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てんやわんやで異世界転生  作者: いんふぃ
第1章 異世界転生と神様
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てんやわんやなプロローグ

「今回の宝クジも駄目かなぁ?」


 宝クジ売り場にて、確認中に肩を落としながら溜息をつく40代後半のおっさんである自分。


 趣味である小説と年4回の宝クジの確認の為、◯オンに来ている訳だが今回も連敗を伸ばしそうである。


「20枚お預かりしまして、3600円の当選になりますね」


「お? 1枚当たったか。ラッキ〜♪」


 少しだけの幸福に頬を緩めながら配当を受け取ると、冬の寒さに身を震わせながらモール内に足を向かわせる。


「昼も近いし中で何か食べてから帰るか」


 何を食べるかあれこれ考えながら、人の賑わうショッピング街をぼーっと眺める。


 家族連れが多いこんな場所は独り身の自分には辛いだけだなぁ。


 普段は人混みが少ない時間にしか出歩かないが宝クジの為、中途半端な時間に来る事になってしまった事を若干後悔しながら足早にレストランコートに向かう。


「やっぱり人が多いなぁ。…持ち帰りの出来るものにするか」


 結局よくお世話になる◯クドナルドにて若干いつもより豪華なセットを買い終え、駐車場へと向かう。




 あれ?あの爺さん大丈夫か?


 車まであと少しという所で蹲る老人を発見してしまう。


 ニット帽を被り白髭をたくわえたその姿は一見ホームレスの様にも見えるが、何故か違和感を感じてしまう。


 あぁ…服が全然汚れてないからか。


「大丈夫ですか?」


 そう話しかけながらスマホを取り出し緊急連絡の準備をする。


 病気や厄介事ではありませんようにと祈りながら近付くと「グゥゥォオ…」と激しい音が。


「す、すいません。何か食べ物を…」


 なかなか日本では聞かないセリフである。




 流石に冬の寒空にずっと放って置くわけにもいかず、自分の車である軽自動車に招き入れハンバーガーを手渡す。


「ありがとうございます。こんな見ず知らずの私に食べ物を頂けるなんて」


 そう言いながら涙目で食べる老人を見て、我ながらなんでこんなに親切にしてしまうのか疑問に思ってしまう。


 自分かなり人見知りで人嫌いなはずなんだがなぁ。


 …やっぱ職無くして人恋しいのか?それにしてもおかしい気もするするが。


「これが地球の食べ物…美味しい」


  とぶつぶつと小声でいいながらも、まだ食べている老人を見て今後の方針を決めていく。


「食べながらでいいのでお聞きしたいんですが今後のご予定とかあります?」


 我ながらひどい聞き方だ…食費もままならない老人に予定も何も無いだろうに。


 自己嫌悪しながらも、これ以上関わらない様にする為に話しかける。


 自分だって余裕ある生活をしているわけでは無いのだ。


 お金がなくて困っているだけなら自分の境遇を話してさっさと別れてしまおう。


「実は自分は現在失職中でして、この後仕事を探しに行く所なんです」


 申し訳なさそうに言うと、老人は驚いた表情でこちらを見てくる。


 これで一件落着かな。


「なんと!そのような大変な状況なのに私を助けてくれたのですか?大変申し訳ありません」


 頭を下げて感謝してくれる老人。


 良い人なんだろうなぁ。


 焦った様子で自分の体のあちこちを触りながら何かを探す老人を見ていると、だんだん不安なことを言い出した。


「御礼に何か…神龍の卵がいいかな? いや、天空城の方が…地球だと何が高価だろう? 金塊が一番無難かな? 」


 ファンタジーな言葉満載の独り言を呟きながら何かを出そうとしている。


 あれ? 段々おかしな事になってきたぞ?


 ファンタジーは大好きですが、妄想癖の老人だったとは。


 …警察に預けた方がいいかな? 痴呆性徘徊老人だと捜索届けが出てるかも…

 スマホを取り出そうとした瞬間、


「あぁ…これが良いかな?【天地創造】」


 老人が懐から光り輝く玉の様な物を取り出すのを飛びそうになる意識の中「これ駄目なやつだ」と馬鹿な事を考えしまう自分。


 イレギュラーに弱いよなぁ…とPCのシャットダウンの様に目の前が真っ暗になる。




 …神霊具の発動が確認されました。これにより【対神結界】並びに【空間遮断】が発動されます。




「あ! 地球神待って! これは違うの! 話を聞いて! 君の所の子もここにいるんだから!」

 



 最後に聞こえたのは、焦って涙声の老人の声でした。












 









 


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