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【完結】戦隊ブルーはクールでいたい〜頼むから俺を振り回すな〜  作者: 仮面大将G
幹部襲来!

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第55話 夜道の足音

 ……おかしい。確実に誰かが俺の後をつけてきている。基地の場所を知っている人間は限られているはず。だが俺の後ろにいる人物は、基地からずっとついてきている。つまり、基地から俺を待ち伏せしていたということだ。


 アイドルや芸能人じゃないんだから、出待ちなんてやめて欲しいものだ。しかもストーカーまでとは……。タチが悪い。


 それに、足音が気味悪いのだ。ガツ、ガツ、と重い爪が地面に食い込むような音がする。何か怪異の類に目をつけられたんじゃないだろうな……。そういったものは信じていないが、実際真っ暗な夜道で奇妙な足音を聞くとそう考えたくもなる。


 歩調を少し早め、家がある方向とは違う方へ曲がってみる。ガツ、ガツ、ガツ、と後ろの足音も早くなり、明らかに俺の後をつけているようだ。

 誰なんだ一体? 俺に恨みがある人物と言えば……ホーテーソク団に限れば数え切れないな。ケイブマンの部下とかその辺りだろうか。


 更に歩調を早めるも、ガツ、ガツ、という足音は俺に歩調を合わせてついて来る。それを聞いた俺は走り出し、角を曲がったところでハシレチェンジャーのアクセルに手をかけた。


「ハシレチェンジ!」


 俺の周りを青いタイヤが回り出し、俺はハシレブルーへと姿を変える。

 さあ、何が来る? 怪人だろうが怪異だろうが相手をしてやろう。怪異だった場合、ハシレンジャーのスーツで戦えるのかは未知数だがな。


 銃を取り出して構える俺の耳に、ガツ、ガツと早いリズムで迫って来る足音が聞こえる。合わせて俺の心臓も早鐘を打つ。こんなに緊張感がある場面は珍しいが、そんなことを言っている場合ではない。さあ、来るなら来い。襲いかかって来た瞬間撃ち抜いてやる。


 ガツ、ガツ、足音が角に到達し、足音の主が姿を見せる。街頭に照らされて見えたその姿は、真っピンクのTシャツに同じく真っピンクのスラックスを履き、逆立ちで手にハイヒールを履いている女の姿だった。


「……部長。何してるんです?」


「おお橋田! ようやく気づいてくれたか! 待ちくたびれてハンガーになるところだったぞ!」


「人間は待っててもハンガーになりません! なんですかその独特の進化は!?」


「しかしなんでチェンジしてるんだ? なまはげでも出たのか?」


「ここは秋田ですか! なまはげが出ても倒そうとしないです!」


「じゃあなんでチェンジしてるんだ? 首を傾げすぎて180度回りそうだぞ」


「中国雑技団じゃないんですから逆立ちで首を回さないでください! ああもう180度超えてるじゃないですか!」


 もはや人間の域を超えたポーズを取る鳥羽部長の首を元に戻してからひっくり返し、俺はチェンジを解除する。


「なんであんなややこしいことしたんですか! 間違って倒しちゃうところでしたよ!?」


「いやあすまないな。帰り道で橋田を見つけたものだからつい」


「帰り道って……まさか本当に滋賀県まで行ってきたんですか!? 逆立ちで!?」


「まさか! 岐阜県までしか行けなかったよ」


「十分でしょう!? 徒歩でもとんでもない時間がかかるのに、逆立ちでどうやってこの時間で!?」


「そりゃあチェンジして行ったに決まってるじゃないか。流石に生身では愛知県までしか行けない」


「変わらないです! 方向が違うだけで距離はほとんど同じでしょう!?」


 めちゃくちゃだなこの人は……。逆立ちで愛知県まで行けるとは、どんな身体能力をしているんだ?

 そう言えば初めて部長がピンクにチェンジする前、デスゲームマンを生身で蹴り飛ばしていたな。元々身体能力がバケモノなのか?


「橋田は何をしてたんだ? 1人人生ゲームか?」


「そんな悲しすぎるゲームはしてません! 俺は基地で真面目なことを考えていたんです!」


「真面目なこと……? 昨今の少子高齢化についてか?」


「真面目すぎます! それを俺が考えたところでどうにもならないですよ!」


「そうか、橋田は子どもを作る気が無いのか……」


 部長は意味深な顔で顎に手を当てた。俺はまだ24歳。結婚なんて考えてもいないし、増してや子どもなんて想像もついていない。

 だがそれが部長に何の関係があるというのだろうか?


「橋田、恋愛経験というものは人を成長させる。多少は恋愛をしてもいいんじゃないか?」


「急にどうしたんですか部長……。俺はあまり女性に興味が無いんです。急に恋愛と言われても……」


「ならいい相手を紹介してあげよう! 橋田みたいな鼻の固い人間は、まずお見合いからだ!」


「頭じゃなくてですか!? 鼻を整形したみたいな言い方やめてください!」


「ちょっと待ってるんだぞ、すぐ私の知り合いで良さそうな人をピックアップして、ブドウ狩りのスポットを探しておくからな」


「なんで初デートがブドウ狩りで固定なんですか! もうちょっと気の知れた相手と行くものでしょう!?」


 俺の言葉に耳を貸さずにスマホの連絡先を探しまくる部長。当人にその気が無いのだから余計なことはしないで欲しいものだが……。


「よし! 決めたぞ! ブドウ狩りは山梨県笛吹市だ!」


「ブドウ狩りを優先して決めないでください!」


「ああ、もちろん相手も決めたぞ。私が連絡しておこう。来週の日曜は空いてるか?」


「空いてますが……え、本当にお見合いさせる気ですか!?」


「餅論だ!」


「餅奉行みたいな変換ミスやめてください! え、本当に本気なんですか!?」


 こうしてあれよあれよという間に俺のお見合いが決まってしまった。鳥羽部長の選んだ相手だから嫌な予感がするが、一体どんな相手なのだろうか。俺は望んでいないというのに……。

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― 新着の感想 ―
ようやっと追いついた…! いやぁ、逆立ちしながらスマホスタンドに立てて読んでたら逆向きになっちゃって。でも後ろから前のページに戻れるから便利っ!文字は逆さまだったけど( •̀∀•́ )✧ お見合い、お…
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