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美人ギャングに育てられてたら強くなりすぎた  作者: F.R


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第13話 少し似ている女バスのエース

 外に出て深呼吸していると、背後に気配。


「待ってー!」


 振り返ると、赤毛の少女が笑顔で駆け寄ってきた。


「帰るなら私も途中まで一緒に行く!」


「え? なんで?」


「マネになってくれたお礼!」


 彼女は無邪気だが、どこか母性もある。


 二人で住宅街の方へ歩きながら、いろいろ話した。


「私、小さい頃からバスケしかやってなくてさー」


「両親いないんだ。おじいちゃんが育ててくれた」


「推薦でここ来たんだけど、一人暮らしめっちゃ大変!」


 笑いながら話すが、その言葉の裏に薄い影がある。


(親がいない……俺と似てる)


 俺も自分の過去を少しだけ誤魔化して話した。


「俺も……まぁ、いろいろあってさ」


「あ、言いたくないならいいよ」


「いや、ただ……家族はいない」


 彼女は歩くスピードを緩めた。


「……そっか」


 そのあと、


 コンビニのご飯の話や、洗濯の失敗談や、


 一人暮らしあるあるを話した


気づけば俺たちは自宅に着いていた


「え……」


「あ、私ここだよ。そっちは?」


「……俺も」


「えっ、隣!?」


 笑い声がこぼれた。


「じゃあさ……これからよろしくね、マネ君」


 そう言って、彼女は小さく手を振る。


 夕暮れの赤い光の中で、彼女の髪が燃えるように輝いていた。


(……茜に似てる。でも違う。

 この子は、この子だ。)


 胸の奥が、じんわりと熱くなる。



 翌朝の通学路は、いつもより少しだけ明るく見えた。


(……なんでだ?)


 昨日いろんな人と話した。


 ほとんど人生で味わったことのなかった“普通の交流”をした。


 それだけなのに、


 そんな自分に違和感を覚えながら校門をくぐると


「おーい、遥希!」


 聞き覚えのある声。


 亜蓮が片手を上げて走ってきた。


「昨日はありがと。また今日もよろしく」


「ああ……まぁ、頼まれたしな」

(あれ、呼び捨て?)


「うん、助かる!」


 彼女はニコっと笑って去った。


 それだけ。


 (元気な女の子だな)


 教室に入ると、こはるが軽く会釈してきた。


「おはよう」


「お、おう……おはよう」


 それだけ。


 (なんかそっけないな)


 ただ、俺の持っているタオルや水筒を見て、


「……マネージャー、続けるんだ?」


「ああ。まぁ、頼まれたし」


「そっか。うん、遥希君なら向いてると思う」


 微笑む。


 ほんの少しだけ、何かを言いたそうで。


 でも、それ以上は言わなかった。


 今日は午後から練習試合だった。


さすが強豪校


休日ではなく学校がある日に試合をする


(俺は授業がサボれてラッキー)


だが、


 想像以上に大変な仕事でそれどころではない


「マネ君これお願いー!」


「タイマーまだー?」


「氷足りない!」


「あ、すんません!」


 体育館は戦場みたいだった。


 その中で、亜蓮はひときわ目立っていた。


 軽くステップを踏むたび、髪が揺れ、

 跳ぶたびに全員の視線をさらう。


(すごい、亜蓮)


 ただそれだけ。

 尊敬に近い感情。


 給水時間、亜蓮が俺の横に座り込む。


「マネ君、タオル!」


「はい」


「サンキュー!」


 距離はやや近い。

 でも、彼女から恋っぽい気配はゼロ。

(けしからんな!)


 話し方も、表情も、

 ただの“気さくな同級生”。


「マネ君、仕事慣れたら絶対楽しいよ!」


「そうか?」


「うん」


(あれ、呼び捨てじゃない?)


「……なんで?」


「だって相談しやすいじゃん」


(相談……?)


 俺には“何の意味か”分からなかった。



 練習後。


「マネ君もこっちねー!」


「いや、昨日は……大変だったから……」


「昨日はちょっと先輩が悪ノリしただけだから!」


 確かに今日は、全員バスタオルを巻いて座りながら雑談していた。


「マネ君、お茶飲む?」


「あ、ありがとう」


 俺が受け取ると、

 亜蓮がにこにこと覗き込んでくる。


(……昨日ほどヤバくないな)


 そんな感じだった。


 外に出ると亜蓮がぽつりと言う。


「今日も途中まで一緒に帰る?」


「ん……まぁ、同じ方向だしな」


 別に特別じゃない。

 ただの帰り道。


 でも、会話は自然と続く。


「ねぇ、マネ君はなんで転校してきたの?」


「家が……ちょっと事情あって」


「そっか。うん、言いたくないことは言わなくていいよ」


 余計に聞かない。


 優しい子だ


「 家事めんどくさすぎて死ぬ!」


「分かる」


「え、分かるの? 料理とかするの?」


「少しだけ」


「え、いいなー! 私カレーくらいしか作れん!」


 そんな“しょうもない話”が楽しかった。


 ただ“友達ってこんな感じか”と思えた。


 アパート前まで来ると、


 亜蓮は笑って手を振る。


「じゃ、また明日ね! マネ君!」


「ああ。また明日」


 その程度。


 だが、俺の中の“日常”が少しずつ形を持ち始めていた。



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