに通り抜けて行く。


 あ…なんかコケた様な音が。


「フミィ〜!」


 鳴き声なのか、泣き声なのかよく分からない声を追いかける様に自分もついて行く。


 ちなみに襖はすり抜けれませんでした、残念。


 いくつかの襖を通り、ようやく追いつく。


 武家屋敷とでも言うのであろうか呆れる程の部屋の数は正直、現代人である自分には慣れない景色ではある。


「82番。報告は問題ないのですが、お客様を放置するのは大問題ですよ?」


 襖ごしではっきりとは分からないが、さっきの光る球体がひと回り大きい球体に怒られている様だ。


 大きな球体が点滅しているのに対して小さな球体は「フミャ〜」な泣き声?と共に段々暗くなっている。


 自分が関わる事で責められる人がいるというはあまり好きな状況ではない。


「失礼しますね。こちらに神様はお出ででしょうか?」


 そう言って襖を半分ほど開け頭を下げながら周り見渡す。


 礼儀などはよく知らないので怒られても仕方がないが自分が怒られる分には別に苦とは思わない。

 

 駄目な営業マンだったが心は多少鍛えられた…気がする。


 あ…神様発見。


「お客様。もうこちらにおいで頂けたのですね。ご案内もつけず誠に申し訳ございません」


 縦に点滅しだした大きめな光る球体に、いえいえと言いながら神様の元に向かう。


 今なら冷静に話しができそうなので勢いのある内に話をしよう。


「神様。よろしければ少しお時間をいただけないでしょうか」


 そう言いつつ、神様の下座の方で正座になる。


 作務衣にニット帽でお茶を飲む神様。


 身を正してのご威光は流石なのだがどうしても頭の方に意識がいってしまう。


「どうやら落ち着いたようじゃな。今の御主ならばあのような事にはならぬじゃろう」


 ほっこりとした笑顔を浮かべ此方を優しい目で見つめる神様。


 すいません、驚きの余りそれまでの出来事が頭から飛んじゃいました。


「では今後の話をする前に一つだけお願い事がありまして…実は両親に対してなのですが」


  自分の両親は健在で、自分は長男。


 老後の事を考えると、保険金も渡せないまま介護の手助けも出来ない。


 そう言おうとした所神様より待ったが掛かる。


「その件に関しては儂が全面的に悪いのでな。此方で先に手を撃たせてもらっておる。御両親には10億円と、もし介護が必要になった場合に完全介護の準備をするよう整えておる。地球のシステムも了承済みじゃ。」


 これは本当にありがたい。


 自分いなくてもこれほどの支援を頂けるならほぼ思い残す事はない。


 弟は結婚して3人の子供がいるし、妹は実家にいるので対処もしやすいだろう。


 あれ?自分がいない方が良く回りそう。


 後は妹の結婚式が見れないくらいか?


 ちょっとだけ悲しみを覚えながらも神様に頭を下げる。


「ありがとうございます。そうすると後は自分の遺品に関してお聞きしたいのですが」


 これ大事。


 もう自分という存在は無かった事になっているとはいえ、PCやタブレット、スマホのデータは地球に残しておきたく無い。


 残しておきたく無い。


 大事なので二度言いました。


「ふむ。御主の懸念はそのデータという訳か。それに関してもこちらで必ず対処しておこう」


  神様。


 貴方は本当に神様でした!その場で拝み始める自分。


 何という「立つ鳥跡を濁さず」であろうか。


 PCを持つ男性の3割にはこの支援は欲しいはずだ!


「…のぅ、御主。余りにも変わり過ぎやせんか?…まぁ良いか。他に気掛かりは無いのかのう」


  こめかみを指で押さえながらお茶を飲む神様。


 魂だけの所為か食欲が全く起きない自分に少しだけ驚きながらも、もうすぐお別れとなるだろう神様との出会いに感謝しつつ話を進めるとする。


「では今度こそ今後の話をしましょうか。とは言え、出来れば天国に行きたいのですが…逝けますかね?」


  恐る恐る神様の顔を見ながら話し掛ける。


 天国という勝ち組み確定の職場を貰えるかどうかはこの面接にかかっていると思って間違いないだろう。


「じゃから何故すぐ成仏しようとするのじゃ?!待て、待て。勝手に逝こうとするな!もう少しだけ話を聞くのじゃ!」


  慌ててお茶を手離し、自分の肩に手を置く神様。


 結構なストロングスタイルの使い手ですな。


 など、その場に合わない考えをする自分。


 そんな緊張感が全く無くなった自分の顔を大きな溜息をついた後、真剣な眼差しで見る神様。







「御主。儂の世界で生きてみぬか?」







 もしかしてとは思っていたが、言われると結構戸惑ってしまう。


 そんな言葉を発する神様。







「すいません。勘弁してください」



 そう言った自分は悪くないと思うんです。














次回から異世界導入はじまります。

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