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美人ギャングに育てられてたら強くなりすぎた  作者: F.R


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第8話 喧嘩

 ホームルームが終わった。


(いい感じに無難に終わった。しばらくは静かに)


 と思った矢先。


 机の周りの空気が変わった。


 影が、俺の机の上にいくつも落ちた。


 見上げると不良が五人。


 腕を組み、にやにや笑っている。


「あー? 転校生っておまえかよ」


「今日から俺らのとこ来いよ、“奴隷”」


「掃除、雑用、買い物、全部やれよな?」


 思ったとおり王道展開。


(こういうの、本当にあるんだな)


 半分呆れる。


 だが、問題はここからだ。


 俺には“二つの選択肢”があった。


□ 暴力で恐怖を与え、従わせる

□ 下手に出てボコられて、目立たず終える


 校内の序列を一瞬で決めるなら前者。

 普通に高校生活を送りたいなら後者。


(……いや、違う)


「ちょっと、やめなょ!」


突然、隣の女子が立ち上がった。


 不良の前に、すっと身体を入れる。


「転校してきてすぐなのに、いじめるのやめなよ!」


 空気が止まった。


 不良の一人が、舌打ちした。


「は?」


 その手が彼女の腕を乱暴に突いた。


 小さな身体が後ろによろめく。


 頭が真っ白になった。


 俺が育ったギャングの家には、一つのルールがある


“女性と子どもには絶対に手を出すな。


破れば死罪。”


 茜が定めたルール。


 ジージも絶対に破らなかったルール。


そのルールを、目の前で破る奴を俺は許せなかった。


 心拍が静かに跳ねる。


 呼吸がスッと整う。


 視界の中の動くものが遅く見えた。


(……一瞬で、終わらせる)


 俺は立ち上がった。


「……ちょっとトイレ行こうか」


 不良たちは一瞬だけきょとんとして


すぐに嘲笑した。


「はぁ? 逃げんのかよ」


「ビビってんじゃねぇよ」


「おもしれぇ、ついてってやるよ」


 全員が立ち上がった。


 彼女が焦った顔で俺の袖を掴む。


「い、行かないほうがいいって! 」


「大丈夫」


 笑ってみせる。


「すぐ戻るから」


 彼女の手が離れる。


 不良たちに囲まれながら、俺は教室を出た。


 廊下の空気は、教室よりも静かだった。


 薄い蛍光灯の光が床に反射し、不良どもが歩く足音だけが響く。


「おい転校生、覚悟できてんだろうな」


「逃げたって無駄だぞ?」


 後ろから、いやらしい笑い声が続く。


 彼らの声質、歩幅、間隔すべてが丸見えだった。


(ここなら、誰も見てねぇ)


 トイレの扉を押して入る。


 誰もいない。

 窓は少し開いていて、風が入り込む。


 不良たちが後ろから入ってきた。


「ははっ、ここなら逃げられねーな」


「調子乗ったらどうなるか教えてやるよ、“転校生”」


 彼らは五人。


 ボクシングを多少かじったやつ。

 ただのチンピラ系のやつ。

背が高いだけのやつ。

 集団じゃないとイキれないやつ。

そして一番後ろで腕を鳴らすリーダー格。


 どれも“危険”ではない。


 だが――


(許すことはできない)


 胸の奥で何かが静かに切れた。


「……命乞い、できる?」


「は?」


「冗談だよ。やらないほうが得だから言っただけ」


 俺は心底どうでもよさそうに答えた。


 その瞬間、全員が笑い出した。


「はぁ? コイツ何言って――」


 次の瞬間。


 俺の姿が消えたように見えただろう。


 一歩。

 二歩。

 三歩。


 間合いに一瞬だ入る


 そして。


――“コツン”


 最初の男の顎に、指先で軽く触れた。


 本人は何をされたのかも分からないまま、脳が揺れ、目が裏返り、膝から崩れる。


「……え?」


 全員の動きが止まる。


 俺は何も言わない。


 言葉は必要ない。


 二人目の顔面に、軽く手刀を添える。


――“トン”


 倒れる。


 三人目が慌てて構える。


「な、なんだてめ――」


 腰が引けている。

 そんな構えでは、風にすら勝てない。


 俺は胸元を掴み、壁に押し当てる。


「おまえは、弱いものに手を出した」


 男が青ざめる。


「ご、ごめ……!」


「謝る相手は俺じゃない」


 軽く腹に拳を入れた。


 動けなくなる程度の打ち方。


 男は胃液を吐きながら床に崩れた。


 残る二人。


 リーダー格の男が叫ぶ。


「おまえ何者だよぉ!!」


「ただの……高校生」


 俺は目を細め、一歩近づく。


 その一歩が、五人の脳に“殺気”として刻まれる。


 リーダーの男の喉がひゅっと鳴る。


「い、命乞い……しろって……言ったよな……?」


「うん。言った」


「じゃ、じゃあ……命だけは……!」


「分かったよ。殺さないって言ったろ」


 そして、俺は一瞬で距離を詰め――


 肩に軽く“短い衝撃”を与えた。


 肩の神経を一時的に止める。


 男は声も出せずに崩れ落ちた。


 最後の一人も、逃げようと振り返った瞬間、


――“コッ”


 足首の神経を軽く叩き、派手に転ばせた。


 悲鳴とともに倒れる。


 全員、床に。


我に帰り


(……やべぇ、やっちった)


 俺は全員の額にタオルを乗せ、一応意識が戻ったときの衝撃を緩和した。


 ジージがいつもやっていたように。


「もう一度言う。人に触れる前に考えろ。

 女性に二度と触れるな。」


 それだけ言い、トイレを後にした。

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