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観測者λ567913と俺の異世界旅行記  作者: 七氏七
乳児期~少年期
11/192

1-10 【情報】

増量中

「母様、いってきます!」

「気をつけてね、それと師範の指示はちゃんと守って怪我をしないようにね。」

「はい!」


 家を出た俺は通りを歩きながら、手を見つめて分析を行う。


 <<オーガント・ベック>>→人族男性:10歳:無職

 HP 82/82

 観測者レベル10

 スキル

 【分析】【書式】【情報】


 さらに情報を行う。


 オーガント・ベック Fランク

 HP 82/82

 STR Fランク

 VIT Eランク

 INT Fランク

 MND Cランク

 AGI Fランク

 DEX Fランク


 観測者レベルの上昇で各ステータスが得られるようになったんだが数値ではなくランク表示である。

 なぜランク表示なのか疑問だったが、冒険者ギルドの基準に沿ったものだと判明したら納得だった。


 ランクの目安は


 Sランク 災害級魔獣を討伐可能

 Aランク 大型魔獣を討伐可能

 Bランク 準大型魔獣を討伐可能

 Cランク 中型魔獣A種を討伐可能

 Dランク 中型魔獣B種を討伐可能

 Eランク 小型魔獣A種を討伐可能

 Fランク 小型魔獣B種を討伐可能


 災害級とはドラゴンとかを想像してくれるとわかりやすい。

 あとA種は見境なく人に遅いかかる魔獣、B種は普段はおとなしく攻撃された場合のみ反撃してくる魔獣である。


 現在の俺は普段おとなしい小型の魔獣をやっと倒せる程度の力しかないってことだ…

 目指すのは冒険者じゃないし…

 納得はしてるけど、ちょっと悔しい…


 通りにある屋台によって食料を買っているとヒッチに声をかけられた。


「ベック、食料など買っているが、これからどこかに出かけるのか?」

「ああ、兄様、これから道場の合宿で郊外にいくところなんです。」

「なるほど」

「時間がかなり早いですけど、兄様はいまから出勤ですか?」

「ああ、早めに官舎を出て庁舎に向かっていたんだ。入ったばかりの新人で使えない人材だから雑用が多くてな、ははは」

「今年採用された人は兄様ふくめて二人しかいないですし、忙しいのは期待されている裏返しじゃないのかな?」

「ベックにそういってもらえると嬉しいよ。さてそろそろ行くけど、合宿気をつけてな」


 手を振りながらヒッチが遠ざかっていく。

 ヒッチは念願かなって今年から公務員に就職できた。

 公務員は待遇がいいので、競争率が非常に高い反面、能力も高い水準が求められる。


 ヒッチの能力でもギリギリ採用されるかされないかのレベルだったらしいが、どうも母ゆずりの美男子だったのが決め手で最終的に採用が決まったらしい。

 やっぱりイケメンはズルイ!


 そういえば、そろそろ戻ってくる頃だと思うけど長男のアキアは父と一緒に行商団に加わって活動している。

 非常に人あたりのいいアキアは行商先のお得意様とも懇意にしてもらっているらしく、一部の商人から娘と結婚してくれないかとの話も出ているらしい。

 行商人としてのオーガント家は本当に安泰だね。




 竜暦6557年5月14日、港湾都市パム郊外の平原に俺を含めて3人の姿がある。


 <<マリスキン・ギャユス>>→人族女性:46歳:師範

 HP 310/310

 Bランク

 STR Bランク

 VIT Bランク

 INT Cランク

 MND Cランク

 AGI Bランク

 DEX Bランク


 <<マリスキン・サリス>>→人族女性:10歳:無職

 Eランク

 HP 104/104

 STR Dランク

 VIT Dランク

 INT Fランク

 MND Fランク

 AGI Eランク

 DEX Eランク


「ベックはわたしの影に隠れていれば安全だから、前にでなくていいわよ」

「うん、前衛は是非ともお願いするよ、サリス」


 サリスは教会と道場ともに一緒に通った幼馴染である。


 容姿を一言で表すと赤毛の大和撫子かな。

 ロングの赤毛はポニーテールにしてまとめていて顔立ちは清楚な美しさがある。

 キリリとした表情をするとよく似合っていて、思わず見惚れてしまうほどだ。


 ただし冒険者一家に生まれただけあって腕っぷしだけみると男性と変わらず、しゃべるとガサツな言葉が出てしまうのが玉に瑕。

 黙っていれば相当な美人なのに本当に勿体ない。


「ほら、おしゃべりはそこまでだよ」


 ギャユスに注意されて二人は黙った。

 元Bランク冒険者の経歴を持つサリスの叔母にあたる人。

 怒ると非常に怖く【赤髪の鬼女】という二つ名を持っているのだ。


「さてこのあたりで合宿をしようかね」

「「はい、師範」」


 今日は俺とサリスの二人にとって人生で初めての魔獣狩りなのである。


「今日の対象の魔獣はスライムだよ。事前に教えてあったけど魔獣に対しての知識は大丈夫かい?」

「「はい、師範」」

「サリス、スライムを狩る上での注意点をいってごらん。」

「えっと小型魔獣B種であり、こちらから攻撃しないと襲ってこないです。」

「うーん、それじゃ足りないね、ベック、注意点をいってごらん。」

「小型魔獣B種であり、こちらから攻撃しないと襲ってこない。物理攻撃を加えると稀に分裂するので属性付与武器を用いて討伐。属性は特に指定なし。あと攻撃を受けた場合毒状態になることが稀にあるので解毒は小まめに行う。以上です。」

「さすがベックだね、知識としては申し分なしだ。サリスもわかったかい」

「はい、師範」

「今日は道場の備品の属性付きの木剣を渡すので、その木剣を使用すること。わかったかい。」

「「はい、師範」」

「なにか質問はあるかい?」

「質問いいですか」

「なんだい、ベック。」

「狩猟数に指定はありますか?」

「ああ、狩れるだけの数でいいよ。ギルドのクエストじゃないし。」

「魔石についてはどうすればいいですか?」

「スライムじゃ低品質の魔石しか出ないけど、落としたら出来るだけ確保しておくれ。買取所にもっていけば少しはお金になるしね。」

「では、二人とも無茶せず頑張ってきな、なにかあったらココに戻ってくること、いいね!」

「「はい、師範」」


 サリスと俺は木剣を手にキャンプから出て周辺の探索に向かった。

 木陰の先に動く影がみえた。

 サリスの肩を叩き、止まるように合図を送る。


(【分析】【情報】!)


 <<スライム>>→魔獣:パッシブ:無属

 Fランク

 HP 98/98

 STR Eランク

 VIT Dランク

 INT Fランク

 MND Fランク

 AGI Fランク

 DEX Fランク


 魔獣の分析を初めて行ったが、こんな表示になるのね。無属ってのも初見だな。

 小声でサリスが話しかけてきた。


「いたの?」

「あの木の陰にいるよ」

「私が先制するから、ベックは背後から奇襲する手でどうかしら」

「いい作戦だね、それでいこう! あっ、木剣のエンチャント忘れずにね」

「そうだったわね」


 手にした木剣を見つめる。

(【分析】【情報】!)


 <<ウッドソード>>

 Fランク

 木属

 魔力 40

 耐久 279/300

 STR Fランク


 さすがに備品だけあって、少し痛んでるようだ。

 《オン》

 木剣が淡く光る。

 サリスの手にしている木剣も光ってる。

 さて準備出来たし、スライム退治を開始しよう。


 サリスが駆け出し木の陰にいたスライムに一撃を加える。

 スライムは攻撃の衝撃から一歩後ずさったが、すぐに軟体状の体を捩じらせ、サリスの脇腹を薙ぐように体を伸ばしてぶつけて来た。

 とっさに回避したサリスは、さらにスライムに連打を加える。

 俺はスライムの背後にまわり、思い切り上段からの一撃を加える。

 その後、連携して打撃を加えることで、ようやく活動を停止したスライムの軟体状の体が地面に溶けて消えてしまった。


「意外と倒すのに時間がかかったわね」

「放出系のマジックアイテムを使えば、すぐに倒せるらしいけど今回は鍛錬が目的の合宿だからじゃないかな?」

「たしかにそうよね」

「師範もあえてエンチャント木剣にしたのは、簡単に倒せないようにする為かもしれないね」


 初心者の鍛錬という意味では非常に有効な手段だなと思わずサリスとの会話で納得したけど、師範もいろいろ考えてるんだなー。

 簡単に倒しすぎちゃうと魔獣の危険性を錯覚する恐れがあるし、ギリギリの戦いをする緊張感は成長につながる。


「これ魔石だわ」


 地面に落ちていた石を拾い、サリスが喜んだ。


(【分析】【情報】!)


 <<魔石>>

 Fランク

 闇属

 魔力 20

 耐久 99/99


「たしかに魔石だね、おめでとう。サリス」

「え?」

「え?」

「いや、二人で倒したんだから二人のものでしょ」

「あー、そういう意味ね、あはは」

「しっかりしてよ、ベック。手に入れた品の分配管理はしっかりしないと冒険者仲間から嫌われるわよ」

「いや、俺って冒険者志願じゃないし…」

「まだ、そんなこといってんの?」

「う、うん」

「旅行者になりたいんだっけ?」

「そうだよ」

「でも、ベックは魔獣に対する知識に関しては教会や道場にいるメンバーの中でTOPクラスだし、冒険者になれば参謀程度には、すぐになれるはずよ?」

「うーん、あくまで知識だけ持ってる頭でっかちだし、それにほら俺ってサリスより弱いしさ」

「…」


 美少女にジト目で見られるとか、ちょっと背中がゾクゾクしちゃった。


「まあ、いいわ。狩りを続けましょ」

「うん」


 その日は二人で結局、計13匹のスライムを倒した。



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