2-18 泉
竜暦6557年10月3日
(【分析】【情報】)
<<ラビリンス・フェアリー>>→魔獣:アクティブ:聖属
Eランク
HP 62/62
筋力 1
耐久 1
知性 1
精神 4
敏捷 4
器用 2
迷宮1階東の未踏破の通路を進んでるが、フェアリーが多めに生息しているようだ。
「またフェアリーね」
通路の先を見つめるサリスが愚痴る。今日3回目のフェアリーの集団なのだ。
「いい修行さ、魔石も稼げるし嬉しいよ」
「まあね」
そうフェアリーは7~9匹程度の集団を組んでいるのだ。
既に2回の戦闘で魔石を16個確保していた。
「さて土塊を飛ばすよ」
「うん」
「《バースト》」
撃ちだされた土塊が弾け7匹のフェアリーに泥が付着した。
サリスがいつも通り斬り込む。
今日のサリスは絶好調だ。
ストームソードの飛ぶ斬撃が泥が付着して上手く飛べないフェアリーに次々と致命傷を与えていく。
踊るように剣を振るい程なくして7匹のフェアリーが息絶える。
「絶好調だね」
「まだまだ剣に振り回されてる感じがするわ、もっと頑張らないと」
「さて回収しようか」
手際よく魔石を回収し、さらに東に向かう。
通路の異変に気付きサリスに合図を送る。
「どうしたの?」
「あの左側の天井が淡く光ってる」
俺はそういって指差す。
(【分析】【情報】)
<<ラビリンス・クレイ>>→魔獣:アクティブ:土属
Fランク
HP 1/1
筋力 1
耐久 1
知性 1
精神 1
敏捷 1
器用 1
(この罠も魔獣か…、でもタイルと違ってアクティブだな。確認してみるか)
「落石の罠っぽいね」
「初めてみるわね」
「下を通ったら土砂が落ちると思うから、遠距離から攻撃してみるよ」
「お願い」
「《ショット》」
マルチロッドで構え狙いをつけて天井に向けて単発の火の玉をはなつ。
ぶつかった瞬間大量の土砂が落ちてきた。
「……下敷きになりたくないわね…」
サリスが感想を述べた。
その感想を聞きながら、俺は黙々と土砂を除ける作業を始めた。
「ベックなにしてるの?」
「ちょっと確認したいことがあってね」
掘り進めると落石の罠の真下から7個ほど土魔石が出てくる。
「え、ここにも魔石?!」
「そうみたいだね」
魔獣と知っているがとぼけた。
「落し穴の底にも魔石があったし、ここにもあるかなって思ってね」
「ベックの目の付け所は、やっぱり違うわねー」
きっとこの土砂も魔獣の一部だし時間が経てば迷宮に吸収され、また落石の罠として復活するんだろうなと思いを巡らす。
「さて臨時収入もあったし先に進もう」
俺達は先を急ぐ。
分岐を2つ進んだところで30mほど先に泉が見える。
「ようやく泉を見つけたわね、周囲に異常はないかしら」
分析を使ってみたが魔獣の姿は見えなかった。
「平気そうだね」
「ここのところ、偽装する魔獣に出会うのが多かったし油断は禁物よね」
「そうだね、慎重に進もう」
そういって歩を進め問題なく泉の淵についた。
アイテムボックスから採取樽を取り出し、コップを使い泉の水を樽に入れていく。
泉の水が入ったコップの水を分析してみる。
(【分析】【情報】)
<<ソウル・ウォータ>>
Fランク
闇属
魔力 10
耐久 30/30
(闇属なのか、そういえばよく見るとコップの内側に気泡がついてるけど炭酸水?)
「これってなんに使うのかしら」
「文献に書いてあったけど迷宮から湧き出る水は魔力を含んでるらしくて産業用に使うらしいよ」
「なるほどね」
「飲めるのかな?」
「産業用に使うほどだし、消毒しないと危険じゃないかな」
「まあ迷宮の水だし、口にしないほうが良さそうね」
「うん」
「もし喉が渇いてるなら薬草茶を出そうか?」
「大丈夫よ」
目的の採取も終えた俺達は、そのまま転移石で迷宮の外に出て冒険者ギルドに向かう。
「きょうは順調だったわね」
「うん」
いつもの手順で冒険者ギルドの受付でジュイスに採取樽と各種魔石を渡しクエストの報告を行う。
「はい、今回のクエストの報酬として銀貨10枚。あと各種Eランク魔石30個で銀貨60枚ね」
「いつにもまして魔石多かったわね」
「泉に向かったルートでフェアリーに多く遭遇しまして、そのおかげですね」
「フェアリーと連戦なら納得だわ」
「さて昇格試験も折り返しね。6回目の昇格試験の指名クエストだけど迷宮2階へ下りる縄梯子の交換よ。古い縄梯子は持ち帰ってきてね。報酬は銀貨10枚。これが依頼票」
「設置について注意点はありますか?」
「打ち付けている金属製の杭に引っ掛けるだけだから、さほど難しくないわね」
「わかりました。」
新しい縄梯子と依頼票を受け取りアイテムバッグにしまう。
「くれぐれも2階にはいかないでね」
「「はい」」
明日は休み、ゆっくり過ごそう。




