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美人ギャングに育てられてたら強くなりすぎた  作者: F.R


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第12話 マネージャーに任命

(茜……?)


 一瞬、本気でそう思った。


 色、雰囲気、瞳の奥の強さ。


 何度も見てきた茜の姿が重なる。


 だが、違う。


 目の前にいるのは、茜を小さく若くしたような、

同年代の少女だった。


 彼女はキョトンとしたまま俺を見ていた。


「転校生だ!」


「……え?」


「やっぱそうだよね!? 今日入ってきた子だよね!?」


 女子は勢いよく立ち上がり、俺の袖を掴む。


「ねぇねぇ名前は! どこ出身!? 何部なの!?」


「ちょ、待て待て落ち着け!」


 目が輝いていて、すごい勢いだ。


 茜とはまた違う、明るくて元気なタイプ。


「部活見学中ってことはまだ決まってないんだよね?

 じゃあ、うち来ればいいじゃん!」


「う、うち?」


「女子バスケット部!」


 彼女は胸を張って言う。


「……マネージャーどう?」


 唐突。


 だが、もっと唐突なのは――


女子の手が俺の腕を掴んだまま、引っ張り始めたことだ。


「ちょ、ちょっと待て!!」


「よーし決まり!! 行こ!!」


「決まってねぇ!!」


 俺の声など聞いていない。


 彼女は全力疾走で体育館へ向かう。


 腕を引かれながら俺は叫ぶ。


(強引すぎる!! なんなんだこの子は!!)


 だが不思議と嫌じゃなかった。


 ほんの少しだけ。


 懐かしい匂いがしたからだ。


 “家族”に触れられていた感覚を思い出すような、そんな温かさ。


 体育館に着くと、彼女は勢いよく扉を開いた。


「顧問ー! マネージャー捕まえた!」


(捕まえた……!?)


 体育館中の視線が一斉に俺へ向く。


 少女は俺の背中を押し、体育館の真ん中まで引っ張っていく。


(いやいやいや!?!)


 俺は完全に混乱。


 しかし顧問らしき女教師は笑って言った。


「お、転校生?

 いいね、はい採用。今日からよろしく」


(早すぎる!!)


「ちょ、ちょっと待って俺まだ――!」


「はいはい、細かいことはいいの。

 女子バスケは全国常連、仕事山ほどあるから覚悟しとけー」


 女教師はジャージの胸元を掻きながら笑っている。


 キリっとした目と、軽い雰囲気が混ざったタイプ。


 その瞬間、体育館の空気が変わった。


「え、新マネ!?」


「やったー!」


「男子!? マジか!」


 歓声。

 拍手。

 視線の嵐。


 俺は完全に飲み込まれた。


 その後、俺は強引に説明を受けながらマネージャーの仕事を教えられた。


 水分補給の準備。

 ボールの管理。

 タイマー。

 スコア表。


 どれも量が多い。


(確かに……これ、辞めるマネ多いわ)


 でも――


(みんな……びっくりするほど綺麗だな)


 体育館の中、全員髪を結んで、汗で肌が輝いて、動きがしなやかで……


 思わず頬が緩む。


「おい、鼻の下伸ばすなよ」


 横から顧問に肘でつつかれた。


「の、伸びてません!」


「伸びてんだよ〜。男の子だねぇ」


 女教師はクスクス笑う。


 体育館中の熱気、ボールの弾む音、選手同士の声。


(部活……意外と悪くないかもしれん)


練習を見ていると、さっきの赤毛の少女がコートに立った。


 それだけで空気が変わる。


 スピードが圧倒的に違う。

 ジャンプ力も異常。

 ボールハンドリングもキレッキレ。


 素人の俺でも分かる。


(……すごい)


 周りの先輩が息を切らしてるのに、

 彼女だけは笑っている。


「遥希くーん! 見てるー!?」


 手を振ってくる余裕まである。


(胸がっ、、なんだありゃ!!)


 頭を抱える。


 こっそり見る俺を、顧問がニヤニヤ横目で見てくる。


「気持ちは分かるよ〜」


「だから見てませんって!!」


「見てたでしょ」


「…………少し」


「素直でよろしい」


 完全に遊ばれていた。


 練習後、赤毛の少女が俺の腕を掴む。


「マネは部室も一緒だよ!」


「え、いや俺……男だぞ?」


「平気平気! みんな気にしないよ!」


(いや気にしろ!!)


 だが止める暇もなく部室へ。


 10畳ほどの空間。


 そして――


全員、俺の存在を無視して着替え始めた。


「ちょ、ちょ、ちょっとまて!!!!」


 俺は全力で視線を逸らす。


(無理無理無理無理無理!!)


「きゃー! 顔真っ赤!」


「うぶ〜〜!!」


「こういう反応してくれる男子久しぶり〜!」


「かわい〜」


 完全に遊ばれてる。


「お、お先に失礼します!!」


 俺は部室を飛び出した。


(心臓止まるかと思った……!)




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