表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

第8話 再戦!コウソクマン!

 虹色の空間を抜け、着いた場所は高校の校庭。今度は校舎の屋上に立って高笑いをしているコウソクマンは、戦闘員を使って生徒たちを捕まえ、バリカンを構えていた。


 いつも通り紅希が飛び出して大声を上げる。


「やいこら怪人! てめーまた何かやってやがんな! まさかそのバリカンをこってりスープで煮込んで提供するつもりじゃーだろーな!」


「どういう料理だ! お前は機械を食おうとするのをやめろ!」


「出たなハシレンジャー! 今度こそはパワーアップした俺様の力で、邪魔なお前たちを消してみせよう!」


「自信過剰にもほどがあるわね。シェイプアップしたのはあなただけじゃないのよ」


「パワーアップだろ! ダイエットしてどうする!」


「さあお前ら行くぜ! エンジン全開だー!」


 俺たちはハシレンジャーのハンドルに手をかけ、アクセルを回す。


「ハシレチェンジ!!」


 俺たちはハシレンジャーへと姿を変え、いつも通り名乗り始める。


「赤い暴走! ハシレッド!」


「青い突風! ハシレブルー!」


「黄色い光! ハシレイエロー!」


「エンジン全開、突っ走れ! 暴走戦隊!」


「ハシレンジャー!!」


 背後で爆発が起き、ポーズを決めた俺たちのシルエットが映し出される。


「かかってこいハシレンジャー! だが俺様は前回ほど甘くないぞ! まず学習に不要なものの持ち込みは禁止だ!」


 コウソクマンが俺たちを指差すと、スーツから勝手に武器が飛び出し、コウソクマンの方へ飛んで行ってしまった。


「ああ! 俺の鉄パイプが! 揚げて食おうと思ってたのに!」


「何でも食うな! 鉄パイプの調理法は揚げるで合ってるのか!?」


「私のダガーも持っていかれたわね……。どうやって戦えばいいのかしら。論破?」


「レスバしてどうする! ちゃんと戦闘で勝つぞ!」


「よーし! まずはあの生徒たちを助け出すぜ!」


 俺たちは一気に屋上まで跳び上がる。なるほど、確かに身体能力は底上げされているようだ。


 そのまま戦闘員たちに飛びかかる。徒手空拳で戦うことになったが、体が勝手に動いて戦闘員たちをどんどん倒していく。

 レッドは力任せに戦闘員を殴り飛ばしていて、飛んで行った戦闘員が後ろにいる戦闘員もろともドミノ倒しにしていた。


 イエローは素早い動きで確実に手刀を食らわせていく。一体一体首を狙って確実に仕留め、瞬く間に戦闘員が倒れていった。


 俺は回し蹴りが中心。跳び上がって回転しながら戦闘員に蹴りを食らわせ、俺たちはあっという間に戦闘員たちを殲滅した。


「さあ怪人、後はお前だけだ」


「ぬううう! だがお前たちは俺様には勝てない! 格の違いというものを見せてやろう! お前たちなど俺様の一撃で簡単n」


「暴走戦隊! ハシレンジャー!」


「ぬわあああああ!! 名乗りを封じるのを忘れていたあああああ!!」


 爆発に巻き込まれたコウソクマンは、空の遥か彼方へ飛んで行った。


「こんなのはクールじゃない……。結局名乗り爆発戦法じゃないか!」


「拘りが強いにもほどがあるわね。どんな手を使っても勝てばいいのよ、勝てば」


「悪役みたいなセリフを吐くな! そもそも、経験値を稼ぐにはこの戦法じゃダメだろう!?」


「細かいことは気にすんなって! 怪人倒しときゃ誰かがヘビ肉食わせてくれんだろ!」


「嫌がらせじゃないか! 全くクールじゃない!」


 騒ぐ俺たちの元へ、先ほど助け出した生徒たちが歩み寄って来た。礼でも言いに来たのだろうか。


「あの……。僕たちこんなんなっちゃったんですけど……」


「……は!?」


 よく見ると生徒たちは全員がアフロヘアーになり、プスプスと黒い煙を上げていた。


 ……なるほど、名乗り爆発にコウソクマン以外も巻き込んでしまったわけか。いやダメじゃないか! 生徒たちを巻き込んだら、怪人を倒した意味も無くなるだろう!?


「なんだお前ら真っ黒だぜ! どーしたんだよ? フランベでもされたのか?」


「とりあえず調理するのをやめろ! こいつらも好きで焼かれたわけじゃないからな!?」


「あら、この子たちの髪型似合ってるわよ。黒い肌とも相まっていい感じだわ」


「似合ってる似合ってないの話じゃない! こんな真っ黒にしてしまったのは何故だか分かってるのか!?」


「ええ。メラニン色素の急激な増加でしょ?」


「そんなわけあるか! 俺たちの名乗り爆発に巻き込まれたんだ!」


 俺がそう言うと、レッドとイエローはお互いに顔を見合わせる。


「そんなもん巻き込まれた方がわりーだろ! 命を助けてやったんだから感謝の干し肉祭りでもやって欲しいもんだぜ!」


「備蓄品でパーティーするな! まず謝るのが先だ!」


「どうしてかしら? 私たちがいなかったら、この子たちはコウソクマンに襲われていたのよ。宇治産の紅茶でも出して欲しいものだわ」


「だからお茶の種類が違う! ああもう仕方ない、俺が代表して謝る! 皆さん本当にすみませんでした! ほら帰るぞお前ら!」


 俺は肉と紅茶を連呼する仲間たちを強引に引っ張り、基地へと向かって走り出した。


 全く、こいつらは適当が過ぎる。なんとか教育し直さないと……。いや待て、なんで俺がこいつらの教育係なんだ? そんなのはクールじゃない。本来はそういうのはハシレイの役目だろう。

 そもそも、爆発に一般人を巻き込んで謝りもしないのは人としてどうかと思うが……。会社の広告塔という役目を負ってしまった以上、俺はクールなブルーという立ち位置を確固たるものにしないといけないのに……。世間ではどう思われているのだろうか。俺としては気になるところだ。


 はあ……。こんなことでハシレンジャーの悪評が広まったら、うちの会社にも影響が出てしまう。

 そう言えば、鳥羽部長は俺を使ってどんな広告を作るつもりなのだろうか。明日出社したら聞いてみないとな……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ