てんやわんやな説明回3
「今現在御主は魂だけの状態じゃ。その魂も先程サルベージされ再構成されたばかりなのじゃ」
視線を落とし「すまぬ」と言う神様。
そこから先の説明はまるで映画をスクリーンで見てるかの様に、ただ他人事の様な感覚でしかなかった。
神様が車の中で取り出したもの。
どうやらそれが原因で自分の肉体は消滅したらしい。
と、言うのもあの時出そうとしたものが神様の道具だったらしく、地球のセキュリティがそれに反応。
神様相手のセキュリティに一般人である自分がどうにもなるはずが無く、肉体消滅。魂もバラバラだったそうです。
神様の道具が取り出せたのは何故だか分からないらしい。
これって地球の神様の方にも不手際があるよなぁ…
とまさに魂が抜けた状態の自分が思うのは仕方がない事だろう。
「それじゃあ自分は元の世界には戻れないんですか?」
駄目で元々と言う気持ちで神様に問い掛ける。
出来るならあんな表情しないだろうし、と言うかこの神様だったら勝手にしてくれそうだし。
「すまぬ。それは出来ぬのじゃ。肉体が消滅した事により、御主の情報が地球から破棄されておる。御主の存在自体がなかった事になってしもうた…」
神様の言葉を聞いた瞬間、様々な思い出を思い出そうとする!
思い出すことは出来た。
ただ…名前と顔が陽炎の如くぼやけて見えないし、聞こえない。…
父さん…母さん…弟に妹…
ペットまで…
親友に至っては記憶にいるのが分かっているのに、それが本当に親友だったのかさえ断言出来ない!
「あぁ・・・」
棒立ちのまま、魂でしかない自分の瞳から涙が溢れ出す。
本当の悲しみとは透明なんだと心で分かってしまう。
ただただ悲しい…それだけのだ。
「顔を上げてください。神様…」
どれほど時間が経ってしまったのかは覚えていないが、ふと周りに意識を向けると神様が正座状態で頭を下げていた。
今の自分には何も残っていない。
自分のちっぽけな歴史や自分の存在意義すらも。
結婚していなかったのはある意味良かったのかも知れない。
こんな結末が待っていたのだから。
そんな事を考えながら神様に声を掛ける。
「神様。お願いがあります。このまま自分を消して頂けませんか?」
そのまま上を見上げる。
流石は神様の領域といった所だろうか。
優しい光に包まれたこの場所は自分の最期の場所しては最高であろう。
もう一度神様の方に顔を向け、精一杯の笑顔で神様に相対する。
「駄目じゃーーーーーーー!!!」
物凄い勢いで神様に下半身に高速タックルを喰らい地面に叩きつけられる!
痛…くはないけど何これ??スピアー?あれぇ?
意識が飛ぶ少しの間に目に映ったのは、やはり泣き顔の、少しだけ怒った様な神様でした。
説明回が終わらない。
長すぎですかね?まだ続きます。