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博士と乙女ロボ  作者: uda
17/23

博士、告白されました。②

■博士■


 次の日。待ち合わせの麓のあたりにある公園のベンチに博士は汗を流しながら待っていた。

 幸いベンチのそばの木が木陰を作っているので少しはましではあるのだが、普段、外にでることのない博士としては早くラボに帰りたくて仕方が無かった。

 周囲を見渡す。ロボ子の情報から聞いた見た目の長身で少し筋肉質の少年は現れず、周囲には夏休みを満喫している子供たちがいるだけである。


 フィーもラボなどには来ずに外で遊べばいいのに。さてはアイツ友達がいないのか。などと気にもしない事を考えていると待ち合わせの時間5分前にひとりの少年が公園の入口に現れる。

 短くすっきりとした短髪の少年は周囲を伺いながら公園の中に入ってくる。恐らくアイツだろう。


 向こうはロボ子は来るものだとばかり思っているので博士は立ち上がり少年に近づくことにした。

 ポケットの中に入れた以前ロボ子が作った盗聴器のスイッチを押し、今から行くぞとラボで待機するロボ子に伝えると前にいる少年に声をかける。


「君がジョージ君かね」

「え、はい。そうですけど。誰ですか」


 声をかけると少し不審そうに見返す少年に博士は自己紹介をする。


「はじめまして。ロボ子の製作者のスミス・フランシュだ」

「え、あのフランケン博士ですか」


(まさか。学生にまで知られているとは。私の優秀さも有名人になったものだ)


「なんですか。も、もしかして俺を改造する気ですか」

「いや、そんなわけないのだが」


 後ずさるジョージを慌てて手で制す。


(一体どういう噂がたっているのだ。少なくとも人体実験はした覚えがない)


「えーと、自己紹介が遅れました。ジョージ・アルベルトです。あの……ロボ子さんは」

「今日はメンテナンスの日でな。返事だけ私が伝えに来たのだよ」

「そう、ですか」


 残念そうに肩を落とす少年、ジョージに博士は早速で悪いと思いながら返事を伝えた。


「すまないが、いきなり告白されても困ると言っていたぞ」

「……そう、ですよね」


 意味を理解し、ジョージは短い声で返答する。ポタリと何かが落ちる音がして見ると博士は驚く。

 目の前の少年は寂しそうに笑うがその目の端からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。


「す、すいません。自分。あまり泣かないみたいなんですけど。あれおかしいな」


 慌てて手の甲で涙を拭く少年だが、泣き止む気配はない。

 どうせ、なにかの罰ゲームか彼女が欲しかったからという安易な理由なのだろうと想像していた博士は気まずそうにボサボサの頭を掻く。


 とりあえず周囲の子供たちが訝しげな目でこちらを見ている中、博士は男泣きする少年を落ち着かせるため近くのベンチに座らせ自分も隣に座ることにした。

 セミのけたたましい音が聞こえる中ジョージのしゃっくりが響く。


「本気で好きだったのか」

「ヒック、あたり、まえ、じゃないですか」

「落ち着け」


 やはり、小学生といえどもフィーネを連れて来るべきだったか。少し後悔しながらもジョージの心境がよくわからない博士は当てずっぽうで適当に聞いてみることにした。

 泣く理由。悲しいことや。悔しいことが溜まり。抑えられない感情に周囲に放つことで緩和するからだと博士は思っている。

 ならば。予想がつき博士はジョージに尋ねた。


「諦めきれないのか」


 大きくジョージは首を縦に振る。予想が当たりいつもはテンションが上がるのだがこの空気の前ではそんな気にはなれない。

 博士はジョージに問う。


「彼女はロボットだ」

「だけど、感情があるって、言ってました」

「それでもロボットだぞ」

「それでも好きなんです」

「振られたのにか……」


 ジョージは再び頷くと涙を拭き取る。そして、一度大きく息をゆっくりと吐き出し落ち着くとまっすぐ博士を見据えた。

 泣いて少し潤む瞳で博士は見つめられ、少し気圧されるとジョージは頭を下げた。


「すいません。けど、やっぱり本人の口から返事を聞きたくて。あの、こんな事頼むのは失礼だと思いますけど。もう一度ロボ子さんと会えないでしょうか」

「……それは」


 さて、どうしたものか。博士は悩む。

 見る限り、今時珍しい純情な少年のようではあるが会わすだけなら問題はないかも知れないのだが、結果が見えている分これ以上期待させるようなことをしてもいいのだろうか。


 思考している博士のポケットに入れている端末が震える。開いてみるとロボ子からの連絡であり、本文にはたった一文だけ書かれていた。


『会っても大丈夫です』


 それがどういう意味なのか。ロボ子はわかっているはずである。


(ならばもう止める理由はないだろな。申し訳ないことをさせるな)


 内心で悔やみながら博士は端末をポケットに戻した。


「ロボ子は正直好きともなんとも思っていないぞ」

「そう、ですよね」

「いいだろう。お前たちはお互いの事をよく知っておくことが大切だろうからな。ロボ子に伝えておこう。二人で遊びに行って来い」

「あ、ありがとうございます!」


 元気よく頭を下げ、手を握って礼を言うジョージに博士は簡単な日取りと場所を指定し、お互いの連絡先を交換することにした。


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