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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第2章 コルカ王国
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てんやわんやな異世界産

 ピュセルさんにオルゴールを渡し、この件はひと段落。


 ピュセルさんはそのまま消えてしまった。


 やはり消えた時に何も感じなかったのでかなりの実力者だと思われる。


《使徒さんには色々世話になったね。何かあれば手伝うから呼んでおくれ》


 神鯨さんは、そう言うと海中に沈むように静かに潜っていった。


 今日の業務はこれで終了もう帰る。


 異世界来てから働きすぎだ。




 銀狐亭に転移で帰ってくると、待っていたのは宴会と言う名の修羅場でした…


「遅えぞベル。主役が遅れてどうするんだ! 」


 そう言いながら、エールを飲んでいるリデル。


 なんでそんなに上機嫌で飲んでいるんですかねぇ…


「今日はよくやってくれた。ここの勘定はこちらで払うからいくらでも飲んでくれ」


 バシバシと背中を叩きながら既に呑兵衛状態のガロルさん。


 そうですか、それなら遠慮なく食べさせてもらいます。


「サラムーン海運を救ってくれて助かった。海の男として今回の借りは必ず返す。ありがとうな」


 神妙な顔をしてこちらに礼を言うフェルマルさん。


 これを飲んでとっとと忘れてください。


 最初は嫌々でしたから。


「うおおおおぉ! 兄貴! ありがとうございます。これも全て兄貴のおかげです」


 兄妹はみんな来てるか? 腹一杯食わせるんだぞ? あと、兄貴はやめろ」


 20人程度しか入らない食堂はすでに満員で外にテーブルと椅子を置いて野外ビアガーデンのようになっている。


 エールを片手に乾杯の連呼、まさに祭りである。


  エールを数杯飲みながら料理は10人前以上食べているが、未だ満腹になる様子がない。


 今回の仕事はそれほど大変だったと言うことであろう。


 アンさん他、各店の女給さんが出張して回しているらしい。


 ご苦労様です、みんな美人さんでミスコンの様だ


「ベル。今日もよく頑張ったね。これは頑張ったお礼だよ」


 ラドナさんが一番普通に歓迎してくれてる気がする。


 すいませんミートパイが美味しいのでもう1つ追加で。




 そうして宴会が終わり、また1日が終わる。


 次の日の朝、待っていたのはまたリデルである。


「そんな嫌そうな顔をするな。また大事件を解決したのはお前だろ。しかもこの街の大商人を助けたんだ。領主が気になるのも仕方がないだろう? 」


 自業自得だと言わんばかりの視線をこちらに向けるリデル。


 人を助けたら面倒ごとばかり増えてくる。


 やはり田舎でスローライフが1番ということか?


「辺境伯だって忙しいだろう? 今回は何も被害がなかったんだからいいじゃないか原因に関しては『楽神殿』でも聞いてくれ。自分は忙しい」


 そう言って部屋に逃げようとする自分。


 それをアンさんが止める。


「もう少ししたら部屋の掃除をしますんで荷物は宝箱に入れて部屋を出てくださいね? 1時間はかかりますから」


 この宿屋昼前には一時的に部屋から人を全員出す。


 出ないといっても出す。


 その昔、貴族の人がこれを破ってラドナさんに実力行使されたらしい。


 恐ろしいなラドナさん……


 部屋を開ける間は部屋付きの宝箱に荷物を入れる。


 魔法がかかっておりその宝箱専用の鍵でないと開かないらしい。


「ほら、時間ができたじゃないか。さっさと領主館にいくぞ」


 残念ながら今回も忙しくなりそうである。




「行方不明だった商人の救出の話がなんで練武場でされなければいけないんですかね ⁈ 」


 領主館に着くやいなや、いきなり練武場に連れてこられ挙句、現在辺境伯と試合中である。


 まさに降り注ぐかの様な槍の連撃に躱し、受け流し、打ち払う。


 この爺スタミナどうなってるんだと思いながら何とか防げている感じだ。


「防御だけでなく間に攻撃を入れんか。攻防一体とまでは言わんが防御だけだと読まれやすいぞ。あと直線で下がるな。追撃を受けやすいぞ。」


 これ稽古じゃね? そう思いながら一旦間合いを取る…やられてばかりも癪だし少し変えてみるか。



 木刀を腰に当て納刀の構えに入る。


 辺境伯が怪訝な顔をするが仕方がない。


 抜刀術などこの世界にはないからね。


 先生ですらあわや1本となりそうだったこの技だ。


 半身に構え木刀をを見えずらくする。


 この状態で待つ……


 狙いはただ一つ、辺境伯は槍が当たるギリギリの所で構える。


 これならこちらの攻撃は当たらないと読んでいるようだ…次の瞬間槍の突きが打ち込まれる。自分は…







  高速タックルで辺境伯の腰に当たる!


 抜刀術? そんな技出来ませんよ。


 前世一般人ですし。


 辺境伯も流石に驚いたのか動きが遅れる。


 しかし、倒れない! 片方の足を取ると足首を脇でロックし、そのまま回転する。


 足首の痛みのためかそのまま一緒に回転する辺境伯の足の爪先とかかとを手で固定して捻る。


「ま、まいった! 」


 脂汗を流す辺境伯の足を離し、ようやく呼吸を整える。


「なんじゃ、今の技は見たことがないぞ? まかさあんな格闘術があるとはな……」


 足の具合を見ながら話しかけてくる辺境伯。


 すいません、これ異世界産なんです。





 








少し遅れました。すいません。

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