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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第2章 コルカ王国
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てんやわんやなおかえりとただいま

 やっぱり自分が目的か。


 冷める意識の中、相手の3人の騎士を見つめる。


 リデルには多分勝てる。


 ミノタウロス戦をみて大体の戦力は分かった。


 副隊長のアバストも多分いけるだろう。


 かなりの力を感じるが勝てない相手では無い。


 問題は騎士隊長のノートンだ。


 上級職は間違いないのでかなり厳しい。


 しかもかなりの熟練者だ。


 こちらが手強いと感じたなら間違いなく長期戦で足を止めに来るはずだ。




 相手の戦力を吟味していると思わぬ所から言葉が飛んで来る。


『済まぬが、かの者は我が友誼を結び者よ。何かあれば我も敵となると考えよ』


 ちょっとおじさん涙が出そうである。


 ルーヴがここまでしてくれるとは、今度からは優しくしてやろう。


 ルーヴの言葉により自分の気持ちも決まった。


 勝てない様ならいつでも逃げれるようにしておこう。


「あの、翡翠狼殿。私達はただミノタウルスから助けてくれたベルを探しにきただけなんですが」


 …何を言っているんだリデル君?自分を捕まえにきたんじゃないのかね?


 探しにきたって翡翠狼と一緒に森に逃げていったのを見てるじゃないか。


 ミノタウロスを一撃で倒すところを見てるじゃないか。


 考えがまとまらない自分はつい、そのまま口にしてしまう。


「リデルさん。あなた私が翡翠狼と一緒に森に入っていたのを見てるでしょ?なんでそれで探しにくるの?」


 そう言うとリデルは済まなそうな顔をしながら答えてくれる。


「いや、あの時は助かったよ。流石に勝てないと感じたからな。

 子供だけでも逃がそうなんて考えてたら、逆に助けられたんだからな。あの時はありがとう」


 質問したのに逆に謝られました。


 訳が分からない。


 自分がおかしいのか?


「いや、それじゃ自分の質問に答えてないですよ?私が自分で森に行ったんだから放っておいていいでしょ?」


「夜の森なんて危ないだろう。1人でそんな事しちゃ駄目だ」


 今度は怒られた。


 まったく意味が分からない。


 ルーヴは「我もいたのだがな」とか言ってるけどそんなことは関係ない。


「いや、自分がミノタウロス倒したの見てるでしょ。それでも心配するの?」


 仕方がないので嫌な言い方をしてしまう。


 しかしこれが事実なのだ。


「そんな事は関係ない ! 友を危険な所に行かせるなんて出来ない!」


 友 ?


 一体いつ友に ?


 あったの昨日だし ?


「最初に助けてくれた。次は子供達を助けてくれた。それだけしてくれて何も求めなかった。そう言う関係は友じゃないのか?」


 た、確かに友情とか親友とかそんな感じかも知れないけど


「ま、まぁ確かにそんな感じかも知れませんが別にここまで人を集めて来なくても」


 これじゃ自分が迷子になったみたいで恥ずかしい。


 力を持っていたのに助けるのが遅かったなんて言われるのが嫌だ。


「何より助けてくれた友が悲しそうな顔でこちらを見ていたのが一番嫌だ! 」


 泣きそうな顔でリデルさんが叫ぶ。


 自分の保身ばかり考えていた自分が憎い。


 なにより自分のことをこんなに考えてくれる人がいる事がうれしい。


「あーすまん。大体の事はこいつが話したがそういう事だ。

 我々騎士団としても部下を助けてくれた上に子供達を探してくれた恩人を無下にするつもりはないし、隠していることがあったとしてもそれを捨ててまで助けてくれた恩人をどうこうは我々がさせない」


 ノートン騎士団長が頭を掻きながら困った顔で話してくれる。


「子供達が泣きついてくるんですよ。助けてくれた兄ちゃんと狼は何処だって。謝らないといけないって」


 やれやれといった顔で子供達の話をしてくれるアバスト副団長


 そして自分のところまで走ってきて手を取ってくれるリデルさん。


「正直に言いますけど話せない事や話したくない事が多い面倒な人間ですよ、自分。それでもいいんですか? 」


 正直どうでも良くなったので言いたい放題の自分に3人は頷いてくれたのであった。


『話もまとまったようだな。それでは我は戻ろうとするか。ベルはそ奴らと帰るが良かろう。報酬はベルと子供達が一緒に持ってくれば良かろう』


 ルーヴはそう言って森に帰ってしまった。


 一応『ありがとう』と念話を飛ばしている。


「それじゃ撤収するぞ」


 ノートン騎士団長の掛け声と共に皆で街に帰る。


 その間に色々な人達に挨拶をされながら握手したり礼を言われたりする。


  街に着くと銀狐亭に戻って良いとリデルにニヤニヤされながら言われる。


 ちなみにリデルから「さんはいらない。リデルでいい」と言われたのでそうしてます。


  深夜にも関わらず灯りが点いている銀狐亭の扉を開けるとアンさんにいきなり抱きしめられる。


 唖然としながら周りを見てみると、ロイさんとラドナさん、山賊に海賊他にも宿泊客までいる。


「おかえり」

 

 ラドナさんの少ない言葉に多くの意味を感じながら自分も応える。




「ただいま」








今回はタイトルが一番悩みました。

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