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博士と乙女ロボ  作者: uda
12/23

博士。デートに行ってください。②

■ロボ子■


 博士が出て行った扉が閉まった音が聞こえた。

 頭がカリカリとなりすぐに我に返ったロボ子は博士が家から出ていったことをもう一度確認すると自分の自室に戻り、準備しておいた服に着替える。

 薄手の長袖のパーカー、ジーンズという初夏に対しては少し暑く感じるかも知れない服装。小麦色の髪は首元で括り、頭の上から白いキャップを被る。

 そして、部屋にまとめていた、スポーツバッグを肩に担ぐと玄関に戻る。

 玄関先で端末をいじっているフィーネにロボ子は言う。


「では、フィーさん。私も博士の後をつけますので……」

「え?そうなの」


 すぐ戻ってきた時にはロボ子の服装がガラリと変わっていたことにフィーネは少し驚いているようであった。

 ロボ子は靴箱からスニーカーを履くと紐を結び直した。


「でも、あんた」

「別に私はついて行かないとは言っていませんよ。ただ、博士の考えとしては一緒に来てもらっては困るらしいと答えただけです」


 靴ひもを結び直し、近くに立つフィーネを見上げる形になりながらロボ子は答えた。

 バッグの中から、端末と似たような画面付きの機械を取り出す。ロボットの指で動かせるパネル機能であるその機械をさわり、画面に現れたパスワードを解除し、少しいじると画面内にこの街の地図が表示される。

 

 ロボ子は地図内の自宅周辺を拡大表示し、麓まで降りる道を出すと画面内の地図に赤く光る点が点滅していた。

 赤い点は麓に降りるように画面内の道をゆっくりを進んでいく。


「…何それ」


 人間に尋ねられたのでロボ子は正直に答える。


「博士のシャツの裏に仕込んだに発信機の足取りですよ」

「発信機って!」

「もちろん後を追いかけるためです」

「博士は来て欲しくないといってなかった……」

「ですからバレない様に行くのですよ」


 バッグの中を開けてフィーネに見せる。この日のために博士に黙って作り上げた盗聴器や改造したカメラ等を見せてあげると何故か驚いたフィーネはほほを引きつらせる。

 おかしいですね。目を輝かせると思っていたのですが。


「どうして、あんたと博士はこうも間違った方向にがんばるのかしら」

「えへへへ」

「はい、笑ってごまかさない!!」

「まぁまぁ、フィーさん落ち着いてください。それにですね。こんな風に親しい相手がデートに行くときは後を尾行するのが王道なのですよ」

「少女マンガの読みすぎよ」


 ロボ子は靴を履き終え、立ち上がる。つま先でコンコンと床を叩いてみるとどうやら自分の鉄の足でも問題ないように履けるようで安心した。

 端末に目を落とす。博士はすでに坂を降りているようであり、十分距離が離れていた。


「それで、フィーさんはどうします。来ますか」

「いや、だから、そういうのはね……」

「気になりませんか?博士が女性をまともに口説く姿」

「それは、だけど……」


 何故か踏ん切りがつかないフィーネ。何故なのだろうかと少しカリカリと思考した後、なんとなく理由は思い浮かんだ。


「それとも小学生には大人の恋愛は早かったでしょうか」

「な、何いっているの。い、いくわよ。わたしだってレディーなんだからね!!」


 それに私も気になるし…とぶつぶつと言っているフィーはロボ子の手を引く。


「何しているのよ。ほら、行くわよー」

「ええ、では行きましょう」


 玄関を出ると見慣れた森林が広がり。日中の蒸し暑さが感覚器官が知らせてくれる。ロボ子は部屋に鍵をかけるとフィーネを引きつれ、博士の後を追いかけるために歩き出した。


「それにしても製作者に発信機や尾行って、あんた、本当にロボットなの……」

「もちろん、博士が作った自慢のロボットですよ」

「……ああ、なんか納得できたわ」





 喫茶店「銀時計」木造の床や壁が天井には古びた白い壁紙。飾り気のない大きな葉をだらりと垂らした観葉植物が数個おかれただけの店内。

 喫茶店というよりは民宿の食堂を広く伸ばしたようである寂れた雰囲気であるが、この田舎町にある喫茶店ではましな方である。

 

 先に着いた博士にばれないように少しはなれた席を選ぶと所々、二人は塗装の取れた四角いテーブルと木枠のいすに腰を下ろした。

 店内のよく効いた冷房に一息つく対面のフィーを眺めながら、適当に注文をし終えるとロボ子はバッグの中から小型のラジオのような四角い機械を取り出し、アンテナを伸ばす。


「それって」

「ええ、発信機とともにつけている盗聴器の受信機ですよー。ちなみに私が作りました」

 

 以前アイドルロボットを改造するときに余ったパーツをベースに博士に内緒で作ったのだ。聞かれれば答えないといけないがばれない様に作ったため問われることはなかった。

 先に決めておいた周波数にあわせ、ボリュームを調整し終えるとロボ子は仕切りの間から少し顔を出す。


 視線の向こう。窓際の席では先にコーヒーを頼んだ博士が無言でコーヒーを飲んでいた。

 どうやら、相手はまだ来ていないようである。


「フィーさん。相手の女性の確認お願いしますね」

「がってん。しっかし博士落ち着いているわねー」


 確かに博士は初めてのデートだと言っていたのにも関わらず、周囲を見渡すなどせず、優雅にコーヒーを飲んでいる。


「さすがです」


 思わず、ロボ子はいつもの調子で拍手をしそうになってしまう。


「まぁ、ああいうのはマイペースって言うのだけどね」

「そうなので……」

「だってね、あいつったら」


 言いながら、フィーネは博士の昔話をし始め、自分が生まれる前の博士の話にロボ子は興味を引き聞いているとスピーカーに女性の声が漏れる。


 どうやら、相手が来たようです。ロボ子は相手にばれないようにちらりと博士たちを覗き見た。

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