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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
最終決戦!ケイシソウカンマン!

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第89話 特訓!思考暴走!

「ほな自分ら、目を瞑ってや!」


 ハシレイに言われた通り目を閉じる。すると頭の中に何かが浮かび上がってきた。

 なんだこれは……? 丼の中にご飯が入り、その上にカツが乗って卵でとじる——。


「おいカツ丼の作り方じゃないか! なんでこんなイメージを流した!?」


「いやもうお昼やろ? お腹空いたなあ思て」


「そんな感じでいいのか!? もっとなんか武器とかじゃなくてか!?」


「ええねんで。だってこのカツ丼を具現化できひんかったら自分らの昼飯は無いねんから」


「……はあ!?」


 なんだそれは!? ということは、俺たちは思考暴走を使って食べものを具現化し、それを食べない限り食事抜きということか!?

 おいそれは厳しすぎるだろう。力をつけるために食事は用意しておいて欲しかったぞ。


「おい司令ー! まじで言ってんのかよそれ!」


「そうよ。そんなことが許されていいのかしら」


「本当にそうだ! 思考暴走で食べものを出せば食べられるなんてそんな!」


 やはり仲間たちは憤っているようだ。それはそうだろう。あれだけバターチキンカレーを楽しみにしていたのだから、食事抜きなんて言葉に過敏に反応するのは仕方がない。


「ほら見てみろ。非難轟々じゃないか。分かったらとりあえず昼飯を用意しr」


「じゃー食べ放題じゃねーか! いくらでも肉出してやるぜ!」


「私は紅茶とお茶菓子ね。アフタヌーンティーにして優雅に楽しむことにするわ」


「私は好きなだけカリフォルニアロールを出すぞ!」


「ええ……? ええ……?」


「なんや碧、怒っとるんは自分だけみたいやで。みんなやる気満々やんか」


「ええ……」


 そうか、こいつらみんなバカだったんだ。今更の事実に気づいたが、確かに思考暴走ができればいくらでも好きなものを食べられることには違いない。できればの話だが。


「うおおおおお! 肉肉肉! 肉引く地区は菊!」


「何を言ってるんだお前は! 適当に韻を踏むな!」


「紅茶……お茶菓子……紅茶……お茶菓子……消火……消火器……」


「なんで最後の方ずっと火事の始末をしている!?」


「フロリダ! フロリダ! フロリダああああ!」


「カリフォルニアロールって聞いてましたよ!? いやそもそもなんでカリフォルニアロールなんですか!」


 すると紅希の前には焼肉、黄花の前にはアフタヌーンティー、鳥羽部長の前には麻婆豆腐が現れた。


「部長だけだいぶ間違えてるじゃないですか! 失敗してますよ!」


「いやこれでいいぞ? 私がイメージしていたのは麻婆豆腐だ」


「よくフロリダとかカリフォルニアロールとか言いながら麻婆豆腐イメージできましたね!?」


「おお! 肉だぜ! こいつをたくさん出せば腹いっぱいになるな!」


「イメージ通りのアフタヌーンティーだわ。これで優雅に過ごせるわね」


「なんでお前らはカツ丼の作り方を脳に送られながらそんなものをイメージできる!? 誰かカツ丼を出さないのか!?」


「ほれ碧、ワシはちゃんと海鮮丼を出したで」


「カツ丼を出せ!」


 仲間たちが次々と食べものを出現させていく中、俺だけが何も出せていない。何故だ? イメージする力が足りないのか?


「碧はごちゃごちゃ考えすぎなんだと思うぜ! 何かを出そう出そうって思うから出ねーんだよ! もっと純粋に、その食べもののことを考えねーとな!」


「純粋にその食べもののことを考える……」


「そうよ碧。ずっと思っていたけれど、あなただけ何が好きなのかはっきりしないじゃない。だから食べものへの愛が足りないのよ」


「そうだぞ橋田! もっと君の好きをさらけ出せ! ほら、私と言った焼きザリガニの店とかあるだろ?」


「行ったこと無いですそんなところ! でも俺の好きをさらけ出す……ですか」


 そう言えば俺は子どもの頃から好き嫌いが無く、食に執着しなかった。給食でもおかわりじゃんけんなんかには参加しなかったし、とにかくクールでいることを心がけていた。

 強いていえば見た目にオシャレでかっこいい食べものを食べたいと思っていた気がするが……。とりあえず食べたいものをイメージしてみるか。


 俺は心を無にし、空腹にだけ意識を集中する。今俺が1番食べたいものは何だ? それだけをイメージするんだ。頭に流れ込んでくるカツ丼のイメージは無視だ。俺が今食べたいものは……。


 すると俺の目の前に大きなアサイーボウルが現れる。

 ……え? 俺が食べたいものってこれか?


「アサイーボウル……。インフルエンサーみたいね碧」


 黄花の言う通りだ。なんで俺は空腹な時にこんなオシャレフードをイメージしてるんだ? 確かに見た目にオシャレなものを食べたい気持ちは少しあったが……。こんな空腹の時に食べるものなのかこれは?


「んだよこれー! 男ならもっとガッツリ食べられるものにしとけよ! ゾウとか」


「ガッツリしすぎだろう!? なんでゾウ1頭まるまる食べなければいけないんだ!」


「私はいいと思うぞ橋田! さあ、早く写真を撮ってNASにアップだ!」


「ナスじゃないですか! せめてSNSに挙げさせてもらえます!?」


「見ろ、このエッグプラントというアプリが今流行ってるんだ。ここに挙げるのはどうだ?」


「だからナスじゃないですか! なんでそんな意味不明のアプリが流行ってるんですか!」


 俺が今食べたいものはアサイーボウルなのか……? 何か違う気がするが、とりあえず出てきたものは仕方ない。食べるとするか。


「よっしゃ、みんな食べものが出てきたな。ほんなら昼ご飯にしよか!」


「しゃー! 食うぜ食うぜー! 司令、そのサーモンくれよ!」


「自分の肉を食え! そもそもお前魚肉は専門外とか言ってなかったか?」


「最近ちょっとずつ克服してんだよ! サーモンとオニオコゼなら食えるぜ!」


「なんでわざわざ毒のある魚にいくんだ! ちゃんと毒の部分は取り除いてるんだろうな!?」


「何言ってんだよ! 丸呑みだぜ!」


「じゃあダメじゃないか! なんでケロッとしてるんだお前は!」


 昼食を摂った俺たちは、再び思考暴走の特訓に戻った。こんな調子で本当に習得できるんだろうな……?

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