209文字で切り取った世界 ―― 一番小さなストーリー ――
209文字で切り取った世界 ―― 一番小さなストーリー ―― 緑
木漏れ日と呼ぶには余りに神々しい日差しに
一息吸うのもはばかられる、濃密な草木の香りをはらんだ大気
どこからか聞こえてくるせせらぎの音は、律動する大地の血流のよう
そこにあるのは、圧倒的なまでに濃い樹木の翠緑
進んでも進んでも、それはどこまでも続く
緑の壁
地球がどれほど大きくても、人の社会がどれほど複雑でも
きっと、この森の緑の深さには敵わない
僕がどんなに息巻いても、精一杯背伸びをしても、到底この樹々のようにはなれないみたいに