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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
最終決戦!ケイシソウカンマン!

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第95話 碧の気持ち

 いつケイシソウカンマンが襲来するか分からないため、俺たちは基地に泊まることになった。集まっておいた方が戦力はあるからな。


「じゃーおめーら! 今から夜食のリブロースステーキを焼くから待ってろよ!」


「今からそんなものを焼くな! 胃もたれするだろう!」


「あらいいわね。ビールもあるかしら?」


「お前は紅茶を飲め! なんで最近紅茶キャラを卒業しようとしている!?」


「なら私はカシンジを飲むぞ!」


「言うならカシオレでしょう!? 初めて聞きましたよその略し方!」


 なんでこいつらは夜中なのに元気なんだ……。同年代の紅希と黄花はまだしも、28歳の鳥羽部長がここまで元気なのは意味不明だ。25を超えたら老化が始まって体力が落ちると聞いたことがあるが、この人にはそんな常識は通用しないのだろうか。しないんだろうな。


 俺たちが騒いでいる中、ハシレイが湯呑みを4つ乗せた盆を持って現れる。


「おうおうお疲れさん! なんとかリーゼントが人数分できたな! 頑張ってくれてありがとう! これは労いのテキーラや!」


「テキーラを湯呑みで持って来るな! 労いどころか潰そうとしてないか!?」


「テキーラって何だー? トルティーヤで包んで食べるメキシコ風のアメリカ料理かー?」


「それはファヒータだ! 誰に伝わるんだそんなの!」


「ほなこれをみんなで回し飲みしていこか! ほれ、こうやって左手の上に乗せて2回回すんや」


「なんで飲み方はちゃんと抹茶なんだ! 中身はテキーラなんだろう!?」


 ハシレイが持って来たテキーラには誰も手を付けず、中身がそのままの盆が虚しくデスクに置かれている。

 それはそうだろうな。誰が湯呑みでテキーラを飲むんだ。鳥羽部長が意気揚々とおつまみのさきいかを取り出しているが、見なかったことにしよう。


「でもこのリーゼントがあれば安心ね。ケイシソウカンマンにも勝てると思うわ。ブザービートは私のものよ」


「バスケで戦おうとするな! あいつのキャラなら乗ってきそうではあるが!」


「黄花くん、それは聞き捨てならないぞ! 私がブロックするから君のブザービートは成し得ないぞ!」


「なんで敵チームなんですか! せめて味方であってくださいよ!」


「じゃー俺は豚バラブロックを食うぜ!」


「適当に喋るな!」


 相変わらずこの連中は緊張感というものを知らないようだ。全く、どうやったらまともな戦隊として緊張感を持った戦いができるのだろうか……。


「そんなことよりみんな疲れたやろ。そろそろ寝よか。万が一のことが無いように、全員この部屋で雑魚寝やけど、女子たちはええか?」


「私は構わないわよ。桃子さんはどう?」


「私も大丈夫だ! 敵の襲来には備えておかないといけないしな! それに橋田に私を襲う度胸は無いだろ?」


「な!? なんで俺が部長を……」


「ん? ちょっとした冗談のつもりだったんだがそんなに狼狽えるか? なんだ橋田、もしかして私のことを意識してたりするのか? スイカ割り世界選手権のライバルとして」


「してないです! なんですかそのしょうもない世界選手権は!」


「今年の分のエントリーはもう済ませてあるが、それを橋田に言ったことは無かったはずだ。なんで知ってるんだ?」


「だから知らないです! 毎年エントリーしてるんですか!?」


「去年は銅メダルだったから今年は金メダルを狙うぞ! 参加者は3人だったが」


「最下位じゃないですか! 意味の無い銅メダルですね!?」


「橋田もTOP10入りを目指して頑張るんだぞ!」


「出る前提で話を進めないでください! そもそも参加者3人なんですよね!?」


「今年は参加者が増えて去年の3倍いるらしいぞ!」


「だとしてもTOP10は確実じゃないですか! ずっと何言ってるんですか!?」


 部長がボケてくれて心底助かった。俺が部長を襲うなんて、考えたことも無かったが……。想像すると落ち着かないな。こんなことを考えるのはやめておこう。


「ほんなら電気消すで。消防庁!」


「消灯だろう! 余計なボケを挟むな!」


 電気を消して目を瞑るが、そわそわして落ち着かない。俺はもしかして本当に部長のことが……。


 隣で眠る鳥羽部長は、既に小さな寝息を立てている。真っ暗で顔も見えないが、その呼吸音だけで鼓動が速くなる。

 いつから俺は部長のことをこんなに意識しているのだろう。栞に変なことを言われてからか? いや、もっと前から部長のことは意識していた気がする。初めて部長と会話をした時から、俺はどこか居心地の良さを感じていた。

 あんなにハイペースで重いボケを放つ鳥羽部長との会話に居心地の良さを覚えるなんて、おかしいはずなんだが……。俺は根っからのツッコミ気質なのかもしれないな。


「はしだぁ〜。あしたからほうむぶだぁ〜」


 なんでこの人は寝言で俺を異動させているんだ。すぐ異動させるのはやめて欲しいものだ。俺は今の経理部が気に入っている。地味な仕事だが、やり甲斐がある。そして何より、経理部には鳥羽部長が……。


 ダメだ。考えすぎて眠れなくなってしまったぞ。そもそも俺は部長とどうなりたいんだ? そろそろ本気でこの気持ちと向き合わなければいけない頃なんじゃないか?


 どうせ眠れないなら、鳥羽部長への気持ちの変化を考えてみよう。きっかけは何だっただろうか。あれは確か、経理部に配属されて初めて鳥羽部長と出会った日のことだったはずだ——。

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