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観測者λ567913と俺の異世界旅行記  作者: 七氏七
乳児期~少年期
13/192

1-12 交際

「こんにちはぁ」

「あら、サリスちゃん、今日はどうしたのかしら?」

「ベックはいますか?」

「ベックと約束でもしてたの、サリスちゃん」

「いえ、今日は先日のクエスト報酬を渡しに来たのと、せっかくなのでベックの部屋で勉強でも教えてもらおうかと思って…」


 頬を赤くするサリスを見て、イネスが何かを察してパァっをにこやかな笑みを浮かべた。


 竜暦6557年7月4日


 俺の家にサリスがやってきた。そう爆弾を抱えてやってきた。

 部屋に入ってきたサリスがいきなり爆弾を投下した。


「ベック、よければ私達交際してみない?」

「へ」

「だから交際よ、交際!」

「へ」

「結婚を前提にしてお付き合いするの!」

「へ」

「…」


 頬を赤くしてサリスがうつむく。


(へ)


 放心状態の俺がいた。正気に戻るのに時間がかかったが、サリスに真意をただしてみる。


「い、い、いや、こういったのって女性からじゃなく俺のほうが普通するもんじゃない?」

「ベックは既に付き合ってる子がいるの?」

「い、いや付き合ってる子なんていないよ」

「わ、私じゃダメ?」

「サ、サリスは可愛いし、付き合えるなら飛び上がるほど嬉しいよ」

「じゃ交際するってことでいいわよね」

「う、うん…」


 主導権を完全にサリスが握っている状態である。


「でも突然すぎない?」

「ベックってやっぱり鈍感だったのね」

「はぁぁ!?」

「教会で一緒に勉強してるベキスやジャキスも、ベックのこと好きみたいよ」

「…なんだってぇぇぇぇ!!!」

「資産家のオーガント家の三男だし、顔立ちもヒッチさんほどじゃないけどカッコいいし、女子の中では誰が付き合うか裏で壮絶な争いをしてるわよ」

「えぇぇ」


 知らないところでモテ期が来てました。

 そういえば教会で勉強しているときに分からないことを聞きにくる女子が多かったけど、俺が成績いいから聞きにきてるんだと思ってたわ…


「でも、それにしてもなんでサリスから告白なんだよ」

「だって、最近デートに応じてくれて一緒に出かけてくれるのに、いつまで経ってもベックから告白してくれないし…、もしかして私のこと嫌いなのかなって不安に思っちゃって…」

「はぁぁ」

「私って勉強できないしガサツだし、ベックはイネスさんみたいな勉強の出来る才女タイプが好みなのかなって不安に思ってたの!」


(なにかがおかしい)


「えっといいかな、まずデートってしたっけ?」

「先日もザム海岸にいったじゃない」

「クエストだよね」

「デートよ」

「クエストだよね、あれ」

「デートよ、あれ」


 サリスが残念系美少女だったのを忘れてた!


「いろいろ納得したよ」

「よかった!」


 どっと疲れた表情をして肩を落とした俺をサリスはヒマワリような明るい笑顔で見つめた。


「でもサリスは冒険者になりたいんだろ」

「うん」

「俺は旅行者になるつもりだから、一緒にいられない時間が多いかも…」


 転生前の嫌な思い出が脳裏をよぎる。


「大丈夫よ、一緒についていくし」

「ん?!」

「護衛としてベックと一緒に各地にいけば、私も冒険者ランクあげるのラクそうだしね」

「一緒に旅をしてくれるってこと?」

「ベックの知識は冒険者として頼りになるし、それとも私と一緒にいるのはイヤ?」

「サリスの腕なら頼もしいよ、既にEランクの実力あるしね」

「あら、嬉しいこといってくれるわね、でも私まだFランクよ」


(うは、しまった!分析のスキルを悟られたらマズい)


「いや戦ってる動きを見ればサリスはEランクじゃないかな、斬撃とか鋭いしね」

「私のこと、よく見てくれてるのね、嬉しいかも」


 サリスが嬉しいそうに笑う。


(ふぅ、ごまかせたかな)


「で、今日は勉強も、しにきたんだっけ」

「忘れてたわ、まず先日のクエストの報酬わたさなきゃ、銀貨5枚になったからベックは銀貨2枚と銅貨50枚ね」

「結構な金額だね、このお金は旅の資金として貯めておかないとな」

「ベックって堅実なのね」

「だって旅はお金かかるからね」

「じゃ、付き合うことになったし二人で正式にペア組んで冒険者ギルドのクエストやってみない? 報酬は旅の資金として貯金するの」

「いい考えだな、母様には心配かけれないから当面はFランクのクエスト中心に二人で頑張ってみようか」

「わーい」


 サリスが赤毛のポニーテールを大きく揺らしながら喜んだ。


「そういえばベックは旅の資金としていくら貯めようと思ってるの?」

「とりあえず金貨2枚かな」

「えっと、それ本気なの」

「本気だよ、どうしたの?」

「ううん、平気。 ベックって大物だなっておもっただけよ」


 なにか感心した表情でサリスがベックを見つめた。


「んじゃ、勉強しようか」

「えっと、そろそろ帰るわね」

「あれ、勉強は?」

「本読んでると私寝ちゃうわよ、それとも寝た私を襲うつもりなの?」


 小悪魔のような微笑を残してサリスは俺の家をでて帰っていった。

 しかし怒涛の展開すぎて、まだ状況を理解しきれてないわ、俺。


 門扉の外までサリスを送っていた俺は、玄関のドアをあけ居間に入るとイネスが嬉しそうにぱたぱたっと音を立てて駆け寄ってきた。


「ベックはサリスちゃんと付き合うの?」

「あ、えーっと、なんか、そうみたいな感じになりそうな…」

「きゃぁぁぁ、サリスちゃんみたいな可愛い娘が欲しかったのよね~」

「母様。おちついてください。」


 イネスのテンションがおかしい。

 男子3人生んでるけど、どうも娘も欲しかったらしいのだ。

 あとサリスは教会でもイネスと顔をあわせているが、俺のしらないところでかなり仲の良い関係だったらしい。

 娘が出来るならサリスみたいな女の子と思ってたって聞いて唖然とした。


(サリスって勉強苦手だよね、どこでイネスと気があったのか不思議だわ~)


 俺には理解できない世界があるらしい…


2015/04/22 会話補強

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