表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

少年の絵

作者: 誰か

少年は絵を描くのが趣味だった。

ある時絵を描いていた少年は絵の具が足りないことに気づいた。

時を同じくして祖母が死んだ。障害を持って生まれた妹をよく罵倒する祖母だった。

少年はまた絵を描き始めた。

しかし再び絵の具が足りなくなった。

今度は祖父が死んだ。妹を存在しないかのように扱う祖父だった。

少年はまた絵を描き始めた。

今度もまた絵の具が足りなくなった。

次に死んだのは父だった。酒に溺れ子供によく暴力を振るう父だった。

少年はまた絵を描き始めた。

もう何度目か分からないがまた絵の具が足りなくなった。

次に死んだのは母だった。子供をほったらかして愛人の家で寝泊りするような母だった。

少年はまた絵を描き始めた。

何度も、何度も、何度も、キャンパスに一つの色の絵の具を塗りたくった。

その表情は笑っているようでありながら、頬には一筋の水滴が滴っていた。

最後に死んだのは少年だった。少年は家に篭り一つの絵を描き続けていたという。外部との接触を完全に絶った少年の死因は不審な点一つ見当たらない餓死だった。

手に絵の具を付けながら倒れるようにキャンバスに寄りかかっていた。

少年が描き続けていたのは真っ赤なリンゴ。

少年の妹が大好きなリンゴの絵だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ