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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
最終決戦!ケイシソウカンマン!

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第97話 新たな装備

 チュンチュンと小鳥の鳴き声が聞こえてくる。もう朝か……。結局鳥羽部長のことを考えていたら、あまり眠れなかった。

 だが、気持ちに結論は出た。俺はもう決めた。この戦いが終わったら、鳥羽部長に……。


「起きろ橋田! もう外が明るいぞ! 気持ちのいいNASAだ!」


「朝です! なんですかその爽やかな宇宙局は!」


「私が朝食を作ってやろうじゃないか! 橋田は何が食べたい? 天ぷらのアヒージョか?」


「そんな油まみれの朝食は要りません! なんで朝からそんなに元気なんですか!」


「私の1番の取り柄は元気だからな! 橋田も元気が出るよう、私がお祓いをしてやろう!」


「なんで悪霊が憑いてる前提なんですか! ちょっと黙れます!?」


 ついさっき出した結論が揺らぎそうなやり取りで起こされた俺は、体を起こして周りを見る。

 紅希と黄花はまだ眠っているようだ。2人とも幸せそうに目を閉じている。よくこんなにうるさい人がいて眠れるものだ。


 ハシレイは姿が見当たらない。また何か装備を作っているのだろうか。


「さあ橋田、出来たぞ! ライスペーパーで作ったウエディングドレスだ!」


「何作ってるんですか! いつの間にそんなものを……」


「いやあ、私もそろそろ結婚相手を見つけないといけないからな!」


 鳥羽部長の結婚相手、か……。大変だろうな。まあそれになりたいと思っているのは、他ならぬ俺なのだが。

 自分でもおかしいとは思う。だが、やはり鳥羽部長との会話は楽しいのだ。

 俺はクールでいることを目指して生きてきた。だが同時に、ツッコミ役としても生きてきた。俺の中でツッコミは、コミュニケーションの手段。それが絶えない鳥羽部長との会話は、最高のコミュニケーションになっているのかもしれない。


 そんなことを考えていると、紅希と黄花が目を覚ましたようだ。


「かーっ! よく寝たぜ! いい夢だったなあ!」


「あら紅希。どんな夢を見たのかしら。バラ科サクラ属の落葉高木?」


「それは梅だ! 夢の話をしろ!」


「俺は梅干しをいっぱい食う夢を見たぜ!」


「梅で合ってたのか! それいい夢か!?」


「奇遇ね。私も梅干しを作る夢を見ていたわ」


「夢の中で需要と供給を合致させるな! どこでリンクしてるんだお前らは!」


 いつも通りどうでもいい会話だな。こいつらがここまでアホになれる理由を知りたいものだ。


「あれー? 司令はどこ行ったんだー?」


「ああ、俺も知らないが、また何か作っているんじゃないか?」


「何を作ってるのかしらね。紙コップのロボットと見たわ」


「夏休みの宿題か! なんでそんなもの作ってるんだ!」


「そーだよ黄花! それはちげーよ! 司令は多分もっとすげーもん作るぜ! 人類とか」


「創造主じゃないか! いつから神になったんだあいつは!?」


 全く、この2人はうるさいな。アホがアホを呼び、ボケがボケを呼ぶ。この2人と話すのは疲れるものだ。

 まあこの2人との会話も、心底楽しんでいるのだが。結局俺は、ツッコミが好きなのかもしれない。


 そんな時、噂をすればハシレイが入って来た。


「おうおうおはようさん! 自分らに朗報があるで!」


「朗報ってなんだー? 逃げることかー?」


「それは逃亡だ! おいこのくだりも何回目だ? いいからその朗報とやらを言え!」


「実はな、こんなもんが完成したんや!」


 そう言ってハシレイはモニターをつける。するとそこには赤、青、黄色にペイントされた3台の大型バイクが映し出されていた。


「これは……見事な俳句ね」


「バイクだ! 濁点が足りないぞ!?」


「私がこの状況を五七五で表現してやろう! 『アヒージョに 天ぷら入れて ベッチャベチャ』」


「バイク関係無いじゃないですか! 本当に天ぷらのアヒージョ作ったんですか!?」


「ああ! 橋田も食べるか? ベッチャベチャで美味いぞ?」


「美味そうに聞こえないです!」


 いやそんなことはどうでもいい。また鳥羽部長に話を持っていかれてしまった。

 ハシレイが映し出したこのバイク。これは一体何なのかを聞かなければな。


「これはな、紅希、碧、黄花専用のマシンや! でも移動用やないで」


 移動用じゃないバイクなんてあるのか……? いやでも、俺たちはハシレチェンジャーの機能で怪人がいるところまでは虹色の空間を通って一気に辿り着ける。確かに移動にバイクを使う必要は無いな。

 だがそうならこれは何用だ?


「これはな、ハシレンジャーロボの武器になるんや! 一見バイクやけど、ハシレンジャーロボに反応してそれぞれの特性を持った武器になる。赤いバイクは鉄パイプ、青いバイクは銃、黄色いバイクはダガーやな。つまり自分らの武器と同じもんを、ハシレンジャーロボに持たせられるっちゅうことや!」


「ごめんなさい司令、聞いてなかったからもう1回言ってもらえるかしら。たこ焼きが何ですって?」


「一言も言ってないだろうそんなこと! なんでこんな大事な説明を聞いていないんだお前は!」


「私はたこ焼きにタコを入れるのが好きだぞ!」


「みんなそうです! タコが入ってないたこ焼きがあるみたいな言い方やめてください!」


「でも実際タコ入ってねーやつあるよなー。でも俺は海鮮ダメだから生地だけの方がありがてーけどよー」


「お前はもう二度とたこ焼きを食うな!」


 またたこ焼きの話に流されてしまったが、要するにハシレンジャーロボの新しい装備ができたんだな。それはとてもいいことだ。

 以前ケイシソウカンマンは巨大ロボを送り込んできた。次に直接対決する時も、またロボを送り込んでくる可能性はある。そんな時にハシレンジャーロボがパワーアップしていれば、こちらが有利になるというものだ。


 これで準備は整ったな。後はケイシソウカンマンと戦うだけだが……。


「おはようございまーす! 郵便でーす!」


「あら地井健人じゃない。お疲れ様」


「もう知り合いになってるじゃないか! 1発ネタじゃなかったのか!?」


「地井さんありがとうな。誰からやろか……ってこれは!」


 ハシレイの目が鋭くなり、俺たちの間に緊張が走った。

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