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美人ギャングに育てられてたら強くなりすぎた  作者: F.R


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第16話 盛り上がる体育祭

競技が進んでいくにつれ、校庭はさらに熱を帯びていく。


 男子騎馬戦。


 ゴリラみたいな体格の奴らが、怒号と笑い声を上げながらぶつかり合う。


「おおおお!! 行け行け!!」

「落とせ落とせ!!」


 まるで少しマイルドになったストリートファイトだ。


(正直、ちょっと懐かしい空気ではあるな……)


 血と殺気のない“健全な乱闘”。


 俺は腕を組んで、少しニヤニヤしながら眺めていた。


 続いて女子のチアダンス。


 色とりどりの制服アレンジと、短いスカート。


 ポンポンを振りながら、音楽に合わせてキレのいいダンス。


「おおお……」


 つい口元が緩む。


「……楽しそうだね?」


「うおっ」


 いつの間にか隣にこはるが来ていた。


 頬をぷくっと膨らませている。


「チア見ながらニヤニヤしない」


「……見すぎるのはダメ」


 照れたように目をそらすこはる。


 と、そのときだった。


「なぁ、あのセンター……」


「……え?」


 俺とこはるが同時に目を疑った。


 チアのセンターでキレキレのダンスを踊っているのは

 見覚えのある体つきだった。


(あれ……女バス顧問か!?)


 ジャージではなく、チア衣装。


 いつものラフさは消え、プロかと思うようなキレのいい動き。


 しかも、ちょっとエロい。


「なにやってんだ、あの顧問……」


 顧問は踊りながら、観客席に目を向ける


 俺を見つけて、ウィンクしてきた。


「……」


「……」


「……何やってんだ、あの顧問は」


「知らないよ……」


 こはるが半笑いで肩を震わせる。


 女バスの部員たちは、顔を両手で覆いながら震えていた。


「やめてぇぇぇ……!」


「顧問、マジ無理ぃぃぃ……!」


 体育祭らしいカオスな時間。


 俺はお腹が痛くなるまで笑った。


 一日がかりの体育祭も、いよいよ終盤。


 最後の種目――スウェーデンリレーの時間が近づいていた。


 各クラスの代表が集まり、スタート地点付近はざわついている。


 そのとき、三組の男子陣営から悲鳴が上がった。


「やっべぇ!!」


「大丈夫か!?」


 見ると、うちのクラスの四走、200m担当の男子が倒れ込んでいた。


 足を押さえて顔をしかめている。


「さっきの種目で軽く捻ったらしい……」


「マジかよ、大トリだぞ!」


 保健委員が慌てて教師のところに走っていく。


 教師と保健の先生が集まり、簡単に足を見ている。


「うーん……無理だな。走らせられない」


 空気が一気に重くなった。


「代わり、代わり誰かいないのか」


「でも、男子メンバーほとんどもう別の種目で走ってて……」


「俺、さっき全力で400m出たんすけど……もう無理っす……」


 有力な候補は軒並み疲弊していた。


 そして、気づけば。


 みんなの視線が、一点に集まる。


 え、


心の中で頭を抱えた。


「なぁ……神代くん、いけねぇか」


「頼む。こうなったら神代しかいねぇ」


「お前、なんか走れそうなんだよな」


 口々に懇願される。


 こはるを見ると、こはるも少しだけ困ったように笑っていた。


「……もし良かったらでいいけど。

 一緒に走ってくれたら、嬉しいな」


 まんざらでもない顔。


 逃げ場は、もうどこにもなかった。


「……分かったよ」


 俺は息をひとつ吐いて、言った。


「やるよ。でも」


 クラス中を見回す。


「――期待はするなよ」


 そう釘を刺して、笑ってみせた。


 その言葉とは裏腹に、クラスの目は輝いていた。


「よっしゃあああ!!」

「三組逆転あるぞ!!」

「頼むぞおお!!」


 こはるも嬉しそうに笑っている。


 胸の奥で、久々に何かがざわりと動いた。


(……何かと戦う前の、あの感覚か)

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