てんやわんやな残業回
今日の夕食はなんだろなと考えていると、銀狐亭の前で山賊さんに拉致られました。
いきなり辺境伯の馬車と同レベルの馬車に入れられると、そのまま大きな店に連れ込まれました。
この時点で不機嫌度が上昇中。
連れ込まれた店では来客用の部屋でさらに待たされ不満度がMAXに。
しかし、そこで出たお茶とお菓子が美味しかったので少しだけ好感度UPです。
「すまなかった。デリオン商店のガロルだ。色々言いたいのは分かるが話しを聞いてからにしてくれ。
実はサラムーン海運のフェルマルが海上で行方不明となった。
色々手を尽くしたが未だ見つかっていない。良ければ手伝ってもらえないだろうか? 」
何時もの酔っぱらいでは無く商人の目をした本気の目だ。
「無理です」
そう言って立ち去ろうとするが、ガロルによって止められる。
「どうしてか教えてくれるかな? 」
彼としては「あの件」を見ているから自分を頼ったのだろう。
「無理なものは無理だからです」
そう言うと部屋に居た護衛に見える人がこちらに詰め寄って来た。
「どうして助けてくれないんだよ?子供達は助けたじゃないか。おやっさんを助けてくれよ。そういうことが出来るんだろ? 」
そう言ってこちらを掴みかかろうとしてくる。
ガロルが止めるがこの時点で自分の中ではほぼ敵対者に認定される。
「ちなみにガロルさん。この人は誰ですか?いきなり会わせられた挙句、私の情報を知っているこの人は何者なんですか?
貴方が情報を渡したというならば私は貴方との付き合い方を考えなくてはいけないいんですが? 」
冷静に出来るだけ客観的に質問する。
水晶の首飾りに関してはあの宿にいた人間と騎士ぐらいしか知らないはず。
騎士に関しては辺境伯の言葉があるので大丈夫なはず。
この男が宿に居たのかどうかわからないが居なかった場合、ガロルが原因となってしまう。
そうなるとガロルとの付き合いはこれまでである。
「すまんな。こいつはあの場所に居たから知っていたんだ。俺がおまえさんと知己なのを知っているのもその為だ。不快だとしたら俺の責任だ、済まなかったな」
ガロルさんが頭を下げて謝ってきた。
嘘は言ってないようなのでとりあえず納得する。
「分かりました。水晶の首飾りの件を見ていたのなら仕方ないですね。ではどうして無理か説明しますね。
あの首飾りは1カ月に1度しか使えないないからなんです。
効果が強力な分デメリットも大きいということですね。
これに関しては誓約の神に誓っても良いです」
そういうと男は「そんな…」と言って崩れ落ちる。
この世界には誓約の神がおり、その神に誓って言われたことは神が判断するというとんでもない効果があるのだ。
神に嘘はつけない為、商人や裁判官などに信者が多いらしい。
「ちなみにフェルマルさんという方はどういった方なのですか? 自分はこの街に来て日が浅いので知らない事が多いのですが」
一応どんな人か聞いておく。多分あの人であろうという人が知り合いにいるが…
「風呂で2度ほど一緒になっただろ? あいつの事だ。しかし参ったな。こうなると手の打ちようが無いんだが」
ガロルさんは苦悩の表情で考え事をしている。
しかし、妙な話だ。
昨日あったばかりのフェルマルさんが居なくなったのなら今日だ。
しかしこの2人は海上で居なくなったと言っている。
しかも死んでいるとは考えてない。何か隠している…
「どうにも分かりませんね。フェルマルさんが居なくなったのは今日の事でしょう? なのに何故居なくなったという判断なんですか? 船が沈んでいるのが発見でもされたんですか? どうにも情報が不足し過ぎているんですが」
話しを聞こうとするとさっきの男が「おやっさん達が死ぬはずない」などうるさく喚いてくる。
仕方がないので【格闘術】の当身で強制的に喋れないようにする。
驚いているガロルに対して質問をもう一度する。
「先程の話で話してない事があるなら話してください。無いようならここまでで失礼させてもらいます」
そう言うとガロルさんは落ち着いたのかもう一度席に着いて話しだした。
「別に隠しているわけじゃあねえ。いっても信じられないか可能性があるから言ってないだけだ。
朝一でここの港を出たフェルマルの船が昼に無人で発見された。船に主立った傷は無く積み荷もあった。船員だけが消えちまったんだ。
こんな話が信じられるか? だから躊躇しちまったんだ」
えらい話になってきた。
メアリー・セレスト事件みたいだな。
向こうじゃ有名な話だったがまさかこちらの世界で同じような話しを聞くなんてな。
…ふむ一応顔見知り? なるかは分からないがこれも多少縁があったということか。
気絶している男を肩に担ぎ上げガロルさんに言う。
「詳しく知りたいので無人になった船まで案内してください」
今日はこれから残業だ!
少し忙しくなってきたので投稿が遅れ気味です。申し訳ない。




