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観測者λ567913と俺の異世界旅行記  作者: 七氏七
乳児期~少年期
14/192

1-13 装備

増量中

 竜暦6557年7月13日


 サリスと俺は目的をもって商業地区を訪れた。


 教会や道場にいかなくてもいいのかという疑問に対しては、特に問題ないという回答が出来る。


 この世界では教会や道場に通っている子供は10歳になると任意で好きな日を選んで行くことができる。

 ようは受けたい授業がある場合のみ通うのだ。


 成人前だが10歳になると親の仕事の手伝いを優先して重視する傾向がある。

 ようは将来つく仕事にそった技能や技術を習得しはじめるのが10歳くらいから始まるのだ。


 さて話がずれたが、目的の店、ヘイルク装備工房に到着した。


「いらっしゃい、あらサリスと一緒なの」

「やあ、ベキス」

「イチャつくのを見せびらかすなら店から出て帰ってくれてもいいのよ」

「そんなつもりはないわよ、ベキス。今日は武器と防具を見にきたの」

「噂で聞いてたけど、本当に二人で冒険者やるのね…」

「いや俺は冒険者は副業のつもりだよ、本業は旅行者になるつもりさ」

「ベックも相変わらずだねー、冒険者でも充分やっていけるでしょ」

「ベキスもそう思うわよね、本当にもったいないわよねー」

「いやいや、冒険者は危険だし、ほら俺はサリスより弱いし、旅行者になって旅行記の本を書くほうが向いてるよ」

「「…」」


(なにかがおかしい)


 なぜか二人にジト目で見られる。背中に変な汗かいちゃったよ、俺。


「で、今日はどんな装備を探してるの?」

「武器については私は剣と盾かな、ベックは槍がいいかな」

「防具は革系のものがあればいいな」

「予算はいくらくらい考えてるの?」

「俺とサリス、二人あわせて銀貨8枚程度で考えてるんだけどね」

「ちょっと待っててね」


 そういって、ベキスが店の奥に消え、いくつかオススメの武器と防具をもってきた。


 まず武器に対して分析を行い品質のよいものを見繕う。


 <<ブロンズソード>>

 Dランク

 風属

 魔力 110

 耐久 400/400

 STR Dランク

 AGI Eランク

 DEX Fランク


 <<スパイクシールド>>

 Dランク

 土属

 魔力 60

 耐久 500/500

 STR Fランク

 VIT Dランク


 <<シェルスピア>>

 Dランク

 水属

 魔力 90

 耐久 360/360

 STR Eランク

 AGI Dランク

 DEX Fランク


「サリス、この武器でどうかな?」

「たしかに良さそうね」

「えっとベックって目利きできたの?」

「ん」


 ベキスが不思議そうに質問してきた。


「いや、その品って安いけど、このオススメの品の中じゃ優良品だよ」

「あっーと、ほら、親が行商人だし、なんとなくいいものが分かるっていうか、あはは」


 店の奥の工房から、一人の男性が現れた。


「ベキス、なに騒いでるんだ?」

「あ、父さん、友達が武器と防具を買いにきてるんだよ」


 どうやらベキスの父親で、この工房の大将みたいだ。

 分析したら鍛冶士と出たので間違いないだろう、


 <<ヘイルク・グネジュ>>→人族男性:26歳:鍛冶士

 HP 241/241

 Cランク

 STR Cランク

 VIT Cランク

 INT Dランク

 MND Dランク

 AGI Dランク

 DEX Bランク


「なんだ坊主とお嬢ちゃんは、冒険者を目指すのかい。俺はグネジュだ、よろしくな!」

「マリスキン・サリスです。」

「オーガント・ベックです。」


 男は目を大きくした。


「あちゃー、マリスキンゆかりのお嬢ちゃんだったか。」

「ええ、父に話したら、この工房で装備を買うのを薦められまして」

「お得意さんだからな、マリスキン家は。今後とも贔屓にしてくれな」

「はい」


 サリスが返事をしながら笑いかける。


「しかしベキスと同い年の娘がいるなら、教えてくれてもいいのにな、マリスキンの旦那も」

「父は無口ですし、家のことなど外であまり話さないかもしれませんね。」

「そうだな」


 グネジュが俺のほうをみてさらに声をかける。


「こっちの坊主はあのオーガント家のゆかりかな?」

「そうね、あのオーガント家よ、父さん」


 ベキスが答える。


「えっとよく理解してないのですが、オーガント・ジャスチは父様で、僕は三男にあたります。」

「いや。悪い悪い、オーガント家はここらじゃ有名でな、商いであれだけ成功する人は珍しいのさ」

「そうなんですか?」

「ああ、商いに関しては天才だとおもうよ」


 ジャスチの評価を他人に聞くのは初めてなので、ちょっと面食らった。

 まあイネスが惚れるくらいだし、やっぱり秀でた才能があったのね。


「この武器を選んだのはお嬢ちゃんかい?」

「いえ、ベックが選んでくれたんです」

「ほー、坊主は目利きの才能があるな」

「やっぱりそうだよねぇ、父さん」


 分析スキルつかって選んだだけなので、目利きの才能があるとか持ち上げられても、俺としてはちょっと居心地が悪い。


「ええっと、さっきベキスにも言ったんですけど、なんとなくいいものかなって選んじゃっただけでマグレというかなんというか」

「がははは、謙遜するなって、さすがにオーガントの血を引いてるだけあるな!ところで防具はこれから選ぶのかい?」

「はい、まずは武器からと思って。」

「なるほど。ベキス。裏から革のHEシリーズ一式を2セットもってきな」

「父さん、あれって…」

「いいんだよ、試作品だがな、坊主とお嬢ちゃんならモニターとして十分に使いこなせるだろうし」

「ちょっと待っててね」


 ベキスが店の奥に消え、試作品らしい防具をもって出てきた。


 <<HEレザーヘッドバンド>>

 Eランク

 聖属 土属

 魔力 50

 耐久 200/200

 VIT Eランク

 AGI Eランク

 DEX Eランク


 <<HEレザージャケット>>

 Eランク

 聖属 土属

 魔力 50

 耐久 400/400

 VIT Eランク

 AGI Eランク

 DEX Eランク


 <<HEレザーアームガード>>

 Eランク

 聖属 土属

 魔力 50

 耐久 200/200

 VIT Eランク

 AGI Eランク

 DEX Eランク


 <<HEレザーレッグガード>>

 Eランク

 聖属 土属

 魔力 50

 耐久 200/200

 VIT Eランク

 AGI Eランク

 DEX Eランク


 装備に複数属性つかってるけど、これ高いんじゃないか?

 予算オーバーしちゃいそうだ。


「これって高そうなんですけど、予算を超えちゃいそうです」


 俺はおもわずグネジュに問いただした。


「あぁ、さっきの武器とこの防具2セットで合計銀貨8枚でいいぞ、坊主」

「父さん、それって安すぎです!」


 ベキスが思わず声を出し慌てたそぶりを見せる。


「確かに本当なら防具だけで銀貨30枚ほどになるんだがな、モニターとして使い心地を報告をしてくれれば安価で提供するがどうする?」

「銀貨30枚する防具って、なにか普通と違うのかしら?」

「ああ、説明しなかったな、HEシリーズは試作段階でな、聖魔石と土魔石の粉末を表面のコーティングに用いて独自の術式を施すことにより自己修復できるようにしてるのさ」

「えええぇぇ!!」

「メンテナンスフリーの防具とか…凄いな」

「ああ、でもどういった不具合があるかわからんし、試作品としてまず安価なレザー装備に組み込んでみた段階なんだわ」


 サリスと俺は思わず息を飲んだ。最新鋭の装備を手にする機会などそうそうないし性能も新人冒険者にはもったいないほどだ。

 サリスと目を合わせて、軽くうなづいてから俺は答えた。


「モニターになるので是非とも売ってください!」


 グネジュさんは笑いながら、あとはベキスに任せて工房に戻っていった。


「二人のこと、父さん気に入っちゃったみたいねー」

「すごく豪快な人だね」

「父に聞いたとおりだったわね」


 その後、ベキスに手伝ってもらって、防具の調整してもらってから支払いを済ませ店をあとにした。


「ベックが目利きできると得するわね」

「…」


 サリスが俺に語りかけてきたが、俺はその会話にも気づかず別の考え事を巡らしていた。


(分析をうまく使いこなせば旅の資金集めも楽にできそうだな、質のいいものを採取しても目利きが出来るからとごまかせばいいしな)


「ベック、ベック、私の話きいてるの?」

「あ、悪い、ちょっと考え事しててさ」

「装備も揃ったし、資金集めと冒険者ランクあげを本格的にはじめようと思うんだけど明日からはじめるのはどうかしら」

「了解、とりあえず明日はギルドに集まって正式な冒険者登録をしよう」

「そうね、いつまでも制限の多い仮冒険者証じゃ動きづらいし、いい考えだと思うわ」

「そうだ、まだ時間あるかな?」

「わたしなら平気よ」

「母様がサリスを家にまねくようにうるさくいってきてね、これから家に来ないかい」

「いいわよ。先日うかがった際、イネスさんに料理を教えていただけることになったし」

「二人って仲いいよね」

「イネスさんって綺麗だし優しいし、それにいろいろな事知ってるし、女性として憧れちゃうわ。教会での勉強の時も私のこと気にかけてもらってたしね」

「へー」

「ところで俺もサリスの親に付き合うことになったことを報告しに早めに挨拶にいったほうがいいよね、どうしようか?」

「それなら、行商団の護衛クエストで家族みんな出かけちゃってるから、まだ先でいいわよ」

「そうなんだ」

「知らなかったの?オーガント家の行商団の護衛よ」

「え!」


 俺は知らなかったが、どうやらマリスキン家とオーガント家は行商を通して関わりが深いらしい。

 今回の交際のことも特に反対されなかったのは、お互いの親が良好な関係であったためである。

 イネスにしてはサリスが俺の嫁になって自分の娘に迎えられたらいいなと小さい時から目をつけていたというのも、このあと俺の家での二人の会話で判明したのだが…



205/05/02 誤字修正

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