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5. 柳一華




起きると、朝だった。


柳は身体を起こす。

身体中が痛い。


腕をさする。昨日、銀獣につけられた傷が確かにあった。


目覚まし時計を見ると、針は7時を指していた。


15時間も寝たことになる。


カーテンを開けると、日差しが容赦無く網膜を刺す。


小鳥が鳴いている。


銀髪のクラスメイト、増殖するバナナ、叫ぶ怪物。

柳の日常は、突然一変した。


「僕の、力。」


柳は手のひらを見て、つぶやいた。



**********************






銀書目録(ぎんしょもくろく)






*********************






第三話 凪楽(なぎら)






*********************



「僕の、ちから。」



背後で、声が聞こえた。

振り向くと、妹がドアノブを握ったまま立っていた。


「ぎゃははは、お兄ちゃんヤバあ!」


妹が腹を抱えて笑っている。


 風来高校 1年1組 出席番号31番 柳一華(やなぎいちか)

 好きなもの:辛い食べ物、陸上

 嫌いなもの:可愛い子ぶる女


「一華!いたのか!」


肩まで伸びた黒い髪、陸上部で鍛えられた筋肉質のふくらはぎ、焼けた肌。

白い八重歯がちらりとのぞく。


「ぼくの、ちから」


ここぞとばかりに兄のモノマネを連発する。


「やめろ!」


手のひらを眺めながら、「僕の力」とつぶやいている瞬間を目撃されてしまった。


「お兄ちゃん厨二病まだ治ってなかったの?」


「厨二病じゃない!」


「ええ、うそだあ。じゃあもう一回やろうか?ぼくの・・・」


「もうやめろ!」


とびかかる柳を、妹は軽々とよける。




「お兄ちゃん、そういえばさ」


パンをかじりながら、一華は言う。


「石鹸買ってきた?それも大量に」


ブッと柳は息を吹き出す。


「ああ、あれね、、少し買いすぎちゃったかもな。」


昨日、増殖の力を確認するため、風呂場で目についた石鹸に力を使った。

あっという間に石鹸は足元を埋め尽くすほどに増殖した。

1、2個増やすくらいの気持ちだったが、コントロールがまだできていないようだった。


「少しって・・・ネットで一桁間違って発注したぐらいの量だったけど」


「いやあ、あははは、、、」

柳は笑ってごまかすのだった。










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