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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
幹部襲来!

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第77話 壊れた基地の中で

 朝日が少しずつ昇ってくる中、黄花を先頭に基地へ入る。しかし改めて見ると酷い有様だな。

 かろうじて梁が残っている天井には大穴が空き、部屋のものは全て焦げてしまっている。さっき紅希が寝転んでいたソファは一応ソファの形を保っているが、それ以外はもう使えないな。ハシレイが何かの説明をする時に使っていたモニターも、完全に画面が砕け散っていた。


「ケイシカンマンはこっちよ。北極星の方向」


「ざっくりしてるな! 建物の中でそれが通用するのか!?」


「でもよー、天井もうねーぞ?」


「……確かに空は見えるな。悲しい事実だが……」


「悲しいも何も自分らがやったんやんか! ワシが2時間もかけて作った基地を!」


「この基地突貫工事だったのか!? そんなすぐコンクリート打ちっぱなしの建物ができてたまるか!」


「ワシはコンクリートならいくらでも口から出せるからな」


「気持ち悪い生態だな! この壁はお前の口から出たコンクリートなのか!?」


「なるほど! 要するに司令の吐瀉物でできているわけだな! びっくりだ!」


「改めてはっきり言わないでください! 聞きたくなかったそんなこと……」


「試しに今出してみよか? いくらでも出せるで?」


「絶対にやめろ!」


 そんなことを言いながら、どんどん進む黄花の背中を追う。どこまで行くんだ? もうかなり奥まで来ているが……。


「着いたわ。ここよ」


 ようやく立ち止まった黄花が指差した部屋は、いつか俺が訪れたハシレイの部屋だった。

 何故か「はしれい♡」と書かれたドアは綺麗に残っていて、まるでこの部屋だけ名乗り爆発の影響を受けていないようだった。


「さあ入るわよ。乙女心の準備はいい?」


「心だけじゃダメだったのか!? なんで乙女心を準備しないといけないんだ!」


「よっしゃー! イケメンと二人羽織する準備はできてるぜ!」


「特殊な乙女心! なんだその愉快なイケメンは!」


 黄花がドアを開けると、そこにはイスに縛り付けられたケイシカンマンの姿があった。

 だが様子がおかしい。ケイシカンマンの顔はあんなに丸く大きかったか……?


「見ての通りよ。ケイシカンマンに司令の予備のヘルメットを被せたら、抜けなくなっちゃったわ」


「何をしてるんだお前は! 何故被せた!?」


「猿轡になりそうなものが無かったから司令の折り鶴を大量に口に押し込んで、ヘルメットでも被せて黙らせようと思ったのよ。実際被せたらこのザマよ。ケイシカンマンったら間抜けにもほどがあるわね」


「間抜けなのはお前だ!」


 なんだそのしょうもない理由は……。ヘルメットが抜けなくなった? せっかくケイシカンマンを拘束しておいて、ホーテーソク団について喋らせようと思っていたのに……。これじゃあその計画もおじゃんだ。


「まあまあいいじゃないか! 私は耳がいいからな! ケイシカンマンがいくら喋りにくかろうと聞き取ってやろう! さあ橋田、ケイシカンマンに何か聞いてみてくれ! 相手の希望年収とか」


「結婚相談所みたいなこと聞かせないでください! 誰がアドバイザーなんですか!」


「ほなワシがとりあえずなんか聞いてみよか。ケイシカンマン、自分の好きな四字熟語はなんや?」


「聞いてどうするんだそんなこと!」


 部長はケイシカンマンのヘルメットに耳を寄せ、頷きながら微かに漏れる声を聞いている。


「はっきり聞こえたぞ! はふぁひゃふぉふぁはふぇだそうだ!」


「はっきりって言葉知ってます!?」


「冗談に決まっているだろう橋田! ちゃんと聞き取ったさ! ケイシカンマンの好きな四字熟語は、長髪付毛だ!」


「……エクステじゃないですか! なんでそんなもの好きなんですかこいつ!」


「それは私に聞かれても困る。ちなみに私の好きな四字熟語は一番捕手だ」


「珍しい打順! いや部長のは聞いてないんです! どうするんですかこんなことになって……」


 ヘルメットの隙間から微かにモゴモゴと声を出すケイシカンマンの姿を見て、俺は頭を抱えてしまった。

 ケイシカンマンならホーテーソク団についてかなりの機密情報まで知っていると思ったのに……。


「仕方ねーなー! 俺がなんとかしてやるよ! ハシレチェンジ!」


 紅希はハシレッドにチェンジして、武器の鉄パイプを取り出す。

 そしてそのままヘルメットのバイザーに向かって鉄パイプを振り下ろし、バイザーを叩き割った。レッドはチェンジを解除し、紅希の姿に戻る。


「モゴモゴ。モゴ。モゴモゴモゴモゴ。モゴ」


「強引だが解決に近づいたな。早く折り鶴を口から出すぞ」


「汚いにもほどがあるわね。私はこんなのの口に手を入れたくないわ」


「なら俺がやってやるよー! おりゃ!」


 紅希は躊躇無くケイシカンマンの口に手を突っ込み、詰められていた折り鶴を根こそぎ引っ張り出した。


「ゲホッゲホッ! お前たち、なんてことをしてくれるんだ。俺をこんな目に遭わせて、本部が何をするか分からないぞ。あと俺の好きな四字熟語は二番投手だ」


「バッテリーで1、2番を組むな! 何故そのどうでもいい情報を今出した!?」


「まあいい。俺に聞きたいことがあるんだろう? この状態じゃ抵抗もできない。答えられる範囲で答えてやろう。体重は秘密だ」


「アイドルか! お前の体重に興味は無いから安心しろ!」


 こいつの体重はどうでもいいが、ホーテーソク団について聞きたいことがある。ケイシセイマンから少し聞けたが、まだ聞いていないことがあるんだ。


「ケイシカンマン、ホーテーソク団の幹部はあと何人だ?」


「俺たちの内部事情が知りたいのか。幹部なら俺が最高位。俺の下がケイシチョウマンで、その下がケイシセイマンだ。あと五十音表で『あ』の下は『ほ』だ」


「そんなわけあるか! 2つの意味でアホじゃないかお前!」


 こいつが最高位なのか……。ということは、ケイシカンマンを倒したら次はホーテーソク団のボスが出て来るのか……?


「どうせボスが出て来るとビビっているのだろう? ボスは俺たちの比にならないほど強いからな」


 そう言うとケイシカンマンは口の片端を上げて歪んだ笑みを浮かべる。


「お前たちには勝てない。俺たちのボス、ケイシソウカンマン様にはな」

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